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国内IEOの制度改革(笑)の問題点、マーケットメイカーの是非、本当の問題点は?

こんにちわ。モッピーです。

日本暗号資産ビジネス協会(以下JCBA)からIEO制度改革の方向性の初期案が出されました。
以前、IEO制度改革のニュースを見たときはロックアップ(売却制限)の話くらいしか目につかなかったのでスルーしていたんですが、今日具体案を見てみたらマーケットメイカーを制度化していこうという恐ろしいルールを作ろうとしていたので、老害的な意見を言っていこうと思います。


自己紹介(読み飛ばしてOK)

昔勤めていた会社がIT企業でして、エンジニアとして勤務。
IT業界に入ったのが結構遅かったので、技術力はたいしてなく何かを作ることよりも会社を改善していくタイプの会社員でした。
社内のお金の動きを見て月間コスト1000万くらい減らしたり、クライアントの機能開発要望に対して「こうしたほうがもっと売上あがりますよ」とか提案して機能開発するというか、お金が好きだったというのもあり、その会社の後半は新規事業を立ち上げる部署をやってたりしました。そこでビジネス関連の法律を調べたりしてたのでビジネス領域で広くそこそこの深さで知見があったりします。

2017年に暗号資産を知って、最初はこんなんクソだなと思いながら新規事業のために調べてたらブロックチェーン面白いとなりブロックチェーン関連の新規事業をやったり。当時の会社はブロックチェーンの協会団体にも所属してました。当時は取引所作りたかった。

で、なんやかんや新規事業とかビジネスのことばっかり考えてたら自分で会社やったほうが早いじゃんと起業。最初は開発やってたんですが(IT時代の会社が広告もやってたので)今は金融ジャンルの広告代理店として仕事してます。

こんな経歴(というか今の広告業)の兼ね合いで仮想通貨業界の方々からもアドバイスも求められることも多く、仮想通貨界隈に多いインフルエンサー施策しかできない『自称代理店さん』と違った普通のマーケティング手法を知っているので取引所内外から相談役として意外と重宝されてたりもします。(国内取引所以外からは仮想通貨に関連した仕事はお受け出来ません)

投資歴は仮想通貨が最初で、株は正直よくわかってません。FXも分からないでせいぜいBTCFXを触ったことがある程度です。仕事の関係してる金融商品は触るようにしてますけどFXは触らず来ちゃいました。まぁ金融ジャンルってそもそも投資ジャンルだけじゃないんでね。

・IT企業にいたのでITリテラシーはそこそこ
・ブロックチェーンの知識もそこそこ
・法律知識もそこそこ
・金融商品(投資関連)の知識は何も知らない人よりはある程度

こんな感じのステータスなのでこの記事で金融商品の知識について間違ってたら教えていただければと。こっからが本題です

JCBAの国内IEOの制度改革案

JCBA公式サイトより

現行のIEOの問題点として⓵価格算定、②流動性、③安定操作、④売却制限 について挙げられています。

恐ろしいのが、②流動性でマーケットメーカーの導入を制度化しようとしているところ。震えあがりました。
また、③安定操作も結局はマーケットメーカーの導入に結論を持っていくための課題でしかありません。

マーケットメイクと称した価格操作が横行している仮想通貨市場で、そこを中心に活動している無認可で外注のマーケットメイカーが正常に機能するとは思えません。

ほかにも⓵~④全てにおいて突っ込みどころが満載なので、それぞれ書いていきます。

⓵価格算定

JCBA web3事業ルール検討TFについて より抜粋

価格算定については、現在の一枚10円で1億枚を10億円分売りますよという形でなく、オークション形式にしてIEO中に販売価格が変動する方式にしよう。というもの

イングリッシュオークションとは、通常オークションと聞いて思い浮かべるオーソドックスなオークションで、買い手が価格を競りながら最終的に最も高い価格を提示した買い手が購入できる販売方式です。

ダッチオークションは、イングリッシュオークションとは逆に、売り手が高めに設定した価格から順に値を下げてゆき、最初に買い手がついた値段で商品を売るオークションのこと。

