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人生を切り開く種と育て方

額に汗して一生懸命に働き、家をなし、家族を養い子供を立派に育てる。それが出来たところで満足するな、そんなことは禽獣魚虫でもやっている。人としてこの世に生を受けたらなら、人としての目的を達せよ。

学問ノススメ

とは、明治時代に教科書にもなった「学問のススメ」の中の福沢諭吉先生の言葉の意訳。人としての目的とは、先祖が蓄積してくれた文明、文化、この豊かな暮らしを少しでも良きものにして次世代に引き継ぐこと。
人と獣の違いは時間の概念を持っていることだと言われます。獣は未来を夢見たり、希望を持ったり、信じたりしません。より良い未来を標榜することこそ人である証左とも言えると思います。

人の道、人類の目的

未来を良くしたい、より良い世界を次の世代に残したいとの想いは先祖、先達への感謝と共に誰しもが持っているものだと思います。そしてその未来とは自分だけの為ではあり得ません。「世の為、人の為」とはあまりにも手垢がついてリアリティのない言葉になってしまいましたが、誰もが幸せに暮らせる、自由、平和、平等な世界の実現は有史以来、人類が目指してきた理想であり、目的とも言えると思っています。
そんな、当たり前のことを今の世の中では声を大にして叫ぶ大人は殆どいなくなってしまいました。先行きに対する不安を抱えているからなのか、世の中に蔓延る問題があまりにも複雑で解決困難に思えるからか、損得勘定優先の自由資本主義に侵されたからか、はたまた人を押しのけて自分だけより良い暮らしを目指す教育システムの弊害なのか、その理由なのか、それら全てのファクターが混ざっているのかは分かりませんが、今だけ、金だけ、自分だけ良ければ良いとの価値観を持つ人があまりにも増えてしまったように感じます。現代社会の多くの人は人としての目的を忘れ去ってしまっています。

共同体の構築がムーブメントを起こす

そんなことではダメだ。もっと世に対して向き合い、目的を持って生きる大人が子供たちに背中見せなければどんどんこの世は生きにくく、優しくない世界になってしまう。と熱い心を燃やして立ち上がる人もいます。世の中に良きインパクトを与える事業を興したいと、本業で社会課題を解決するビジネスモデルの構築に熱心に取り組む人も近年、非常に多く見えるようになりました。一見、金儲けにならなくても熱心に熱心に世の為人の為に働くことで、大きなビジネスに成長させた人も少なくありません。そしてそんな人たちが連携をとり、協働して1社では成し遂げることができない大きな課題解決に歩みを進めようとする動きも加速してきました。その代表的な存在がCSV経営を研究し、実装する経営者が集う経営実践研究会です。
その研究会が存在するおかげで、私が創業以来掲げてきた志、「職人の社会的地位の向上」という、学歴社会から溢れた若者の受け皿を作る取り組みも、マイスター高等学院のプロジェクトとして、今では建設業界の枠組みを飛び越えて様々な業種で、キャリア教育を全国に普及するムーブメントになりつつあります。志ある経営者は確実に増えています。

志は語ってこそ志

今、金、自分のパラダイムを脱して、少しでもこの世を良くしたい。との志は初めは自分の中の暗黙知として芽生えるものです。世の中の不条理、世間での蹉跌、受け入れ難い人の苦しみを目の当たりにして、なんとかしたい!と心に火が灯るところから志の種が生まれます。
しかし、内に秘めた熱い想いだけでは世の中を変えることはできません。志は声に出して、人に聴いてもらい、共感を得てこそ志になり得ます。世の中を少しでも変えるには、そんな暗黙知を形式知にする機会が必要です。
この度、研究会メンバーであり、私に教育業界の課題についてのレクチャーを熱心に行ってくれた野中健次さんが発起人となり、大学生の佐々木君が実行委員長として、「志プレゼンテーション大会」なるイベントが行われました。老若男女、誰でも志を語り、それを多くの人に聴いてもらう機会を創られました。半年間かけて予選会から積む重ねて、200人の前で壇上に立った5人のプレゼンターの熱い想いは皆さん本当に素晴らしく、心を大きく揺さぶられました。

