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若い大工に社会人としての心得を語ってみた。

今日は国土交通省の大工育成事業で私も理事を務めている工務店団体の京阪神木造住宅協議会主催の若手大工育成プロジェクトの研修開始日でした。
新規就労から3年未満の若手大工を集めて、大工、そして社会人としての心構えや基礎知識から安全衛生のレクチャー、そして実際に研修棟なる少し小さめの小屋を建てて、非常に実践的な技術研修を行う研修会です。やる気いっぱい、夢いっぱいの若者たちを集めての研修は講師を務める側としても非常に楽しく、やりがいのある良い仕事でした。
本日、開講初日のカリキュラムはオリエンテーションから大工として、また社会人としての心得、安全衛生教育と国土交通省のガイドラインに沿った研修を行いましたが、そこは若干、講師の色が出るもので、私と一緒に講師を務めてもらうことになった関西の断熱気密施工のカリスマ清水社長の昭和42年生まれ同級コンビのどっぷり昭和な価値観をかもし出しつつ、人の道、職人道を熱く語りました。

大工の責任

大工見習いとして入社すると、入社時に会社の理念や目指す方向性などの話を経営者から熱く語られるものですが、ついこの間まで学生だった若者になかなか自分ごととしてそれらの話を聴くことは難しく、腹落ちするのは難しいものです。半年ほど現場で実務に携わった後、今日改めて私の口から大工としての心構えを語ると、全員が目を輝かせて自分達の仕事の重要性と大きなやりがいと責任に対する気付きがあったようでした。私達建築業の仕事の評価は全て現場にあり、その評価を元に顧客との間に信頼を築きます。それが出来れば次々に仕事が舞い込むし、逆に不出来なら悪評が広がります。事業所の未来は目の前の顧客の納得と満足にかかっていると言っても過言ではなく、それを担うのが社員大工であり、彼ら、彼女達が背負うべき責任です。自分達の毎日の小さな選択が大勢の人達の幸せを作る、もしくは損なうのだと理解してくれた様でした。

重要なのは精神論

社会人、職業人としての心構えとしては、「今、金、自分だけが良ければそれでいい。」と言った価値観の人とは誰も一緒に働きたくないし、仕事を頼みたくないとのごく当たり前の人としての基本的な価値観を繰り返し伝え、どのような意図、心、想いを持って仕事に向き合うかがなによりも重要だと熱く語りました。もちろん技術も大事ですが、言われたこと、図面に描かれた通りにまるで道具やロボットの様に正確に行うだけで、心の無い仕事に誰も感動しないし、次の仕事も依頼される事はない。心構えや良き意図を持ち、少しでも良い仕事をして貢献したいとの気持ちが未来を作り、自分自身の影響力を高めるのだと、最近、滅多に取り上げられる事が無くなった精神論を強い言葉で伝えました。その意味では技術的に未熟な若者達にも出来る事が沢山あるし、今からそこに気づいて仕事に向き合うと未来は大きく開けるのだと理解してもらえたようでした。

目指すのは心技体の成長

私自身、17歳という若い年齢に社会に飛び出して、社会人、職業人の心構えどころか、働く事の意味や意義を考えることも無ければそれを問いかけられる機会もありませんでした。自分が飯を食らい、自由に遊び回れる事だけを求めてガムシャラに働いていましたが、根無草のようにふわふわした感じがずっとしていて、結婚して家庭を持つ事も怖くて、長い間あらゆる責任から逃げていました。自分のアイデンティティを見つける事ないまま、何となく金を稼ぐ事だけに執着していました。
人として、職業人としてなんのために生きているのか、働いているのか?との誰もが当たり前に考えるべき問いについて考えることもないまま生きてきて、それではいかん、と気づいたのは、不景気で押し出される様に起業してからでした。もっと若くしてその本質的な部分に意識を向けていれば、私の人生はもっと大きく変わっていたし、もっと世界に貢献できたのではないかと思います。後悔をしている部分もありますが、そこは前向きに出来るだけ多くの若者に出来るだけ早く、気づいてもらいたいと思い、研修事業を立ち上げています。今回は、国土交通省の大工育成の事業に乗っかる形でスタートした研修ですが、技術だけではない、なんのために働くのか、何ができるのか、といった意図や想いの部分で高い意識を持ってもらい、大工として、人として大きな成長を遂げてもらいたいと思います。

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