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川霧の橋とDreamChaserのはなし


わたしの大好きなひとが今年の七夕に卒業する。


月城かなとさんです。


月城さんがトップになられてから全作劇場で観ることが叶っているんですが、感想のメモが溢れかえっているので記録としてnoteに残します。

以前記事にした「応天の門」と「今夜、ロマンス劇場で」以外でがっつり感想を書き残しているものについてはこちらに記録しようかな。

観劇当時に書いたものだから、時系列おかしいかも知れないけれどなるべく修正せずにそのままの質感で残しておこうと思う

今日は、月城さんが初めて月組主演男役として舞台に立たれたプレお披露目公演の博多座公演を書いていく。


川霧の橋

トップスター初お披露目である「月城かなと」を見に来ている人が多くを占めている中で、良い意味で完全に、彼女自身の存在、「月組トップスター 月城かなと」を忘れさせられた芝居だった。なんたる没入感。
幸次郎でしかなかったというか。本当に芝居がうますぎる。
自分すらなくなるくらい役を作ってきてのめり込んでいくところが、月城さんを役者として好きなところだなあと痛感した。
この人が座長の芝居、そりゃあ素晴らしいに決まってる。
夢物語や綺麗事にならないのが月城さんの芝居の大好きなポイントだなと再確認できた。

人と人の繋がりをすごく感じる物語で、おじいさんが倒れた時に「みんながついてるからね」とお光に声をかけるあのセリフがこの物語の象徴だったように思う。
人情に厚く助け合うのが当たり前だった時代。
一方で、その繋がりが切られた者たち(夜鷹や清吉など)の苦しみや嘆きがあまりに辛く、その対比が残酷だった。

おじいさんが杉田屋の縁談を断った理由の、人は何気ない言葉でも確かに傷つくという話、すごく胸に刺さった。
「川霧の橋」という作品が描く人間群像の中で一番ぶっ刺さった。
悪気がないことがわかるからこそ許せなくて、忘れられない自分のことも許せなくて、ずっとそのたった一言に囚われて生きてきたことも胸が詰まる。
大工たちが道具を預けに来ていた時も、幸さんがお光を大事にしていると感じた時も、おじいさんは傷が疼くのを耐えていたんだなと思うと泣いてしまう。
この時代、人と人の繋がりが深いからこそ囚われ続けるんだろうな。
でも、幸さんが杉田屋の息子ではないということで、この問題自体が、ふたりの仲を割く理由にならなかったこと、救いがあるなと思った。
おじいさんは幸さんのことすごく大事にしていたと思うから。
おじいさんが最後幸さんの背中で亡くなるわけだけど、最後自分のことを許せていたらいいなあと祈るばかりです。

幸さん、ほんとうに月城さんにぴったりな役だったなあと思いました。
私が月城さんに抱くお人柄のイメージと幸さんのイメージがぴったりだった。
決して器用な方ではないけれど、情に厚くて、仕事に対して誇りと熱い想いを誰よりも持っていて、人に対してまっすぐ目線を合わせられて誰よりも優しいひと。
再演をずっと望まれてきた作品を今この時代に31年ぶりに月城さんが再演する意味をすごく感じました。

Dream Chaser

終演後あまりにも胸がいっぱいでわんわん泣いてしまった。
終演してもなお泣き止むことができなかったのは人生で初めて。
何なら今これ書きながら涙ぐむなどしている。


プロローグA

もちろん開演アナウンスでグッと来ている中、幕が上がり大階段に1人、おおきな月の中で月城さんが立っているのをみて胸が熱くなった。

ところが、プロローグはマイクトラブルで、月城さんと海乃さんのマイクがはいってなくて、びっくりした。
歌い出しの最初の音でマイクが入らないことに気づいた月城さんの表情、纏う空気がグッと変わって、そこからすごかった。
いつものようにまっすぐで力強い声が劇場に響いたのだ。
もちろんほとんど地声で、隣の母も思わず私にマイク入ってないよね?って聞くような事態だったけど、2階席の後方までまっすぐ月城さんの声が届いてきて、劇場全体がマイクが入っていないことに動揺していたところから、グッと月城さんの声に耳を傾けていて、集中力が一気に高まったところに鳥肌が立った。
非常事態でも視線を惹きつけて離さないの、舞台に立つ者としての責任みたいなのをものすごく感じて、この人が真ん中に立つ組はきっときっと強い組になるんだろうなあと思った。
私は月城さんに対してノブレス・オブリージュを感じるんだけど、舞台に立つものとしての誇りと責任を背負って生きてきたということをすごく感じるからだよなと思いました。