剛い志を持てとの呪い

その記念すべき第一回大会に不肖、剛い志を持てと生まれた時から呪われてきた(祈られて?)私、高橋剛志をご指名頂きました。本来、立志伝中の人に立って話してもらうべきで私のように何を成した訳でもない者が立つべきではなのでしょうが、中卒の大工、徒手空拳の私が30年以上の時間をかけて志を社会実装させるべく駆け抜けてきた中で、大事だと思ったことを話させて頂きました。私が選んだテーマは「人生を切り開く種と育て方」です。
冒頭に福澤諭吉先生の学問のススメの一節を紹介して、志を持つことの重要さとそれこそが人の道であること。そして、戦前は学校の教科書でそれを学び、全国民が共有認識として少しでもより良い社会を次世代に残す、未来志向を持っていたことをお伝えしました。人々の心の奥にある良知を致すことが未来を創るとの私が信念とする基礎論理であり、教育理念です。

男子の志は塩のように溶けやすい

私はこれまで、全国で延300人以上の現場実務者に対して大きな社会課題である職人不足の根本解決を提案するセミナーや、その手段であるアントレプレナーシップ(起業家精神)を持って、主体的に価値創造を行う実践研修を行ってきました。その中で多くの志に出会いましたが、残念ながら、初志貫徹した、もしくはしようとしている人はあまり多くありません。それどころか、年月と共にせっかく掲げた心の炎を消してしまい、志を忘れてしまったのではないか、と思ってしまうことも散見します。
とても残念ですが、昔から「男子の志は塩のように溶けやすい」との言葉があるほど、初心を忘れることなく、志を貫いて生きることは難しいもの。人はつい、自分との約束を破ってしまう弱さを持っているものです。

習慣が状態を、状態が成果を創る

私が人生を切り開く種=志の育て方としてオーディエンスにお伝えしたのは、習慣の大切さと圧倒的な威力です。まずは小さな事から必ずやる。と自分と約束をして、それをやり切る。出来る、ではなく出来ている状態を作ることがあらゆる成果を生み出す原理原則を体感で理解することを強くお勧めしています。自分には決めたことが出来る。とのセルフイメージを持つことができれば、少しずつ大きなタスクにチャレンジして、志を育て、実現する自分へと成長することができます。
学歴社会からこぼれ落ちて、世間に迷惑ばかりかけてきたポンコツの私が、真っ当な人生を送れるようになり、多くの仲間と未来を語れるようになったのはたった一つ、やると決めたらやる。そんなシンプルな誠実さを持っていたからに他なりません。

責任を果たすには行動を継続する選択

私が伝えた志の育て方、5人のプレゼンターが熱く語られた、地域を、社会を少しでも良くして、誰もが生きづらさを解消し、自分の人生を生きがいを持って生きることが出来る社会の実現。そして、発起人の野中健次さんが最後に熱く語られた、子供達が未来に希望を持てないのは、自分たち大人の責任であり、志を語り、より良い世界を次世代に残す責任を果たす為のアクションを起こし続け、世の中に広めていこう!との誘いは会場にいた誰もの心に届いたと感じました。
この度、枚方で開催された志プレゼンテーション大会はきっと来年もさらに規模を大きくして行われると思います。そして、枚方だけではなく、その想いは広く伝播して、志の種が日本中のあちこちに撒かれることになったとも感じました。青年よ大志を抱け、子供達も志を立てよ、そして大人たちも若者に恥じないように強く、剛い志を熱く語り、大人の責任としてそれを実現するべく、継続した行動を日々選択して行きたいものです。素晴らしい機会を頂けたことに心から感謝します。
志を立てて、万事の源となす。ですね。

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