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マニピュレーターの機材紹介

今回紹介するセットはアナログ16回線のシステム。
アナログのマニピ機材の中では最多の回線になるのではないだろうか?
17回線以上ではデジタルとなるケースが多いように思える。

マニピュレーターとは?
マニピュレーターとは、楽曲制作でミュージシャンが生演奏する以外のパートをプログラミング(打ち込み)によって制作し、ライブではそのオペレーションを行う人のことを指します。

KOYO SCHOOL OF MUSIC & DANCE

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オーディオインターフェース
MOTU 16A ×2

オートスイッチャー
Radial SW8 mk2 ×2

DAW
Digital Performer 11

ラップトップ
MacBook Pro (Retina Mid 2012)

OS
High Sierra

※写真に写っている「BEHRINGER/ADA8200」は必要ないので今回は記載しません。

メイン機がダウンした際に、SW8がそれを察知してバックアップ機へ自動で切り替わるように、メイン機はプレイバック中つねに1kHzトーンをSW8へ送り続けている。

メイン機とバックアップ機の同期方法には何通りかあるが、今回はMOTUのJamSync機能を利用している。
この機能はDigital Performer付属のプラグインである「SMPTE-Z」というタイムコード(LTC)を発信するプラグインを利用する。

その信号をバックアップ機のインターフェース(16A)へ直接送り、それを受け取ったバックアップ機は同期モード(スレーブモード)をオンにして再生するとメイン機と同じタイムコードで走り始めるというものだ。
回線を潰したくないので、タイムコード(LTC)を送る回線にはADATを利用している。

同期方法は何が良いか?

  1. 1つのMIDIコントローラーの信号をMIDIインターフェースを経由して2台のMacへ送る。

  2. メイン機のMIDI信号をウエイトモードで待機しているバックアップ機へ送る。

  3. SMPTE-Zを利用してJamSyncを使う。

1つ目
MIDIコントローラーの信号を2台へ送る方法だが、これはイメージがつきやすいのではないだろうか?
2台のMacの再生ボタンが1つのボタンで行えるという非常に簡単な仕組みである。
この方法を取るデメリットは、一度走らせてしまったプロジェクトでは途中からバックアップ機を同期させる事が出来ない事にある。
ここを解決する事ができるのが2つ目の方法だ。

2つ目
これはメイン機とバックアップ機で双方にMIDI信号を発信/受信している方法となる。
仕込みの段階で必要になる事は、毎小節の頭にMIDIを打ち込んでおくこと。
そうする事でプロジェクトを再生すると、MIDI信号が常に小節頭で発信され続けている事になる。
途中から同期させる場合、例えばメイン機が49小節目を演奏しているタイミングで、バックアップ機は50小節頭にセットしてウエイトモードに入れておく。
するとメイン機が50小節に入った際に仕込んでおいたMIDI信号がバックアップ機へ送られてバックアップが再生されるという事だ。
これの便利な所はバックアップからメインへ戻す際にも同じ仕組みで切り替えられるというところにある。

3つ目
MOTUのJamSyncを利用した同期方法。
LTC(リニアタイムコード)を利用した方式で、同期の精度としてはこの中で一番精度が高い。
信号自体にタイムコードが記録されているので、バックアップ機はスレーブモードに入れて再生を行えばメインと同じ時間軸で再生が始まる。
しかしこのJamSyncが少々曲者。
現在は問題なく動作する環境で整っているが、ここの動作確認には時間を使って準備しておくことをお勧めする。普通にセットアップしても機材との相性で同期再生されない事が多い。
・インターフェースのファームウェア最新チェック
・ドライバーの選定
・macOS の選定

また、MOTUのインターフェースと言ってもJamSyncが利用できるものと出来ないものがある。
AVBシリーズではインターフェースのミキシングソフトにPro Audio Controlが使われているので、その機能にLTC設定(JamSync)があるのだが、ハーフラックでアナログ10回線が実現できる人気のMOTU ultra liteシリーズなどで使われているミキシングソフトCueMixにはそれがない。

過去mk3世代では「MOTU SMPTE Console software」を利用して可能となっていたようだが、現行のモデルでそれが可能になるのかは定かではない。


以上、そのような事から無難な同期方法としては2つ目のMIDI信号で同時再生される手段にやはり軍配が上がると考えている。

機材をレンタルしてマニピュレートする可能性も考慮するならば、MIDIインターフェースとMIDI同期用の仕込みを行っておけば動作するMIDI送受信の方法は非常に手堅い。

自分はJamSyncを使いつつも、MIDIの仕込みとMIDIインターフェースを常に持ち込んでいる。

是非参考にしてください。

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