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シューゲイザーとその遺伝子(雑記)

シューゲイザーは80年代から90年代初頭にかけ、イギリスを中心とし少しだけムーブメントとなった音楽ジャンルである。
深く歪んだ轟音ギターに空間系のエフェクトをかけ、白昼夢のような浮遊感を演出した。
My bloody valentine、Ride、slowdiveなどがその立役者となり、多くのフォロワーを生み出した。
しかしながらマイブラの「Loveless」によって、良くも悪くもムーブメントは終わりを告げることになった。
無論、音楽やそのジャンルに答えなどない。
ただこのアルバムは、恐らく当時多くのシューゲイザー系バンドが目指していたであろう音世界を完全に表現してしまった。
なんとなく抽象的に思い描いていた音像に明確な「答え」を出してしまったように思う。
あまりに完璧すぎるこのアルバムによって、その後のシューゲイザーバンドがLovelessの模倣ばかりするようになり、またマイブラ自身、このアルバムの発表後しばらく姿を消してしまったことから、シューゲイザームーブメントは沈静化していった。

それから20年あまり経った。
シューゲイザーの新しい流れは未だ来ていないように思うけれど、ちょくちょく、シューゲイザーの遺伝子を持ったバンドが国内外に登場しているように思う。
日本の場合だと、近年でいうと「きのこ帝国」が初期のアルバムにおいて、明らかにシューゲイザーに影響を受けた楽曲を作っていたし、最近だと「揺らぎ」や「クレナズム」、そして「羊文学」などが新たな解釈でシューゲイズしてる。
ドリームポップ、というジャンルとも混同されがちだし、その括りにも間違ってはいないけれど、ここではあえて一括りに「シューゲイザーの遺伝子を持ったバンド」とさせて頂こうと思う。
ただド直球にシューゲしてるかというとそういうわけではなく、色々なバックグラウンドがあるなかにその空気感がより濃いと感じる。
要するに、シューゲイザーはジャンルとしてというよりかは、手法として生き残ったのではないかなと思う。

シューゲイザーはジャンルとしてスターダムに登れる音楽じゃない。当初のムーブメントだって、一部音楽界隈で盛り上がっただけで世の中を席巻したわけではない。
ただ出来るだけメジャーな舞台で、その音が大きく鳴り響く日を心待ちにしている部分もある。
ある種アバンギャルドなジャンルがお茶の間に届く瞬間があればそれは痛快である。

羊文学を中心としたそこら界隈のバンドの今後の活躍っぷりには、是非とも期待したいところである。

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