日本のエリート女子大生・世界のエリート女子大生

SYNODOSさんに掲載された「日本の女子教育の課題ははっきりしている」の追記Part1です。記事のキーポイントは、①日本の女性の大学・院進学率は低い、②日本の女性のSTEM系進学率は低い、③日本の女性の基礎的な人的資本は優れている→④それが労働参加に結びついていない→⑤高度な人的資本を備えた日本人女性は不足している、という辺りになります。記事では①日本の女性の学部・院進学率が低い、②STEM系への進学率が低い、という2点にフォーカスしましたが実は日本の女子教育の課題はもう一つあります。それは…、

トップスクールに女子学生がいない

ということです。どれだけ日本のトップスクールに女性がいないか以下で検証していきます。日本のデータについては東京工業大学以外は各大学のHPから、IVYリーグのデータはUS Newsの大学情報から、その他のデータ(比較性を持たせるために東工大のデータはここからです)は全てTIMESの大学ランキングから取ってきてあります。

まず日本の旧帝国大学を見ていきます。大阪外国語大学を吸収した大阪大学で女子学生比率が30%を超えていますが、その他の大学は全て30%を下回っています。特に東大京大で低く、学部生の約5人に1人しか女子でないというのは世界的に見ても極めて低い値となっています。というわけで、諸外国のトップスクールでの女子学生の割合を見ていきましょう。

まずアメリカのIVYリーグです。アドミッションが根本的に日本と違うこともあって各大学で学部生の男女比は大体半々になっています。コーネル大学を除いて元々これらの大学は男子大学として始まり、共学になったのが第二次大戦以降であることを考えると、日本の旧帝国大学の女子学生比率の低さが際立つのではないかと思います。

次にヨーロッパです。世界大学ランキングで各国のトップに位置する大学+イギリスの3大学を拾ってきました。イタリアのピサ国立大学だけは30%を割り込んでいますがそれでも東大よりは10%%は高い値となっています。さらに英・独・ベルギー・蘭・仏のトップ大学では大体学生の男女比率は半々となっています。

最後にアジア・アフリカの各国のトップに位置する大学です。韓国はデータがなかったので入れていません。日本の旧帝国大学はアジア・アフリカのトップスクールと比べても女子学生の比率が低い事が一目瞭然です。

世界的にはトップスクールの男女比は半々であることが基本になっている中、日本ではこのようにトップスクールで学生の男女比が半々に到達するどころか、女子学生が1/3にも満たない状況になっています。これでは日本で指導的立場に立つ女性の数が増えることを望むのは難しいでしょう。

特に日本のトップスクールは公立校であるため、男女を比べたときに女性の方が税金による教育支援を受けられていない不公平な状況にあるといえます。男女間格差是正のために税金が使われるどころか、むしろ公的支援が現在の男女間格差を維持する方向に働いてしまっているのは看過されてはならない事実でしょう。

では、旧帝国大学にクオータ制を設ければいいかと言われると少し微妙な感じがします。問題の本質は高校で女子の学力が急降下してしまうことであり、ここに対処せずに小手先の政策で対処していては、教育を通じた男女間格差の是正の効果が限定的な物となってしまうと考えられます。記事への反応を見ているとなかなか酷い高校教師の話が垣間見れるのですが、これをどう改善するか、ここが問題の本丸です。

とは言うものの、繰り返し言っていますがこれは鶏と卵の関係でもあります。トップスクールを卒業して、社会で活躍し、充実した生活を送る女性のイメージができないのに、トップスクールを目指して勉強を頑張れと女子高生に言っても頑張れるわけがありません。エリートと呼ばれる女性が活躍できる社会にしていくこと、これが日本の女子教育の課題を克服するうえで必要な事の一つです。

そういえば、私が東大を卒業したのはもう9年も前になりますが、就活で同期の女性が最終面接まで進んだのに、「うちは女性は取らない」と落とされて泣きながら学部生控室に来た事を思い出しました。あれから殆ど日本にいないので今の日本がどうなっているのか分かりませんが、あの時よりも良い状況になっているといいですね、外から見ているとあまりそんな感じはしませんが。

おまけ:各国の工科大学における女子学生の比率です。大体1/3が女子学生といった所でしょうか。予想通りではありましたが、東工大…。とは言うものの文学部がある東大と東工大で女子学生比率がわずか5%%しか変わらないというのも驚愕ですね、うーん東大…。

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