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究極の社会課題“戦争”を根本解決する方法 @経営者と語る未来の学び4

ロシアによるウクライナへの侵攻のニュースを目にする度に目が釘付けになってしまいます。近年、局地的な紛争の報道を見ているとミサイルの精度が上がったことで軍事施設へのピンポイント攻撃が軍事行動の中心になったのだと勝手に誤解しておりましたが、戦争はやっぱり戦争、21世紀になっても民間人を殺し、街を破壊し尽くすのを目の当たりにして絶望的な気分に陥ってしまいます。
そんな気分を引きずりながらも、日本にいれば同じ日常がやってきて、全く何にも変わらないいつも通りの営みを続けられることのちょっとした違和感と、感謝の念というか、平和と幸福を噛み締めてしまう毎日は、同時に自分たちに何かできることが無いのか?と模索がつきまといます。
そんな中、先週末は「経営者と語る未来の学び」と題された経営者と教育関係者、学生が集い、教育について語り合うイベントに参加してきました。
主催の株式会社わけわけさんのnoteでのレポートはこちら。

第4回目となった今回、経営者代表として私が20分程度、皆さんの前で話す機会を与えられました。テーマは「社会人教育の現場から〜疑問と仮説と教えてもらいたいこと〜」として、私が一般社団法人職人起業塾で社会人向けの研修を行ったり、自社の社内教育をする中で疑問に思ったこと、そこから抽出した課題に対して解決案として立てた仮説についての意見を現役の先生等に伺いました。
LT(ライトニングトーク)の冒頭に、私が参加者の皆さんに伝えたのは、世界を震撼させている圧倒的な社会課題である“戦争”が起こる原因の根本的な解決を図るのは教育しかないのではないか?との仮説でした。強欲で利己的な奪い合いの精神が行動として具現化するのが暴力であり、その最大化が国家間の戦争です。その欲望に打ち勝ち、人間ならではの理性と倫理観を守り、人のことを思いやる人が世界中に溢れて人類が成熟するしか戦争はなくならないと考えれば、子供の頃からの教育こそが世界平和を実現する礎になると思う、世界平和は教師である皆さんと私たち今を生きる大人全員にかかっていると熱を込めて話しました。経営者と教育関係者が共に未来について語り合い、意見を交換する場は大袈裟ではなく、社会問題の根本解決に直結する非常に重要で貴重な取り組みだと感じた次第です。

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なぜ、原理原則を教えないのか?

まず、私が投げかけたのは、誰もが知っているごく当たり前のこと、社会に出て職業人として働く中で最も大事なのは「信用と信頼」でこれを手にすればいくらでもお金を稼げる様になるし、これを失えば社会から爪弾きにされる。そんな原則をなぜ学校で教わっていないのか?との疑問です。
社会人(職業人)は価値を生み出す(金を稼ぐ)力が必要で、信用と信頼を得られる人になるには約束を守る(誠実さは自分との約束から)事が重要。また、誰からも忌み嫌われる「今だけ、金だけ、自分だけ」の思考を捨てて、周りの人、顧客に喜ばれる行動を積み重ねれば、別段特別なことをしなくても自然と信頼される(稼げる)人になるし、その結果、豊かで生きがいのある職業人として生きられる。非常にシンプルで中学生でもすぐに理解できるどころか、実際に子供に聞いてみても既に知っている当たり前のことですが、実社会でこのような思考を基本にして働こうと意気込んで社会に出てくる若者は皆無なのが現実です。だからこそ、私たち社団法人が社会人教育の事業所として成り立っているのですが、そんな事業なんて本来、無くなれば良いと思っています。
また、若者を受け入れる側の事業所にアンケートをとっても学校の授業で教えているスキルと全く違うことばかりがニーズとして並び、求められているのはコミュ力や強調性など、テストの点数云々よりも体育会系の学生が人気になるのが良く分かります。

