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大分で、日本美術の巨匠達に出会う。-東京国立博物館名品展 @大分県立美術館 OPAM-


美術館が面白いと思ったのは、高校3年生の夏だったとはっきり覚えている。
部活での大会参加のために訪れた東京、空き時間に顧問の先生に連れて行ってもらった東京国立博物館で行われていた特別展「対決-巨匠たちの日本美術」が、最初のブレイクスルーだった。

当時受験勉強の為に日本史Bで習った、本阿弥光悦の「舟橋蒔絵硯箱」を生で観て、その意匠のあまりの美しさに、しばらくその場から動けなかったのを覚えている。
それは、生きた教科書を眺めるような不思議な感覚だった。
日本史の図説に載っている数々の作品は、きちんとこうして実在したのだ!と、感動に打ち震えた。
その企画展では、喜多川歌麿の「ポッピンを吹く娘」も展示されていたと記憶している。
そして、ああ、浮世絵ってこんなに小さいものなのだ…と思った。
図説だけでは分からない、作品の大小や質感、色合いを、肌で感じることができた。

大分県立美術館(OPAM)でやっている東京国立博物館の名品展は、正直写楽と地獄草紙が来ること以外そんなに前情報を入れずに行ったのだけど、ほんとうに想像以上によかった。

伊藤若冲、曾我蕭白、円山応挙、本阿弥光悦、野々村仁清、葛飾北斎、喜多川歌麿………

日本美術史に燦然と輝く巨匠達の大乱闘スマッシュブラザーズのようだった。

教科書で一度は勉強した歴史上の人物の作品が怒涛のように、まとめて観られる興奮。

展示の仕方も分かりやすくて、作品名のクレジットの横に、作者の名前が大きくクローズアップされていた。作品を知らなくったって、作者名を知っているだけでも楽しめるのだ。

ここは大分なのか?と本当に思った。
高校3年生の時、光悦に出会ったときの胸の高鳴りを、思い出した。

鑑賞中、おそらく授業の一環で美術館を見学しに来ていた県内の高校生たちに出会った。
これを今リアルタイムで鑑賞できる彼らは、なんて幸せなのだろう。
東京に行かなくったって、大分で、巨匠達の作品に出会えるのだから。

「高校生の時に、写楽の絵を生で観た」という実体験は、彼らがきっと大人になっても記憶のどこかで輝き続ける素晴らしい体験になるだろう。どうかそうであってほしいなと思う。

「国宝、日本の美をめぐる 東京国立博物館名品展」は、OPAMで、11/25までです。

https://www.opam.jp/print/exhibitions/detail/332

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