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沢村栄治

盆、故郷に帰りし。本屋にて戦死した伝説の投手、沢村栄治のことを綴った本を興味本位で手に取る。沢村栄治はプロ野球創成期に巨人軍で大活躍した投手で、三度目の出兵で若くして亡くなっている。その本には沢村栄治のことだけでなく、戦前のプロ野球発足の経緯や戦争の渦中に野球の在り方がどのように変わっていったのかなど分かりやすく書かれていた。読み進め沢村栄治に感情移入する。youtubeで昔の彼の動画なんかを漁る。どうして若き伝説の投手が出兵し命を落とすことになったのか、悲しくて掘り下げて色々と調べ始める。初めてだろうか、第二次世界大戦前後の出来事について主体的に調べ学びを深めた。何が、誰が、戦の原因だったのか、調べながらも明確な答えは得れず精神的に疲れてしまった。見る角度で話は180度変わってしまう。

実家に帰り、存命の祖父に戦争の話を初めて自分から尋ねる。実家で暮らしていた学生時代は祖父の語る戦争話が好きではなかった。しかし今は戦争を体験した人の貴重な話として深く受け止めることができる。戦争を知る人も随分少なくなっている。居なくなってしまった祖父母にも昔の話を聞けばよかったと思う。
渦中にいた方、若くして命を落とした方の気持ちを慮ろうとしても平成ピヨピヨ人間である私の想像力では限界があるが、とにかく平和を祈るばかりである。目の前にある自分の悩みなどせいぜい微塵子であることを痛感する。
両親も飼い犬も着実に年を重ねていることを痛感し、止めることのできない、ただ淡々と過ぎていく歳月に切なさを覚える。そこに愛しさと心強さはない。かつて好きなバンドが口にしていた繰り返される諸行は無常という言葉を胸に突きつけられている。頭を丸めて仏にでもなりたい気分である。君たちはどう生きるか。っていやいやどう生きたらええねん、教えてくれへんのかい。

突然少年/あらしのよるに

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