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新しい職人の働き方

私が本業として行ってきた建築業界では職人の高齢化、若手不足が業界の存続を危うくするほど差し迫った喫緊の課題になっています。キツイ、汚い、危険の3K職種と言われて嫌われているだけではなく、正規雇用で就職できる先も無く、なんの保証もない、年老いたら、もしくは病気や怪我をしたら稼げなくなるし一人前の職人でも実質所得は年収400万円もない現状を見れば、働きたいと思う若者がいないのも当然です。しかし、私が代表を務めるつむぎ建築舎のように、職人を社員化して研修のカリキュラムを組んでおりキャリプランを作って現場で一定の経験を積んで技術と知識を習得した後は、施工管理者や営業、設計など様々な働き方を選択できる事業所も全国に少しずつではありますが増えつつあります。そんな事業所で技術者としてのスキルを身につけたら一生、どこに行っても飯が食える力を備える事ができます。そんな今までの職人を道具扱いするような会社ではなく、まともな事業所には若者にとっても大きなチャンスがあると思っています。学校で習う教科のテストの点数では測れない才能を活かせる場として明確な意図を持たないまま進学や就職する学生に知ってもらいたいと思うのですが、とにかく建築業界に染み付いたイメージが悪すぎてなかなか認知が広まらないのが現実です。

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学歴マイノリティーが活躍できる場

若者に目を向けると、現在の高校進学率は98.8%になっているらしく、ほぼ全ての中学生は高校に進学します。しかし、そのうちの3%程度は中途退学、もしくは不登校になり学校を卒業出来なくなってしまっています。また、高校中退舎の76%はいわゆるフリーターと呼ばれる不安定極まりない不正規雇用で平均年収を大きく下回る生活を余儀なくされています。そんな学校の勉強に馴染めなかった若者にテストの点数とは関係ない、向き不向きはあるにしても潜在的な才能を発揮する場としてものづくりの世界に飛び込んでもらえれば、両方の課題を解決できるのではないかと考えました。
そもそも、職人技とか職人仕事と言われるように、修練を積んだモノづくりの担い手はタレント性の高い職種です。学校の勉強が不得手でも、人と上手に話せなくても、パソコンが上手に使えなくても、それを使う人の立場に立って真心込めて丁寧なモノづくりに励む事ができれば、必ず大きな評価を得ることが出来ます。それなりの気力と体力が必要ではありますが、潜在的な才能を持っている若者は少なくないと思うのです。

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未来を語り、作り上げる場

数多く参加されていた教員の方々に聞いてみたかった私が立てた仮説は以前にもこのnoteに書きましたが、これまでになかった職人養成高等学校設立の構想についての実現性と可能性についてです。職業人として志を明確にする、人としての原理原則を伝え、技能と学歴と建築知識を身につけて、3年後の卒業時には大工としてデビューしてキャリアプランを構想しながら建築技術者として引く手数多の人気者、稼げる職人として活躍できるようになるこれまでにない学校を作ろうと思うと伝えたところ、数人の中学校、高校の教員から是非とも実現してほしい、子供達に選択肢として提示したいとの熱心な言葉をいただきました。思っていたよりも敏感に大きく肯定的な反応を頂いたことですっかり自信をつけました。まだ通信制の高校との折衝の真っ最中ですが、今年一年でなんとか形にして来春にはたとえ少人数でも実際に学校としての事業をスタートさせたいと思っています。課題はまだまだありますが、教育業界からも多くの人の賛同を頂けたことですっかり自信をつけましたし、これまで以上に精力的に進めていこうと心に決めるとても良い機会になりました。主宰の株式会社わけわけ 野中さんには心から感謝します。
また、地域事業所の経営者と教員をはじめとする教育関係者が一堂に会して未来について話し合う場は本当に重要で、この様なコミュニティーが全国に広がり、実社会のニーズが教育現場に汲み取られる様になれば、世界は大きく変わると感じました。次回は5月に開催されるとのことですが、是非とも続けて参加したいと思いましましたし、できる限りの応援をしたいと感じました。ご興味がある方はご案内致しますので私(高橋)までご連絡ください。

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