学ぼう、花のスペシャリストに。水揚げ&花のケア vol.8|キク

花を長持ちさせるには、花それぞれの特性を知った水揚げや花のケアが必要です。
でも、どうやっていいかわからない。
プロになりたい人、いまさら聞けない人、もっともっと花を楽しみたい人まで、基本から学んじゃいましょう。

花を長持ちさせるためのテクニックや知識を、実際のお花屋さんの業務の中で研究し、検証してきた
フルーロン花佳の薄木健友さんに学びます。

第一回目は水切りの基本を、
第二回目は湯揚げの方法をお伝えしました。
第三回目は茎を割る、裂く方法を、
第四回目はミョウバン・水揚げ材・ハッカ油などを使う方法をお伝えしました。

第五回目は「アジサイ」おすすめの水揚げ法をお伝えしました。
第六回目は「スイートピー」おすすめの水揚げ法をお伝えしました。
第七回目は「トルコギキョウ」おすすめの水揚げ法をお伝えしました。

vol.8 「キク」おすすめの水揚げ法

具体的な品目別のおすすめの水揚げ方法をご紹介しています。今回はキクです。

キク

Chrysauthemum
出回り時期 周年
エチレン感受性 小
バクテリアの影響 中
品質保持剤糖分 有・花店用
双子葉類

特徴
日本で最も多く流通している花。
洋ギク(マム)と呼ばれるヨーロッパで品種改良された花も多く、色も花形もバリエーションが豊富。
ディスバッドマムと呼ばれるスタンダード仕立てのキクも人気があり(生産段階で脇芽を取り除いて花を大輪に仕立てる)、花保ちが良くお祝いにも使われ始めている。

おすすめの水揚げ

キクは葉の状態を見て、水揚げ方法をチョイスすると良い。葉がしっかりしていてハリがある場合は、折るか空切りで良いが、輸送時間が長かったり、箱のまま保管していた場合などは湯揚げがお勧め。キクは特に湯揚げの効果が高く、実際に多くの花店で湯揚げ作業が行われている。

管理の注意点

キクは呼吸量の多い植物。そのため呼吸熱を発しやすく、箱のまま冷蔵庫で保管すると茎や葉が熱くなることがある。見た目は固めのつぼみでも、呼吸量が多かったキクは、水揚げすると細胞が膨らみ一気に開花してしまう。呼吸量を極力減らすためには、水揚げして水を与えた状態で冷蔵庫で保管すると良い。糖の多い品質保持剤を与えると葉に障害が起きる場合があるので、店頭では花店用の低糖タイプがお勧め


教えてくれたお花屋さん
薄木健友 Taketomo Usuki
札幌の生花店株式会社花佳代表取締役。NPO 法人日本切花装飾普及協会認定カットフラワーアドバイザー。 第1回花のMVP大賞受賞。1988 年札幌市内の生花店に勤務したのち、1993年にフルーロン花佳を開いて独立。JFTD学園講師、切り花の水揚げと鮮度管理に関する講演や雑誌連載など、活動は多岐に渡る。

フルーロン花佳
北海道札幌市西区西野6条3丁目 1 - 1
http://www.hanaka.tv
E-mail:hana@hanaka.tv

もっと詳しく知りたい!「花の扱いのプロになりたい」という人は薄木さんの著書『水揚げ&花のケア 切り花の鮮度保持マニュアル』をご覧ください。

薄木さんの言葉:
家電販売業界から花屋に転向した私は、バラとカーネーションの違 いすらわからない、まったくの素人でした。

先輩たちから花の名前を 教わり、アレンジや花束、葬儀スタンド、祭壇、ブライダルブーケな どひととおりの技術を教わったのですが、ひとつどうしても納得のい かない技術がありました。
それが水揚げです。

キクは湯揚げして!ススキは酢に浸けて!アジサイはミョウバンをすり込んで!どの作業にも驚きましたが、それ以上に「なぜ?」という疑問を持ちました。

先輩たちに質問しても、「水が上がるから」と言われるだけ。
納得できる解答は得られませんでした。
独立後、ほかの花屋さんと交流するようになり、お店によって水揚げ方法が違うことを知り、私の疑問はさらにふくらみました。

いったいどの方法が正解なのか?
そこから 私の水揚げと管理についての模索が始まったのです。
その模索から得たことを、2008年から2年間、雑誌『フローリスト』にて連載させていただきました。

本書はその内容をさらにわかりやすくまとめたものです。

花によって、適する温度や湿度、そして水も違います。
エチレンガスの影響を受けやすい花、バクテリアの影響を受けやすい花など、性質はさまざまです。

それらの管理方法についても具体的に説明しています。
水揚げにはいくつもの方法があり、しっかりと水が上がればその方法は正しかったと言えます。
本書でご紹介するやり方が必ずしもすべ てとは言えません。
あくまでも数ある方法のひとつとして参考にして いただければ幸いです。

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