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We are not-powerless. 〜Social Company Forum2023in福岡 100年後の子供達を想う〜

東京を皮切りに全国の都市で毎月行われるSocial company  Forumin福岡では100年後の子供達を想うとのサブタイトルで、基調講演に認定NPO法人テラ・ルネッサンスの理事・創設者の鬼丸昌也氏を迎えて開催されました。
主催の経営実践研究会のアドバイザーによるパネルディスカッションでは、オーガニックコットンを日本に広めた一般社団法人サーキュラーコットンファクトリーの渡邊智恵子氏、九州から全国に飲食店を展開する株式会社タケノの竹野孔氏、柳川で医療から有機農業までをホリスティックに手がける複合的な社会福祉法人学正会を運営されている金納理一氏、手袋生産の街、東香川で先進的な環境配慮型、SDGsの導入企業として有名な株式会社フクシン福﨑二郎氏のそれぞれが未来に対して考え、行動されている事例を共有頂いて、100年後の子供達により良い未来を残す強い意思と信念に触れさせてもらいました。

アドバイザーによるパネルディスカッション

実践こそas-isからto beへのbridge

会員による実践例の発表の場である会員プレゼンテーションでは株式会社ときつ養蜂園の時津佳徳氏の養蜂から様々な品種に広げられたオーガニック農業の大きな可能性を感じさせてもらい、株式会社COZYRELIEFの上村真理子氏からは社会課題解決はまず家庭での子育て環境に手を差し伸べるべきとの根本的な視点を思い出さされました。
卓球の女子プロチームを率いる九州アスティーダ株式会社の川面創氏からはスポーツを通して地域のハブになり、地域活性化を実現すると共に、地域の枠さえも飛び越えてアグレッシブに取り組んでいる活動を聴かせていただきました。

未来を自分たちの手で創る

急遽登壇が決まった宮城の大和株式会社 吉岡優輝氏は1%の可能性を信じ、誰一人取り残さない地域ぐるみの共助を実現すべく、多くの人を巻き込んだ職業体験のイベントを運営する団体を立ち上げた経緯を熱く語られ、愛知エリアで世話人を務める大矢伝動精機株式会社 大矢顕氏は日本のモノづくりを再度世界を席巻するようなワクワクした業界にすべく、若者と共に仕掛けているプロジェクトを嬉々として披露されました。
経営(経糸を営む在り方とやり方)を実践する研究会だけあって、どの会員のプレゼンテーションも高い志と共に非常にリアリティーのある、地に足のついた素晴らしい発表で、それぞれの分野、地域から社会を変える意気込みが溢れる素晴らしいものでした。

圧倒的実践者の言葉の力

認定NPO法人テラ・ルネッサンスの理事・創設者の鬼丸昌也氏のお話は以前から一度聴いてみたいと思っており、以前に彼の講演は聴く人の8割が涙を浮かべるとの噂を耳にしておりましたが、その噂に違わぬ内容で衝撃的に胸に染み渡りました。リアルに命の危険を顧みずに実践されている人の言葉は圧倒的に重みが違います。
鬼丸氏は講演の間、終始明るい表情と軽快な語り口で悲壮感が漂うような雰囲気は全くありません。しかし、その分、リアリティーが加速したようにも思います。
2001年10月、「資金なし」「人脈なし」「英語も話せない」大学生だった鬼丸氏1人で始めたテラ・ルネッサンスは昨年、20周年を迎え、現在は年間3億円の予算のもと世界6カ国で約100名の職員が活動する団体へと成長されました。

支援を行う者のジレンマ

カンボジアやラオスで地雷や不発弾処理支援、地雷埋設地域の生活向上支援、不発弾事故回避教育支援などを展開し、ウガンダ、コンゴ、ブルンジでの元子ども兵の社会復帰支援や社会的弱者支援などを実施。また、日本国内では、平和教育(学校や企業向けの研修)や、東日本大震災をきっかけに生まれた大槌刺し子事業を運営されています。海外に向けた支援を中心にしていた当時、震災の後に国内の支援を行うのには大きなジレンマがあったとのことですが、アフリカの人から復興支援の申し出を受けて救われたとの言葉は、鬼丸氏の誠実さ、真摯さを物語っていました。
とにかく、国内外でこれだけ数多くの事業を継続的に取り組まれて、17万人を超える人への支援を実現しているのは素直に本当に凄いと感じました。同じ日本人であることが誇らしいと思ったくらいです。

◆参考:20年の成果総覧(創立20周年記念誌および2020年度年次報告書から抜粋)

