手紙

プレゼントを君に

今回は、BOOK-OFFでたまたま見つけた本に挟まっていたポストカードに書かれていたメッセージをもとに、ストーリーを妄想してみました。

【クリスマスツリーが印刷されたかわいいポストカードに書かれていたメッセージ】(どちらも仮名にしております)

[to : Ueda Hitomi] Merry Christmas! クリスマスの実感って今年はあんまりなかったけど、毎年してる、この交換が12月25日を実感させてくれたよ。今年は、今年初めて読んだ作家の本をプレゼント。 [from : Ono Megumi]

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ポストカードが挟まっていた本 池井戸潤:『下町ロケット』

さて、この本とメッセージから、2人のストーリーを考えてみました。(以下、妄想)

ーー♪♪♪ーー

今年もこの時期がやってきた。街は山下達郎やユーミンをはじめとした、毎年恒例のメロディに包まれている。2017年、23回目のクリスマスまであと一週間だ。

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路面電車から降りた小野恵は、聞き飽きたメロディに記憶を触発され、クリスマス時期のあるイベントを思い出す。

(今年はプレゼント、何にしよっかなぁ)

恵には中学1年生のころから10年間、クリスマスプレゼントを渡し続けている相手がいる。それは、愛する恋人…ではなく、気になる彼…でもなく、中学からの親友、植田仁美だ。

恵と仁美は、中学校に入学した際に席が前後になったことをきっかけに仲良くなり、その年のクリスマスから、「プレゼントの交換会」を続けている。

これまで渡してきたのは、筆箱やスマホケース、小物入れ、お揃いのペンダントなどなど。大学になると2人ともお金を持つようになったが、プレゼントは1000円以下、という暗黙の了解のもと、これまで続いてきた。

繁華街を歩いていた恵は、無意識に書店の前で立ち止まった。文学少女、というほどではないが、読書好きの恵にとって、書店は思わず立ち寄ってしまう場所であった。

(本をプレゼント、てのもありかも…?)

そう思った恵は、仁美が好きそうな本を想像する。

植田仁美(23歳)という女性

・修士学生(機械工学科)

仁美の夢は、「飛行機をつくること」。両親が自営業で、遠出する機会は修学旅行のみだった仁美にとって、飛行機は彼女の世界観に大きな影響を与えるものであった。そこから、「飛行機をつくりたい」という夢に向かって走り続けている。

・本より漫画派

小説を読むより、漫画を読むことの方が多かった仁美。理系ということもあり、国語の勉強はまったくしておらず、受験前に恵に泣きついたこともあった。

(よし、じゃあ、今回のプレゼントはこれでっ)

選んだのは、池井戸潤「下町ロケット」。「ものづくり」に興味がなかった恵みでも、興奮しながら読み続けられた、中小企業の製造業者の挑戦の話だ。つくっているのは飛行機ではないけれど、エンジニアを目指す仁美には刺さる本に違いない、という考えだ。

[to : Ueda Hitomi] Merry Christmas! クリスマスの実感って今年はあんまりなかったけど、毎年してる、この交換が12月25日を実感させてくれたよ。今年は、今年初めて読んだ作家の本をプレゼント。 [from : Ono Megumi]

上記のメッセージをつづったポストカードを本にはさんで、仁美の住む家に送った恵。

(人に送る本を考えるのって難しいな。気に入ってくれるといいけれど…)

しかし、この本はいずれ、ポストカードとともに、BOOKOFFに流れることとなる。そこにはある理由があったのだがーーー。

(後編に続く)




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