ここで最も恐ろしいのが、販売枚数に関しては言及していないことです。

私が何が言いたいかというと、今までだと一枚10円で1億枚を10億円分だったものが、イングリッシュオークションで射幸心を煽り一枚200円で1億枚を200億円分売ってしまうという可能性が高いということです。

これは全然おおげさではなくて、実際に起こっています。上場戦です。

coincheck公式 tradeviewより抜粋

これは$FNCT(フィナンシェトークン)のチャートです。1枚0.41円固定でIEO中に販売、コインチェックで取引開始直後に約3.1円まで上がっています。これをオークションにしてIEO販売中にやろうと言っているのと同じことなんです。

仮にイングリッシュオークションでFNCTのIEOが実施されていたとしたら、事業者側は0.41円で販売していたものを3.1円で販売できホクホク、3.1円で上場されたら投資家たちは全員死亡の構図が出来上がります。

また、ダッチオークションはIEOで販売開始直後の射幸心を煽れるだけ煽れるので販売業者にはメリットしかありません。

どちらのオークションもより大きな金額分を売って利益が出るのは事業者だけで、出来高が無いなかでこれをやると投資家がより大きく損をすることになります。

そもそもなんですが、ダッチオークションもイングリッシュオークションもNFTで多く見られる手法で、オークション形式のIEOの事例ってそんなありましたっけ?(ここは私は無知で申し訳ないです)

価格の算定というよりも販売枚数には一切言及しない時点でIEOでの販売時に売れるだけ売りきろうとしてるだけですよね??

②流動性、③安定操作

JCBA web3事業ルール検討TFについて より抜粋

流動性については外注業者にマーケットメイクさせようというものです。
そもそもなんですが、海外の日本人に売りつけるような銘柄はマーケットメイクと称した価格操作ばかりです。

私のマーケットメイカー批判ツイートに対する、海外の仮想通貨のリスティングコンサルをやられていたフォロワーさんからのリプライです。

これはみんなオープンで言わないだけで、こういうリスティング業者だけでなく、暗号資産界隈でよく人と会ったりしてる人は全員知ってる事実です。

私も国内に上場している暗号資産銘柄の発行主から直接、「マーケットメイカーを入れて価格操作している」と複数銘柄で聞いたことあります。

なんで反対しているかというと、そういう銘柄は本来運営自体かけるはずの予算をマーケットメイクのために支払わなければならず、プロジェクト自体の予算縮小を招くうえに、意味のない出来高を作っても実需が無いため結局マーケットメイクの期間が終わると価格がボロボロになってるからなんですよね。

これでもマーケットメイクすることを健全化と言えますか?????

大阪取引所 マーケットメイカー一覧
東京商品取引所 マーケットメイカー一覧

大阪取引所と東京商品取引所のマーケットメイカー一覧です。皆さん金融庁の厳しい審査を受けて認可を持ってる証券会社ですね。

仮想通貨のマーケットメイカーってどうせ無認可の業者でしょ

この一言で終わりですし、仮に認可済みの会社に厳しい審査基準でマーケットメイクさせる金があるのであればプロジェクトに予算使ってください。

言いたいことはまだまだありますが後ほどまとめで言います。

④売却制限

JCBA web3事業ルール検討TFについて より抜粋

売却制限に関しては、大口に3ヵ月ロックアップさせようというものです。

そもそもなんですが、IEO銘柄の価格の暴落は大口が売り抜けてるから起きているのでしょうか?

JCBA web3事業ルール検討TFについて より抜粋

そもそも、滅茶苦茶ロックアップされてますよね。。。。。これ何だったんですか?????

公式が公言しているロックアップをすり抜けて売られてしまったから価格が暴落している事実があるのであれば、そこをより厳しくするのは賛成です。

ただ、これだけ各プロジェクトごとによりIEOで売りたいし価格を下げたくないのでロックアップは勝手に設けるじゃないですか。三か月を自主規制の制度にすることの意味は感じられません。

強いて言えば、ロックアップをすり抜け可能な使途不明な予算があるのが大きな問題だと思います。

PLTのエコシステム報酬は自分たちの財布に入れてしまってもわからないですし、FNCTのコミュニティ報酬も、NIDTのエコシステム報酬なども同様です。

JCBAのIEO部会の吉田さんよ、自分のとこのPLTですり抜け可能な設計にしてんじゃねーかw という感想です

本当の問題点は?