海乃さんも2階席までしっかり聞こえる声で歌っていて、ものすごく力強い歌声て、なんだか夢の力みたいなものを感じた。
マイクの入る鳳月さんと暁さんがプロローグの歌を引っ張っていたことも、この2人がれいこさんの後ろに立ち支えていくんだと思ったら、なんて力強いことか…と感動してしまった。
あと、プロローグで月城さんと降りてきた英さんが、マイクの入らない月城さんに、舞台用の笑顔ではなく、まっすぐなあの優しい笑顔を向けていたのにグッときてしまった。月城さんへの信頼、絶対に大丈夫という表情、ずっとそばでお手伝いをしている彼女だからできるよなって思った。


プロローグB

月城さんが1人残って歌うんだけど、アニメの主題歌のような爽やかな曲で、ここから新たな夢が始まるんだなと思った。
衣装替えの衣装のまま歌っていたんだけど、その衣装が、珠城さんは真っ赤だったけど月城さんは白で、髪型も相まってものすごく爽やかでディズニーの王子様みたいだった。
あの人の品のよさってなんなんだろう。ものすごく高貴で美しかった。
あと、上手でまっすぐ手を伸ばして二階席を見上げた時に、ドンピシャで視界に入る席だったみたいで、何回も視界に入ってるなあと感じることがあって惚けてしまった。グッとこちら側を見据えて歌ってくれているような感覚、眩暈を起こしそうだった。


ミロンガ

れこうみでミロンガが見れるなんて死んでも良いなあと、見る前から思っていたんだけど、これを何十回も見てからじゃないと死んでたまるかという気持ちです。
和物の人で、芝居の人なので、ショーでのスーツは本当に印象がなかったものだから登場のシルエットでドキドキしてしまった。
ダンスの人じゃないからこそ、めちゃくちゃ基本に立ち返って振り付けにとことん忠実に踊っている姿を見て、ものすごく振り付けの先生への、そして珠城さんへのリスペクトを感じた。
そして、海乃さんと組んだ時もすごく余裕を感じて、ますます月城さんのこれから作られるショーが楽しみになった。
帽子を指さすところも帽子に息を吹きかけるところも良かったな。

ミロンガの、女役とも男役ともタンゴで絡む感じ大好きなんだけど、月城さんが海乃さんに対してめちゃくちゃ熱くて、矢印がクソでかいのが良かった。
天紫さんと絡んでる時もいなしてはいるけど、そんな時でも海乃さんの存在を感じるような目線やお顔をされていて、執着している感じがドギマギしてしまった。(珠城さんはもっとドライに絡むから大人な関係を感じた)
一方で海乃さんはめちゃめちゃ余裕で、笑顔で天紫さんを「あらあら」って感じで煽ってたのが最高でした。
月城→海乃の矢印がでかいときに輝くのが、このトップコンビの良さ。
月城さんが鳳月さんと絡むところ、2人で組んで前に出てくるところで、それぞれ目がきくひとで鋭さが魅力だと思ってるんだけど、こんなに違うかー!?ってゾクゾクしてしまった。いいぞ、もっとやれの気持ち。
蓮さんとの絡みは、リフトはないけど、「うわあこれ見たかったです!!こんなに早くありがとう!!」と思いました。
そして最後に海乃さんに帰ってきた時のしっくり感。そうですこの2人だけが正解です、と思いました。
大劇場で銀橋に出てくるところが、博多座ではそれぞれ小芝居が入る仕様に変わっていたんだけど、帽子で隠しながらキスしたの、嘘でしょ?ってなりました。̪̪キスの直後に海ちゃんの頬を指で撫でて笑うの色っぽくて待ってくれよってなった。
そのあと帽子を被り直して最後の総踊り、真ん中で踊る月城さんの足捌きがすごく良かった。帽子を被り直す時の帽子の鍔を撫でるところは男役!!!!と思って興奮したし、最後の決めポーズの前、自分の鼻をスッと撫でて海乃さんを呼ぶの、めちゃめちゃ月城さんでよかったです。
カバーなんかじゃなくて月城さんのミロンガでした。
あと月城さんってショーでも場面ごとの芝居を感じさせる人なので、映画のワンシーンを見てるような気持ちになりました。
最後に海ちゃんの手を引いて去っていくところまで最高でした。


