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人手不足を加速させる区別する教育と区別しない職人育成

現在、兵庫県の中学校では絶賛、職業体験ウィークが開催されており、私は今週、中学校に2回の体験授業の講師として赴く上に、地域の中学生5名ををインターンシップとして事業所に5日間受け入れる「トライやるウィーク」にも参画しています。毎日中学生の相手をするのがすっかり本業になってしまっており、「教育こそが社会課題の解決の根本的アプローチ。」との信条を鋭意進めている次第です。

信じられる者になれ

先日、神戸市内の中学校にて四方蟻継の仕口を実際に鋸と鑿で刻ませる木工ワークショップと、「儲」という字を紐解いて信じられる者、信頼に値する人とはどんな人か?を生徒に延々と挙げてもらうディスカッションを行いました。同時に、社会で活躍するにはテストの点が良いとか、良い学校を卒業するとかよりも人としての在り方を見つめて、多くの人から信頼を勝ち取れる人になるべきだとのキャリア論を強めに伝えました。
その上で、信頼とはぼんやりしたものではなく、想いがあるだけでもだめで、明確に技術や知識などの力量が必要で、それは一つずつの作業を正確に行うことが必須だと実際に木材の加工を体験してもらいます。

特別支援ってなんだ?

実は、事前に聞いておりませんでしたが、受講した生徒の中には特別支援学級の生徒もいたようです。ワークショップが終わった後に、先生から大変でしたか?と訊かれました。初めは何のことか全く分からずに曖昧な返事を返してしまいましたが、意味を理解した後も、実際に授業をやってみた結果は別に何ら大変でもなく、違和感もなくみんな熱心に取り組んでくれてましたよ。とお答えしました。
背の高い彼がその生徒だと聞かされましたが、正直、私は特別支援が必要な生徒がいるとは思えませんでしたし、もし、彼が大工として働きたいと言ってきたら普通に採用するレベルのコミュニケーションが取れてました。

区別が増した教育業界

私が子供の頃には多分なかったでしょうし聞いたことがありませんでしたが、現在、発達障害と呼ばれる子供が激増していると言われています。^また、知能指数が低く、障害手帳を取得する児童は全体の2%、障害者認定されないが、平均的知能指数に届かない児童は16%にも上るとの統計もあり、その子供たちが発達障害との括りで区別された環境で教育を受けたり、通常のクラスでも勉強についていけなくて不登校になったりしているとのデーターを最近目にしましたが、中学校の授業を受けて、テストで記憶力を試されるだけでそのように社会との溝を作られてしまっているのはどうかと思いますし、その方がずっと違和感を感じます。

教育理念はタレンティズム

たまに出張授業に行ったくらいで学校教育の何が分かるのか?と言われるまでも無く、自分自身でも教育者としては素人に毛が生えた程度なのはよく理解しています。しかし、20年を超える長年の職人育成の現場で若者達を教え、育んで来た経験則から私が結論づけたのは、誰にでも必ず何かの才能を持っているとのタレンティズム(才能主義)です。学校に馴染めなくても、少々の悪さをしても、初めのうちはポンコツクラスに何も出来なくても、何かしら絶対に人は秀でたモノを持っています。これは断言できますし、私達マイスター高等学院の教育理念です。

職人育成の新たな可能性

そんな意味では、今回の中学校への出張授業は非常に深い気づきがありました。これまで数字上、データーだけでしか知らなかった発達障害の児童の実際に触れる事が出来て、普段は一般の生徒と区別されている児童でも、職人としてキャリアを積むのに必要な資質は持っている可能性が高いことに気付くことが出来ました。
少子化と人口減少で職人は絶滅危惧に陥っておりますが、適正があり、他の業種業態では区別されてしまう若者がまだまだ沢山いるのです。職人として生きる選択肢を知ってもらう機会を増やせば大きな可能性を秘めていると思うのです。

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中学校への出張授業だけでは無くフリースクールや子供向けイベントへの出展も承っております。繋がってください。

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