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ニコ動の復権を願う

ニコニコ動画、通称「ニコ動」は、僕が高校生の時にサービスが始まった。
最初こそ、なんだか明らかに怪しい、黒寄りのグレーな感じの動画サイトだったのが、知らぬ間に会員制となり、みるみるうちに大きくなっていった。
ボカロ、ゲーム実況、東方、音madその他色々なブームがニコ動から発信されていった。
全ての作品を見ていたわけではないし、正直寒いなと思っていた作品や嫌いな感じのもあったけれど、どことなく漂う「オタク感」が心地よかった。
2ch創設者のひろゆき氏が初代管理人だったのも、その空気感を漂わせる要因の一つになっていたのかもしれない。

大学生になってからはニコ動はより大衆にも浸透し、毎年行われる「超会議」などはいつしか地上波メディアにも取り上げられるまでになった。完全に社会現象となっていたと思う。

そんな一世を風靡したニコ動も、時代の流れとともに、いつしか廃れていった。
Youtubeの発展も大きかったと思う。画質、動画再生の快適さからニコ動はYoutubeには勝てなかったのかもしれない。
かつては「Youtubeの動画にコメントを流す動画サイト」だったニコ動は結局そのYoutubeに覇権を譲ることとなってしまった。

時は経って2022年、未だYoutubeの勢いは衰えるところを知らない。いつの間にか聞くようになった「Youtuber」はいつしか小学生のなりたい職業ラインキングに入るまでに世間に認知された。
こんなタイトルの記事を書いておきながら、僕自身も毎日Youtubeは見ている。登録しているチャンネルもたくさんあるし、本当に毎日楽しませてもらっているのは間違いない。
ただ、自分の中での「引っ掛かり」がずっと払拭できないでいる。
刺激的なタイトルやサムネで再生数を稼ごうとする動画、目につくYoutuberの蛮行、またそこら界隈のYoutuberに漂う拭いきれない底辺感。
無論、ニコ動にもクソみたいな動画はたくさんあった。ニコ生にもたまに元ヤ〇ザと名乗る奴やDQNみたいなカスはいたけれど、その時とはまた毛色の違った、「嫌な胸のざわめき」をYoutubeの検索画面などを見ているとたまに感じる。

何というか、僕が高校生のときはまだまだ、インターネットは所謂「オタク」の居場所であった。
インターネットコンテンツの一つであるニコ動も、上述したような例外を除いては、ユーザーも投稿者側もどこかこちら側の人が多かったように思う。良くも悪くも、ニコ動はずっとオタクだった。

大してYoutube、大きく発展してきたように感じる2013年以降、インターネットはもはやオタクだけのものではなくなっていた。
スマホの普及もあり、誰の生活にも当たり前に存在するものとなっていた。
そういった時代の流れもあり、Youtube、ひいてはYoutuberと呼ばれる存在は、僕が学生時代に避けてきたような人達、今の言葉でいえば「陽キャ」と呼ばれる人たちの所有物になっていた。
もちろん、そういった人たちだけではない。一括りにできないことは分かっているけど。
僕が近年Youtubeを利用し続けてずっとどこか、心の片隅に感じていた違和感の正体はそれなのではないか。

最近、おと〇っか(なんかみんな伏字にしているから一応)が一部界隈で流行っているらしい。
試しに見てみた。

久しぶりに爆笑した。

コンプラも著作権も無視したクソみたな動画。
どうしようもなくくだらなくて、頭空っぽでも楽しめる作品。
例えるなら、まだ嫌いな芸人界隈だった時代の江頭2:50を見て死ぬほど笑っていた時と同じ感覚。
正直どこのコンテンツ発祥なのかは知らない。
ただこの作品、所謂「音MAD」なんですよ。
どこか感じた既視感、親近感はそこなのかなと。
面白がって見ている層ももしかして同じような世代が多いんじゃないかと勝手に思ったり。

また、僕の好きなテレビ番組で、「X年後の関係者たち」というカズレーザーが司会をやっている番組があるんだけど、最近オンエアされた回がニコ動の回だったんです。
そこで創世記、発展期や衰退期、そしてこれからの展望の話を聞いていたら、自分の中で懐かしさと共に何か湧き上がる感情があって。
あの頃が懐かしくなって、久しぶりにログインしてマイリストに登録してた動画とかを見てたらやっぱ今でも面白くて。
あぁ~やっぱニコ動って僕の居場所の一つだったんだなぁと。
また復権しねぇかなぁと思い本記事を書いた次第です。

ただ誤解しないでほしいのが、僕はYoutubeを否定しているわけでは全く無い。
最初に書いたように、本当に楽しませてもらってるし、これからも変わらず使っていくと思う。

ここからは僕のアイデアなんだけれど、ニコ動とYoutubeで上手い住み分けができれば良いなと思うんです。
ニコ動は、コメントが流れる機能もあって、やっぱりエンタメとかネタ的な動画、またはゲーム実況などが強い。
番組でひろゆき氏が言っていたように、つまらない動画でもコメントでいじることで面白くなる要素があると思う。
対してYoutubeは、画質の良さも手伝って、色んな製品のレビューや解説動画、またはVlogなど、より一般層にも親しみやすい動画が映えると思う。
双方の良さを生かして、より得意なジャンルを発展させていく方向に進めれば、良い共存関係が生まれるんじゃないか。
そうなったとき、より面白い世界になるような気がする。

前述した「おと〇っか」の謎の流行により、僕のように昔のニコ動を思い出す人は少なからずいると思う。
あの頃のようにくだらない動画やコメントで笑える日々が来ることを願って。
もし自分の子供が動画とかを見るようになったときにニコ動がまた第一線に戻ってきていたら、こうマウントを取ってやろうと思うんです。

「父ちゃんはな、会員制になる前からずっと見てたんだぞ」と。

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