中詰

シルエットが見えた瞬間に、グッときてたんだけど、月城さんを真ん中に、海乃さんと鳳月さんがそびえ立つの、月組安泰すぎませんか。
この時から完全に涙腺決壊で泣き続けたんだけど、きっかけは英さんでした。プロローグの時とは全然違う、素直に真ん中に立つ月城さんを見るのが嬉しくて誇らしいというような英さんの笑顔を見てグッときてしまい、そこで周りの組子を見るとみんなが真ん中の月城さんを見つめているので号泣してしまった。
月城さんも真ん中の人を見つめてきた結果、ついに真ん中に立ちみんなの視線を背負う人になったんだなあと実感したし、「月組トップスター月城かなと」を一番実感しました。
たまさくと同じ振り付けを、れこうみで踊ってるの見て、あんまりにも大人っぽくて、2組の持ち味の違いをものすごく感じた。余裕と遊びがあって、切なさも帯びる音楽の中でしっとりと踊る2人、本当に素敵だった。
あとこれはおまけですが、男役群舞の時、月城さんの「フッ」がここで聴けると思ったら、聞いたことないくらいセクシーな吐息だったので普通にぶっ倒れるかと思った。忘れられん。


hymn of life

大劇場公演で月城さんが歌っていたところを鳳月さんが歌っていたけど、超上手くて最高だった。歌い方も違うし音の取り方響かせ方が全然違うけど笑っちゃうくらい声が通るので、最高でした。月城さんが歌うこの歌が大好きだったからこそ幸せだった。

月城さんの紫の衣装が美しくて、ヴェールが揺れるたびに尊くて儚くて壊れてしまいそうだった。表情を作って踊られるので、苦しさとか悲しさが迫り来るようで、それに潰されてしまうんじゃないかと思う。表情や目の使い方だけでそれだけ魅せられるのすごいなあ。
そして月城さんがみんなの救いになるの、すごく説得力があってよかった。月城さんを見て勝手に救われてきたのでなんだか自分の時間を重ねてしまったな。ここでもみんなが月城さんを見つめて月城さんを囲んでいて、ワンワン泣いてしまった。
初演で退団者の場面だったところが、月城さんの歌に海乃さんのコーラスが重なるシーンに変わっていたのめっちゃ良かった。
海乃さんめちゃくちゃ歌が上手くなってたし、声が太くなっていて、声の束みたいなのを感じた。2人のハーモニーが心地よくて素晴らしかったな。


男役群舞

私は月城さんの黒燕尾の、禁欲的なのに息を呑むような色香を纏うところ、少し背徳的でたまらなく大好きなんだけど、大階段に一人立ち踊る姿だけをスポットライトがまっすぐ照らしていて、それが孤高さを際立たせていて、あまりに美しかった。
美しいという言葉すら意味を持たないんじゃないかなというような美しさの圧を感じてそれがトップスターの凄みかと思いました。
ただそこに立てばそれが纏えるのではなく、「月城かなと」というものを一から作り上げた先に今の立場があるんだなと思いました。ついに聞けた「フッ」は、力強くて誰とも違う月城さんの覇気だった。
振り付けが変更になってみんなの間を練り歩くのもとてもよかったな。みんなとの、一人一人との関係性や縁がそこにはあって、その繋がりの先に大きな輪があるみたいなことを考えました。
最後月城さんに向かってみんなが跪くのを見てゾワッと全身に鳥肌が立った。みんなの強い目線の先に月城さんが立っているの、トップスターを頂点とするピラミッドを正しく感じた。思い出しただけでも泣ける。


