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Q;職人の地位向上は何からやったらいいですか? A;構造化=目的と本質とバックキャスト

福島の出張から戻った夕方、事務所に出社して一息ついていたら、予定にない来客がありました。私が創業した時から板金の工事をお願いしている協力業者さんの御曹司、板金職人の大誠は親父でもある社長が私と同級生と言うこともあり、私が息子のように可愛がっている若手の板金の職人です。かっこいい職人だった父親を見て職人に憧れて跡を継ぐと様々な学びやチャレンジに精力的に頑張っておられます。今日は約束の日を間違って来社されましたがせっかくなので暫しの時間雑談を交わしました。

塾長キャラからのいつもの問い

その大誠は私が創業の志として掲げ、20年来熱心に取り組み続けている職人の育成、地位向上への取り組みに深く共感してくれており、現在、構想を進めている職人育成のキャリア高等学校のプロジェクトにも参画を表明してくれています。また、私が塾長を務める職人起業塾の卒塾生と言うこともあり、事あるごとに何でも心易く質問してくるような間柄です。そんな大誠とたわいも無い会話をしておりましたが、私としてはつい塾長キャラが出てしまい、未来を創るアクションの話になってしまいます。ちなみに、職人起業塾では卒塾の際にアクションプランを考えて半年間にも及ぶ学びを業務に実装するコミットメントをしてもらっており、塾生と会うたびに私は「その後どうなってる?」と質します。

迷いを断ち切る構造化思考

大誠がポロッと口にしたのは、やることが多すぎて何から手をつけていいか分からなくなった、との言葉でした。なるほど、確かに向学心を持って幅広く興味の範囲を広げるほど、迷走してしまうってあるよな、と自分自身の経験を振り返って妙に納得してしまいました。そしてこの迷いは彼だけに限らず、職人の地位向上をやろうぜ!と意気投合した職人達の共通した悩みではないかと感じて、ここはキッチリと全体像を把握して、組み立て方を示してあげるべきだと親心を出してアドバイスをすることにしました。ちなみに、私が彼に伝えた考え方はいわゆる物事、タスクの構造化で、いつもパターンは同じで、基本形だけ深く理解していれば何にでも当てはまり、迷いを絶って行動に踏み込めるようになる便利な思考法です。

目的、本質、バックキャスト

何かを成したい時にどうやってそれを実現するか、それをスッキリわかりやすく構造化を行うにあたって最も重要なのは常に本質であり、目的です。まず、なんのために?との問いを持つこと、それが出来上がった時をイメージして、近視眼的にならない様に5年とか10年の中長期的な視点に立ってそこからバックキャスト(逆算)することが必要です。目の前にやることが多すぎて何から始めたら分からない、という迷いは目先で成果を手にしたいとの今だけ思考に端を発しているので、時間をかけて状態を整えれば自ずと成果はついてくる。との原理原則に則って考えるべきです。目的を明確にできればそれを支える本質とは何かを次の段階で整理します。あとは必要なことの棚卸しをして、優先順位を決めて、時系列に計画を並べたら出来上がりです。

板金職人の社会的地位向上

大誠が目指している板金職人の地位向上(目的)を例に取ると、必要(本質)なのはしっかり稼げること、誇りを持って仕事が出来ること、多くの人から求められる事、そして楽しくやり甲斐を持って働ける環境作りで、この4つの項目が全て叶えば、生き甲斐が生まれ、若者に憧れられる職種になります。そして職人の本質と言えばもちろんモノづくりの技能が真っ先に求められます。技術を磨くと共に、現場での経験を蓄積し、カッコイイ板金の収まりを追求し、唯一無二のデザインを提案することが職人には出来ます。具体的にはまず、現場対応が多い板金仕事のディティールを図面化、その上でもっとシンプルでかっこいい収まりを考えて試作を作ってみる、見積もりをする段階でオリジナルの加工を提案する、と良いモノづくりに注力すると、自ずと注文が集まる様になるし、それをブラッシュアップし続けると価格競争から抜け出すことが出来ます。確実に板金職人の地位向上への歩みを進めることが出来るのです。

志を叶えるパターンランゲージ

ちなみに、上述の思考の整理は板金職人に限らず、大工でも左官でも、もっと言えば農家でも飲食業でもモノを生み出す仕事なら全て同じパターンが成り立つし、ひょっとしたらサービス業でも当てはまるかも知れません。地位向上を目指す職人さんは是非、それ以外の職種の方も一度、目的、本質、バックキャストの順番でタスクを整理、構造化した上で取り組みをスタートさせてみてはいかがでしょうか?
そして、もちろん目的を生み出すのは志です。自分だけ良ければ、金だけ儲かれば、今さえ良ければの思考ではなく、世の中を良くしたいとの志を持たれている全ての方にとってそれを叶えるためには構造化は欠かせないと思うのです。構造化のパターンランゲージ、お勧めします。

パタン・ランゲージ (pattern language) は、クリストファー・アレグザンダーが提唱した、建築・都市計画に関わる理論。単語が集まって文章となり、詩が生まれるように、パターンが集まってランゲージとなり、このパタン・ランゲージを用いて生き生きとした建物やコミュニティを形成することができるとされる。           出典:Wikipedia

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