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アイデアスケッチ

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思考や発想をみえるかたちにすることについて
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デザインワークにおける「アナロジー」のススメ

私の好きな発想法「アナロジー」についての話をしたいと思います。そもそも、なぜ好きかというと、単純に発想法の中でもダントツにプレイフルなやり方だと感じているからです。自分一人でおこなう時もそうですが、複数人でのアイデア出しなどでは、人によって違う見立てや、「なるほど!そこを引っ張ってきたんだ!」という自分では思いも寄らない発見がもたらされて、個々の発想だけでなく、対話が生まれやすい手法です。 そんな「アナロジー」を、どんなふうに使っているか、少し紹介していきます。 アイデア

プロダクトのリデザインプロセス

HDDの整理をしていたら、学生時代にまとめたらしい「デザイン」のプロセスについての資料が出てきました。これは基本的な「リデザイン」のプロセスで、大きくは学校課題であっても仕事であっても当てはまるものだと改めて感じたので、紹介します。(にしても、まめに資料化していた過去の自分に驚いています。) 競合他社・既存製品の分析 サンプル製品を、中のステンレス内容器ごと真っ二つにしたことを覚えています。「リバースエンジニアリング」という言葉がありますが、そのように各部の寸法を計測した

アイデアを複眼的に見るための「4マスシート」

「アイデア」や「発想する」と言われると「思いつき」と思っている人は多いのではないでしょうか。しかし、アイデアや発想というものは、単純な思いつきではなく、自分を取り巻く情報同士の結びつきの中に存在しています。発想が苦手…という人の多くは、その情報たちを一元的にしか捉えられていなかったり、グチャグチャに捉えていたり、頭の中でうまく構成できていないことが原因で発想を難しくしています。 まずは、自分の思考に足りていない情報を認識しよう!「思いつき」の多くは、自分が一番よく考えている

自分も知らない形と出会うための「スケッチ展開カード」

昨年から、大学でアイデアスケッチの授業を受け持ち、いろいろ実験的なワークを用いて学生と一緒にアイデアスケッチの探求をしていました。中でも好評だったのが、この「スケッチ展開カード」です。 スケッチ展開カードとは?この「スケッチ展開カード」は、一体何をするためのものかと言うと、スケッチワークの中で特に下流にあたる「スタイリング(造形)スケッチ」の展開段階で、自分の中にある造形の引き出しから飛び出して、自分自身も思わぬ形を発見することを楽しむための発想を促すカードです。 <スケ

「アイデアスケッチ」の授業はじまります✍️

非常勤講師の任を受けて、プロダクト/インダストリアルデザインを学ぶ学生に「アイデアスケッチ」の授業を受け持つことになりました。授業はリレー形式で、手描きレンダリング→アイデアスケッチ→CGレンダリングの順で展開されます。そのうちの真ん中のパート(5回の講座)を担当します。 実際、自分が大学生の頃を思い出すと、スケッチ"技法"のレクチャーはあっても、発想や思考を、可視化手法(スケッチ)と合わせて構想していくことはあまり体系的に教わったことはないので(発想法はいくつか学びました

チームの発想と解釈を混ぜ合わせる「アイデアマッシュ」な考え方

アイデアはアウトプットではなくプロセス アイデアと言われると、成果物(アウトプット)のイメージを持ちがちですが、どちらかといえば、思考の分岐点や転換点などプロセスの中に目を向けることでアイデアは生まれます。また、そのアイデア自身もプロセスの一部となり、また新たな流れを生み出します。 なので、「アイデアの拡散と収束」という言葉をよく使いますが、実は「プロセスの分岐・転換と統合」と捉えるほうが自然なように感じています。それは、「アイデア=アウトプット」というイメージでいると、

