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未来を考える人達 〜未来を作る伝説の熱海会議〜

毎年7月初旬に熱海で開催される会議に参加するのがすっかり恒例になっています。私が世話人として参画している一般社団法人経営実践研究会では、松下電器が経営不振から脱却し大きな成長を遂げることになった伝説の会合、熱海会議に擬えて、一年の期が始まる7月の初めに全国から世話人、リーダーが一堂に会して、一年間の計画を立て、未来を創る会議を行っています。

規範と意図が織り込まれた未来

作りたい未来をイメージする事で未来に意思や意図が盛り込まれます。また、あるべき未来を考えることで未来に規範が折り込まれます。それらを計画することによって、何も考えずにただ成り行き任せで生きているのとは全く違う、別次元の未来が生み出されるのは誰しも理解されることだと思います。未来は創造するべきなのです。
経営実践研究会は格差と分断が加速して、閉塞感に包まれた今の世の中を生きるに値すべき世界に変えて次世代に継ぐべきだと、同じ共通認識を持っている経営者の集まりです。今の日本は若者の死因の一位が自殺であり、未来が見えない国になっているのが逃れることが出来ない現実です。そんな社会は絶対に変えなければならないし、変えるべきだと現在、全国に1000社のメンバーが集まっています。
一人ひとりの力は微力でも、1000社の一歩は決して無力ではない。を合言葉に、それぞれの地域で事業そのもので社会課題解決と持続可能性を担保する経済的価値の創出を行うCSV経営へのシフトと志を具現化するプロジェクトの推進、社会的弱者の救済に取り組んでいます。

計画が示す希望

そんな志の高い経営者の中でもリーダーとして地域を牽引していく、組織を作り、共同体の再構築を通じて世の中を良くしていくとコミットメントしたメンバーが一堂に会して未来を創造する場がこの熱海会議です。それぞれが真剣に明確な目標を設定して5W1Hのフレームで計画を具体的に、実効的にするのを見ていて、日本の未来は決して暗いものではない、どちらかというと民主主義が破綻して、資本主義の行き詰まりが露わになった混迷を深める世界を変える力が日本にあるのだと強く感じました。全員が立てた計画の目標を集積すると物凄いスピードでこの研究会が発展し、社会が少しずつ変容していく景色が見えました。計画こそ未来を創るのだと改めて実感する事が出来ました。

未来を考える人

未来を創る会議の1日目に基調講演に登壇いただいたのは、オムロンの創業家の系統で経営実践研究会のアドバイザーであり、オムロン株式会社のグループ内シンクタンクの人文科学系の研究所、株式会社ヒューマンルネッサンス研究所の立石郁雄社長でした。SINIC理論から考える「未来社会と企業経営」というテーマで経営者として身につけるべき在り方について熱の籠ったお話しを頂きました。
「経営者とは未来を考える人である」とのシンプルで当然ではありますが、当たり前すぎて見落としてしまいがちな経営者の定義を冒頭に示され、ハッとさせられました。社会の公器としての企業の価値に持続可能性があるとするならば、本質的な経営を目指すには短期的な利益ばかりを追い求めるのではなく、中長期の展望を見据えた経営判断を重ねるべきなのは自明です。立石社長が示された経営者としての第一義はその核心を突いた言葉でした。

弁証法的人類の進化の系譜

未来を考えるべきだと言っても、現代の様に激しく移り変わる環境に身を置いているとその変化について行くだけでもやっとのことで、10年後のことなど予想するのは非常に困難です。10年前を振り返ってもると、今の経営環境や世界の動向は全く想像できていませんでした。しかし、考えるだけ無駄だと諦めてしまっては経営者としての責任を果たすことが出来ません。どうしたものかと頭を抱えてしまいそうですが、卓越した思考を持った先人は人類の進化と成熟を俯瞰して、大きな流れから未来を予測されています。それがオムロンの創業者の立石一真氏が50年前に示されたSINIC理論です。数年前、コロナによるパンデミックが起こった頃から再び脚光を浴びるようになり、最近、書籍にも著されて人文学的見地からの研究が進み始めています。

SINIC理論研究会の発足

私も3年ほど前からオンライン上で行われていたSINIC理論の勉強会などに参加して現在、差し掛かっている最適化社会から自然社会への移行を踏まえて、自社のビジネスモデルをどのように捉え直すべきかを考える時間を持つようにしていました。株式会社四方継の知的資産経営報告書にも引用させて貰っているくらいです。まさか、立石一馬氏のお孫さんである立石郁雄氏から直接、学びを頂く機会に恵まれるようになるとは当時、思いもしませんでしたが、先進的な取り組みをされている経営者や研究者が続々と経営実践研究会に合流され、アドバイザーに就任されておられる中で障害者雇用の草分け的存在のオムロン太陽への実践視察研修が研究会のカリキュラムにあるのを見て、もしかすると、と淡い期待を持っていました。
日本を代表する哲学者の田坂広志氏、自然経営研究を主催されており、地域通過eumoの代表でもある武井浩三氏と以前から私が大きな影響を受けて来た方々と共に立石郁雄氏のアドバイザー就任は非常に嬉しく、今後、SINIC理論の研究会でご教示頂けるのが楽しみでなりません。未来を考える大きな糧を得られると期待に胸を膨らませています。

大人の責任を果たす営み

絶望と閉塞感が蔓延り、未来予想が困難な今の時代、経営者は大きな時代の流れを俯瞰して未来に繋がる経営判断を行わなければなりません。そんな中、先進的な理論と概念を共有する1000社の仲間、その中から共同体の再構築を行って生きるに値する世界を創造しようと志を共にするメンバーと計画を立案し、それをお互いに助け合いながら実行する研究会の営みは日本中にCSV経営(共有価値の創造=経済的価値と社会的価値の両立)を広げ、定着させ、地域企業から社会を変革させる大きなプロジェクトでもあります。
今回の熱海会議で立てられた100人の未来創造を全員で共有しながら実践を繰り返した先、1年後が楽しみでなりません。
未来は意図と規範を織り交ぜた素晴らしいものでなければならないし、それが私たち大人の責任です。本気の大人達の力を次世代を担う子供達に見せつけてやりたい、未来から感謝される営みを1年間やり切ろうと胸に刻み込みました。そして未来を共に創造する同志を全国で募っています。未来を想像し創造したい方是非合流してください。

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本物のキャリア教育の普及で誰もが生きがいを持てる社会への変革を目指しています。


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