今も世界に続く地獄

この度の講演では、鬼丸氏が関わられている数多くの事業の中からアフリカの少年兵の問題についてと、その解決に向けての取り組みを中心に紹介をされました。その聞くに耐えない非人道的なアフリカの問題は以前に「ブラッドダイアモンド」「風に立つライオン」と2本の映画で取り上げられ、多くの人に知られる事になりました。アフリカの武装勢力が子供を誘拐し、少年兵に仕立てている現状とその背景を直接、現地に足を運び目の当たりにして、その自立支援を行ってきた鬼丸氏に、リアルな写真を示して現実を説明されると、今まで知っていた、どこか遠い国で起こっている悲惨な出来事との捉え方ではなく、身近な出来事のように感じさせられました。

麻薬と親殺し

突然襲撃してくる武装勢力に誘拐される年端の行かない子供達は、脅されて武器の使い方を教え込まれ、ある程度扱えるようになったら、少年が生まれ育った村の襲撃に行かされると言います。そこで自分の親を殺すか、出来なければ親と自分の腕を切り飛ばす残虐な仕打ちを繰り返し、その凄惨さに冷静な判断が出来なくなった子供は親兄弟を自ら手をかけて殺してしまうそうです。その儀式が終われば、子供には武装集団から逃げて戻る場所はなくなり、人を殺すことに免疫がついて殺人マシーンになってしまうとのことでした。こんな小説でもなかなかお目にかかれない理不尽、不条理が今もこの世界で起こり続けているし、無くなる気配もないと聴いて、人間の残虐さと無力さを感じて本当に情けなくなりました。

子供兵が存在し続ける3つの理由

現在、20万人を超えるとも言われる子供兵が存在する背景として、鬼丸氏は3つの理由を挙げられました。まず、子供は素直で洗脳が容易であること。次に武器が小型化して小さな子供でも簡単に扱えるものに開発が繰り返されてきたこと。そして最後に、先進国との関係性だと口にされました。
コンゴやウガンダには大量の希少地下資源が埋蔵されており、内戦とは言いながら、結局、ダイヤモンドやレアメタルを求める先進国から武装勢力に資金や武器が提供され、意のままに動いてくれる勢力を作り続けているから20年以上も終わりの見えない内戦が続き、殺戮と搾取が繰り返されている。結局、自分達が便利に使っているPCやスマフォを求めるせいでアフリカでは少年兵が生み出され続けていることに気づいた時、自分は所詮、偽善者だと圧倒的な無力感に襲われたと言われていました。

We are not-powerless.

そんな中、鬼丸氏を支えたのは“We are not-powerless.”(私たちは微力ではあるが無力ではない)との信条です。それを裏付けてきたかのような、真のリーダーシップとは微力を積み重ねて着実に影響力を身につけることだとの言葉には強い力が漲っていました。
テラ・ルネッサンスが目指しているのは真の自立支援であり、決して対処ではない。目の前の悲しみから目を背けてはいけないし、今できることに注力しながらも、背景に目を向けて根本原因を探さなければならない。真の課題解決とはシステムを変えることであり、その本質とは格差と貧困を作り出し続ける暴力的な資本主義を変える必要がある。と、世界的な見地から見た社会改革、社会変容を目指す姿勢を明確にされていました。その強い意志は、「政治や政府に魂を売り渡さない。」との言葉に集約されていた様に感じました。

dystopiaに見出す唯一の希望

鬼丸氏が私達に投げかけた、「未来ではなく今、自分にできることを考える」との言葉を胸に、今、この瞬間に出来ること、成すべきことから目を逸らす事なく、目指すべき本質的な社会課題解決に向き合いたい、向き合わなくてはならないと胸に刻み込む1日となりました。
強欲で暴力的な欧米型金融資本社会、今も変わらず植民地主義が根本に残っている資本主義システムを変容させて、誰もが取り残されない世界の実現は、共産主義や社会主義では叶えられないことが歴史で証明されました。あらゆる社会システムで権力者は自然発生するし、権力は必ず腐る。それが紀元前から人類が証明し続けてきた答えです。世界中の誰もが求めているであろう、人間の尊厳が守られ、平和の幸せを噛み締められる社会は、これまでの資本主義の延長にはありません。唯一、可能性があるとすれば、日本が有史以来守り続け、現代に僅かに受け継がれている三方良し、八万の神を畏み、調和と共生、循環を重んずる文化の拡散ではないかと思うのです。今の世界を支配している経済性を担保しつつ、精神性、社会性を一体にしたCSVモデルと呼ばれる三方良し経営を日本の圧倒的多数の企業が確立し、その効果性を世界に示すことのみが奪い合いではない世界の実現の可能性を繋ぐ、そんな観点を持って、事業に向き合いたいと改めて思う時間になりました。素晴らしいフォーラムを設えて頂いて九州メンバーに心から感謝します。ありがとうございました。

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全ての子供達に学歴社会に縛られない選択肢を、社会的養護の実装を事業で取り組んでいます。

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