アイデアをマッシュアップするSKETCH MIX

プロダクトデザインを学ぶ学生に向けて、アイデアスケッチのワークショップをおこないました。「アイデアスケッチって何のために描くの?」ということを意識してほしいと思い設計したワークです。スライドとともにワークの振り返りをしていきたいと思います。(初めて試みるワークだったので自分のリフレクションとしても) 💡はじめに ーインプットー そもそも、「アイデアスケッチ」という行為はどんなことをしているのか?ということをまとめています。アタマで発想したことを構築しながらテで表現して、表

アイデアを「スケッチ」すること

「みなさん、普段アイデアは何に書きとめていますか?」私は、A5ノートとA7のメモ帳にそれぞれ「ツラツラ描く用&打合せ用」「とりあえず思いつきメモ用」で分けています。また、iPhoneのメモ機能で文章として絵文字混じりでアイデアを書き残していたりします。そんな、自分だけのノートに普段はアイデアを描きためて、たまに見て、描き足して、ぬか床のように熟成させていますが なかなか、そうはいかないのが「お仕事の話」 ワークショップ形式で、プロジェクト参加者にアイデアを発想してもらう時も

絵で伝えることの効果

グラレコはじめたら思考が広がった話

「デザイニスト」という言葉が世の中にはあるらしい。 普通は「デザイナー」という言葉を用いるのだけれども、その違いを考えていた時に、グラフィックレコーディング(グラレコ)をはじめてみて感じている思考の広がりと似ているのかもしれないと思って、まとめてみました。 まず、「デザイナー」と「デザイニスト」の違いを自分なりにまとめるとこんな感じに 「デザイナー」:design+er designという「動詞」にerが付いた言葉。(erは主に動詞に付くらしい) 「プロダクトデザイナー」

思考の足跡(ログ)を残す「ビジュアルシンキング」

デザインの仕事をする中で、意外と“思考する”ということを意識的に目的として視覚化する割合って少なかったりします。 もちろんアイデアスケッチをするときは「思考する」ときですが、それ以上に相手に“見せる”ための視覚化に時間を取られる事のほうが多々あります。きっとデザイナーとの付合いで、目にするものは後者のクオリティを高めたスケッチのほうが多いと思います。なので、成果物だけを見ていてもデザイナーの思考プロセスを見てとれる機会はなかなかないと思います。 そうすると「デザイン」っ

グラレコ&観察スケッチでアイデアスケッチをブーストさせる

グラフィックレコーディングに、観察スケッチに、アイデアスケッチ…ごちゃ混ぜ全部乗せみたいな話ですが、どれも最近自分がやっていてマッシュアップしたら、アイデア発想を促進できそうだなと感じていたものたちです。 簡単に流れを説明すると アイデアスケッチに入る前に、グラフィックレコーディングを用いて、インプットの情報を整理したり、ネット上などで得た二次・三次的な情報から自分事として迫り「問いの創出」をおこない、観察スケッチで「解を導く基本的な方程式」を理解しておきましょうという

[Idea Sketching in TokyoーIAMASの著者4名×清水淳子氏によるワークショップ]イベントレポート

6月16日におこなわれた、「アイデアスケッチーアイデアを<醸成>するためのワークショップ実践ガイド」の著者であるIAMASのメンバーのみなさんと、「Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書」の著者である清水淳子さんをゲストに迎えた「アイデアスケッチ」のワークショップイベントへ参加してきました。 ↑IAMAS小林さんのtwitterより、拝借させていただきました。 アイデアスケッチの本もグラレコの本も両方拝読していたので、抽選に

デザイナーになって気がついた、絵を描くことの意味

最近、改めて絵を描く意味ってなんだろうと考えるようになりました。 工業高校からデザインを学びに都内の芸術系大学へ進学して、それ以来「絵を描く」という行為は常におこなってきました。 しかし、工業高校から出てきたので、大学入学時は絵などほとんど描けずに「パースってなんですか?」レベルで、描ける絵といえば図面的なアイソメの絵がほとんどでした。それでは、さすがにやってはいけないのでスケッチの本を読みあさり、片っ端から他人のスケッチを真似るところから始めました。おかげで絵を描くこ