1.流動性が作れないエコシステムを設計している

一番の問題点はこれです。そもそもエコシステムを構築しても流動性に繋がっていないのが一番の問題です。

FCRホワイトペーパーより

例えばFCRのホワイトペーパーですが、ファンが買うから流動性ができるそうです。いやいやファンがいないから資金難なんだろうと。

海外でもサッカーのトップチームがファントークンをいくつも発行しています。
例えばChilizと提携したイタリアのセリエAのインテルが発行したファントークンですが、現在の時価総額は12億円程度です。

https://coinmarketcap.com/ja/currencies/inter-milan-fan-token/

しかも海外取引所10か所ほどに上場しており、ちょっと前までバイナンスでも取引が可能だった記憶があります。

世界中にファンを持つACミランが10か所に上場して出来高(流動性)を作っても12億円の時価総額なのに、日本のJ2だかJ3だかのチームがIEOで10億円分のトークンの販売をしてGMOコインでしか流動性を作らずに時価総額を維持することができるとは誰が考えてもできないと思います。
制度でどうこう以前の問題で、IEOにかかわった人たち全員が『10億円分売れればいい』と思っているとしか思えません。このエコシステムで10億円を販売することを誰も止めないことが問題なのです。市場の健全化や投資家に安心して買ってもらいたいなら、まず販売金額を落とす必要があるのです。

そしてそれはオークションなら解決する問題ではないです。射幸心を煽って日本のクリプトを潰すのはやめてください。流動性が生まれるエコシステムを作ってください。

2.煽り記事や情報の漏洩

https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/259763

これは東スポWEBで書かれた『投資家参入でアイドルコイン「NIDT」暴騰の懸念 グループ関係者は利益より育成を強調するが…』という記事です。

この記事がIEO販売中に出ました。その前3回のIEOでは全て完売しているのにこのような記事化がされることはありませんでしたが、NIDTだけは結果として売れ残ったにもかかわらずこのような記事が出ています。

しかも記事内から分かるように、内部の人間が東スポ側とやり取りをしています。

このような煽りとしか思えない記事が、IEO期間中に出ることは健全化とは程遠いです。こういった情報を流布することにこそ自主規制が必要だと思います。

3.販売所のスプレッドの広さ

これはDMMビットコインのNIDTの販売所価格です。

そもそもマーケットメイカーって既にあるじゃないですか、販売所という形で値付けして流動性を作ってますよね。

無認可外注のマーケットメイカーに価格操作される可能性を考えたら、販売所のこの一回売買しただけで資産が半分になる狂ったスプレッドをやめさせれば良いだけではないでしょうか。それが最も健全化に近くないですか?

これがもし本当に必要な値付けで、このスプレッドが必要なのであれば外注のマーケットメーカーだって同じですよw

まとめ・取引所の方々へ

今回の他にも言いたいことはたくさんあるのですが、時間もないので一旦やめときます。JCBAの資料は下記にありますので、皆さんも読んでみてください。

JCBA web3事業ルール検討TFについて

https://withb.co.jp/56829/

JCBAのIEO部会長の吉田さんはIEOコンサルとして商売をされている方です。
ビジネスとして利益の最大化をしようとすることは否定しませんが、自社の利益のために業界全体をより不健全にするのは本当にやめていただきたいです。

コンサルティングするなら、マーケットメイクで実態のない出来高を作ることよりも、出来高のあるエコシステムを作ることをコンサルティングしてはいかがでしょうか。

『ハッシュパレット IEO』の検索結果(ニュース)

この自主規制案で儲かるのは、吉田さんのハッシュパレットと、マーケットメイカー斡旋業者だけです。他は誰も幸せになりません。

最後に取引所関係者の方々へ、
この制度改革案を進めない賢明なご判断を望みます。


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