デュエットダンス

あまりにも2人が可愛くて可愛くて泣いた。2人の目からお互いに対する愛を感じる。それがたまらなく幸せだった。
海乃さんが美しい海のような色のドレスを着ていてあまりにもロマンチックだった。少しグリーンを混ぜた色のドレスで、雪組で育った月城さんに思いを馳せてしまった。
月城さんがここでもめちゃくちゃ基本に忠実に踊るので、踊りが得意な海乃さんに対するリスペクトを感じてしまった。
あと私は海乃さんのスカート捌きがたまらなく好きなんだけど、スモークを海乃さんのスカートさばきでかき分けていくの、力強く自分たちの道を切り開いていくような感じがして、しかもそれを海乃さんから感じて泣いてしまった。あまりにも頼もしいな。
大人な持ち味だと言われるコンビだけど、恋の甘酸っぱい駆け引きみたいな振り付けですごくドラマがあって可愛らしくて最高だった。
このデュエダンを見たらロマ劇間違いなく成功するなあと思った。
ロマンチックで眩しかった。
最後バンっと2人が目を見開いてこちらを見て終わるの、未来への希望だなと思いました。


Stand by me〜フィナーレ

私はデュエダン後の挨拶が大好きなんだけど、月城さんのリードが素敵だし、一緒に立って一緒に進んでいくみたいなのをすごく感じた。
海乃さんが去ろうとするのをグッと腕を握って引き留めるの、映画みたいで素敵だった。
2人が音楽に身を任せているのも良くて、new waveのDay and Night思い出した。
海乃さんが主要な男役と踊るのめちゃくちゃ良い演出で、月城さんだけじゃなくて、海乃さんも1人のスターとして、1人のトップとして祝福されているようで、先生の愛とリスペクトを感じた。鳳月さんと暁さんがリフトするのもよかったなあ。
月城さんが男役たちと腕を交わすの、「誓い」みたいだなあと思った。背中を預けあうことの「信頼」と良い舞台を一緒に作ることの「誓い」がそこにあった。
そして、1人残りドリームチェイサーの音楽に合わせて珠城さんが踊った振り付けを月城さんが踊るの見て大泣きした。月組を守り導いてきた全ての歴史を背負い、責任と共に進んでいくんだなあ。
最後にお辞儀する月城さんを見て、トップスターの孤独と重責と、そして「月城かなと」の軌跡と力強さに、この人を絶対に絶対に最後まで応援し続けようと思いました。


パレード

去る月城さんの後ろで晴音さんがエトワールの準備してるの見て同期の絆を感じました。晴音さんがエトワールの時点でもう優勝しすぎている。うますぎて絶句です。
そこから英さんが真ん中で降りてきて泣いちゃった。思えばこのドリチェ英さんに泣かされ続けたな。
そして鳳月さんの羽根。あまりにピッタリで金髪がものすごく映えていて、月城さんとまた違う素敵な2番手さんだった。月城さん・海乃さん・鳳月さんのトリデンテすごく良いなあ。
海乃さんがこのショーを通してあまりにも月のプリンセスで眩しすぎた。
圧倒的なヒロイン力を見せつけられてしまって、その押し出しの強さ最高でした。

そしてみんながトップスターを迎える隊形になって、大階段を歩く月城さんを見て、横から見る羽根の大きさが全然違って、もう月城さんを見てられないくらい泣いた。顔を覆って泣いた。
泣きすぎてオペラ握る腕が震えすぎていたので、ステージを俯瞰したんだけど、大きな羽根でみんなに見守られて大階段を降りていくの、紛れもなくトップスターで、大好きな人の夢が叶ったその場所に立ち会えて本当によかった、博多まで来て本当によかったって思いました。
夢が叶う瞬間を見るのってこんなに胸がいっぱいになるんだね。嬉しい以外の感情がない。
大きな羽根をブンッと振ってお辞儀する姿を忘れない。
鳳月さんと海乃さんに挨拶するその挨拶の仕方もあまりにノーブルで素敵だった。幕が降りるその瞬間まで美しく気高く熱い姿だったなあ。
終演後挨拶は、寒暖差がすごいのでお体に気をつけて、また健康に会いましょうという感じの内容で、ちょっぴり面白くてお茶目な変わらない月城さんがいて、だからこそ安心してまた嬉しかった。

最後に

全てを終えて、ああ本当に夢がかなったんだなあと実感して、あまりに嬉しくて本当に立ち上がれないくらい泣いてしまった。
とてもとても幸せでした。
始まるってことは終わりが来るということですが、それでも月城さんが宝塚で見る夢を最後まで最後まで応援したいです。

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