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行くだけで(少し)世界が良くなる旅プロジェクト@宍粟

先週末、兵庫県の山あいの街、宍粟に旅に行ってきました。宍粟には仕事でもよく行きますし、同じ県内で車で2時間程度の距離なので、旅と言うのは、少し大げさというか、適当でないように思いますが、今回は間違いなく1泊2日の「旅」でした。と言うのも、今回宍粟に足を運んだのは「行くだけで(少し)世界が良くなる旅」を企画、運営しているNPO法人たびすきのツアーに参加したからです。

知りに行く事で知る

宍粟市は、瀬戸内海と日本海の両方に面している兵庫県のちょうど真ん中あたりに位置しており、古くから林業が盛んな山間の小さな街です。兵庫県の林産地としては、中心的な役割を担っており、私たちがなりわいとしている建築事業で木造の建物を建てる時は、地材地消の観点から宍粟のスギ材を構造に使うようにしています。また、宍粟には私の顧問先の事業所もあることから、毎月のように足を運んでいます。そんな普段から慣れ親しんだ街ではありますが、今回ツアーに参加してみて、改めて知らないことがまだまだたくさんあるものだと、新たな発見や気づきを多く得ることができました。

行けば地球が良くなる旅

旅を通して世界を少しでも良くしよう!との理念を掲げた「NPO法人たびすき」が主催する旅は、現地に実際に足を運び、体験することによって、世の中にある潜在的な課題を知ったり、その解決や解消に少しでも寄与できるようなアクションを起こそうとのコンセプトで「行くだけで(少し)地球が良くなる旅」を企画、運営されています。今回は廃校を活用して、カフェやドミトリーを運営され過疎化を食い止める活動をされている「モア繁盛」への宿泊と、人より鹿の方が数が多いと言われている宍粟で行われている狩猟について触れる機会が設定されていました。

廃校と狩猟

宿泊施設でもある廃校に到着してまず、現地の猟師さんに「狩猟とは」とのテーマでリアルな猟についてレクチャーをいただき、実際に使っている猟銃や罠などを見せてもらったり、罠を仕掛けている山に入って動物との知恵比べの難しさや面白さを説明してもらいました。その後、数年前にNPOとして立ち上げられた、年間、1000体もの鹿を解体処理しているジビエの解体場に足を運び、その成り立ちから存在意義、解体された動物の利活用の方法等について細やかにご説明いただきました。朝運び込まれた鹿をチェーンでぶら下げ、皮を剥いで解体する現場はなかなかの迫力で、滅多に触れることない貴重な体験をさせてもらいました。

生態系の一部としての営み

今回のツアーで私が強く感じたのは、物事は短い時間軸での対処で考えるべきではなく、人の営み自体を長い期間を鑑みた生態系のごく一部として捉える必要があるとのことです。近年、山が荒れて、猪や熊、鹿などが里山に降りてきて、人間が被害を被るといった報道が頻繁になされるようになりました。害獣駆除の観点からも、狩猟は非常に重要な役割を担っていると言うのは私も認識していますし理解しています。しかし、次々と作業的に解体される鹿を実際に見たときには、生き物の命を貰い受けることへの厳かさが感じられず、若干の違和感を感じました。もちろん、解体された鹿肉は廃棄処分するわけではなく、流通に乗せられるのですが、そのほとんどが食肉として人の口に入るのではなくドッグフードになっていると言う事実を初めて知り衝撃を受けました。改めて経済性が優先される社会での自然との共生は難しい問題を数多く内包しているのだと考えさせられました。

食料問題解決の糸口

隣国ロシアで、今、戦争が行われる現実を直視した時に、食料、自給率が30%と言われ、しかも肥料や種子でさえ輸入に頼って実質は食糧自給率は8%程度かもしれないと言われている日本では、もしもの時に食料を自給できない危うさを感じずにはいられません。また、牛の畜産のは大量の飼料と水を要し、環境への負荷が非常に大きいこと、世界では食料問題が既に起こっており、飢えている人がいることを考えれば、今一度、野生の動物とのバランスを保ちながらジビエを自給出来る食肉の生産を考えるべきではないかと思いました。簡単ではないでしょうが、考えるべき課題ではないかと思うのです。今回は狩猟と過疎地の活性化について、そのリアルを深く知る機会と共に、世界を良くしたいとの意思を持った人たちと交流する時間が持てたのも実に有意義だったと感じています。

人の意識が世界を作っている

今回の宍粟ツアーに参加してみて分かったのは「行けは地球が良くなる旅」とは、具体的なアクションでの物質的な変化だけではないのだということ。
旅に行く事で人が感じ、考える事で地球に向き合う意識が変わり、その変容から普段の行動や思考が変わり、少しずつでも周りに影響を及ぼしていく。また、そのような同じ感覚の人たちと繋がることで、それがさらに加速する可能性があると感じました。実際、地球の覇者となった私たちホモ・サピエンスは世界中の生物を殺し、虐げて来ました。今では野生動物は陸上の哺乳類のたった4%にまで減少してしまいました。人間は34%、残りの62%は牛や豚、鳥などの家畜です。この結果は、どう考えても行き過ぎた経済偏重の人間社会が犯した罪ではないかと思ってしまいます。世界は人間の意識によって作られている。そう考えれば、地球が良くなるスタディーツアーに行くことはこれからの世界に大きな意味を投げかけるかも知れません。次はインドネシアで「現代のマザー・テレサ」と呼ばれている奇跡の助産所のロビン・リムさんに会いに行く予定です。世界を良くする方法を考える旅、いかがでしょうか?バリは定員に達したようですが、カンボジアツアーはまだ募集しています。

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建築業界の改革から世界を良くする方法論を考えています。
繋がってください!


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