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アイデアをマッシュアップするSKETCH MIX

プロダクトデザインを学ぶ学生に向けて、アイデアスケッチのワークショップをおこないました。「アイデアスケッチって何のために描くの?」ということを意識してほしいと思い設計したワークです。スライドとともにワークの振り返りをしていきたいと思います。(初めて試みるワークだったので自分のリフレクションとしても)

💡はじめに ーインプットー

そもそも、「アイデアスケッチ」という行為はどんなことをしているのか?ということをまとめています。アタマで発想したことを構築しながらテで表現して、表現されたものを捉え直して、アタマで発想して…のサイクルをリアルタイムに同時並行で繰り返していく行為がアイデアスケッチです。そして、その大きな目的は他者の頭と心を刺激してインスピレーションを与えることです。

アイデアスケッチの役割について、大まかにまとめています。特に今回のワークでは「お互いの発想を刺激してアイデアを誘発させる」ことを目指しています。では、どのようなことに気をつけて構築して表現すればいいのか&何を捉えて新たに発想をすればいいのかのヒントをまとめています。

✏️ワーク ーSKETCH MIXー

ではでは、ワークに入っていきます。今回は各グループでデザインの「対象物」となるアイテムが決まっており、そのデザイン展開をおこなっていきます。大まかな流れは、描いたスケッチを相手に渡して、その続きのスケッチを描いてもらうようなワークです。スケッチそのままをベースにするとイメージが固定化してしまうので、言葉を使って表現したアイデアの要素を「#タグ」として抽出することを間に入れています。


1.まずは、素になるスケッチを用意します

スケッチ自体の描き方は、IAMASの「アイデアスケッチ アイデアを〈醸成〉するためのワークショップ実践ガイド」を参考にしています。

また、描く内容は、「そもそも何に着目したのか?」「どうやったら解決できるのか?」「解決策をまとめると、どんなイメージになるのか?」の3点セットにしています。


2.自分の描いたスケッチを客観的に見返して要素を言語化する(#タグをつける)

自分のアイデアに対して「言語化する」ことはとても大事で、スケッチを描くとついつい「こういう感じ👉」とか「ここのイメージはこれです👆」みたいにビジュアル情報に頼り切った説明をしてしまったり、『それは説明しなくてもわかるでしょ(ちゃんと描いているつもりだし)』みたいに大事な情報を伝えることをスキップしてしまう危険性があります。また、スケッチを見た人への道しるべとして記しておきます。

タグ付けのヒント
#モノの動作 #人の所作 #擬音語 #オノマトペ
#〇〇的な #〇〇っぽい #〇〇問題 etc...

⬇︎
ここでスケッチを隣の人に渡します👋

3.受け取ったスケッチに、自分の解釈で#タグを追加する

スケッチ自体からや#タグ付けしている言葉から受け取った情報を解釈して、自分のインスピレーションで、まずは#タグを付けしていきます。


4.スケッチと#タグをもとに、展開の続きを描いていく

右側にあるような、#タグやイメージから連想したことをスケッチで展開していきます。このステップでのスケッチ展開が終わったら、渡されたスケッチをまた隣の人へ渡します。(その際、自分の描いた方のスケッチは自分で持っておく)

これを、テーブルのメンバー全員に回るまでくり返していきます。ブレインライティング法に近い方法です。

この後、個人個人で持っていたスケッチを最初の人のスケッチの周りに置いてみてどんな展開になっていたのかをテーブルで共有する時間を設けました。テーブルによっては丁寧に足跡を追っていくように話をしていたり、並べてみると「同じ展開してたね!」みたいなところもあったり、もっと丁寧にこの時間を設定しておいた方が良かったかもしれません。(マッピングしたりしてみたかった)

🍀ふりかえり

今回は、最初の3つの円の図における「捉える」ことのトレーニングで設計しました。アイデアスケッチは散発的に思いついたものから描きだして、ネタが切れたらちょい足しアイデアの量産みたいな不毛なスケッチワークに陥りがちですが、自分の描いたスケッチや他者の描いたスケッチからどうやってインスピレーションを受けとれるのか?そして、それを自分のスケッチ展開にどう活かしていけるのか?の気づきが生まれればと思っています。「デザイナーはどうしてスケッチを描くのか」という多摩美術大学の須永剛司先生の論文にこうあります。

デザイナーはその表現において、表現対象としてイメージ(形)だけでなく、それらの意味をそこに構築している。表現対象に解釈と意味を付帯させながらスケッチを展開しているのだ。

スケッチの中からそこに表現された解釈と意味を読み取り、新たに自分の解釈と意味を付帯してスケッチを構築していけるか?これは自分自身にも問いかけていかないといけないです。

また、今回はアイデアの所在はドコにあるのか?ということにも目を向けてほしいと思っていました。最初のスケッチの続きを勝手に他者が展開していくことで、どんどん個人のアイデアから、みんなのアイデアになっていくこと、あるいはそれが種になって思わぬ花を咲かせることもあるということ、だからアイデアスケッチを自己の主張のためだけの道具にしては欲しくないという思いがありました。

デザイナーの絵は、薬にも毒にもなり得ることは仕事でもグラフィックレコーディングのお仕事をしていても気をつけていることです。アイデアスケッチの性質を考えると、イメージを早々に固着させて広がりを持てない…みたいな可視化のダークサイドに落ちてしまわぬようにということには、ちょっとうるさめに担当する授業の方もやっていきたいです。

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