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Discord×Slackを使った「オンラインシェアハウス環境」の試行錯誤 Vol.1

2018年、フィリピンのセブ島でIT留学シェアハウスという、新カテゴリーのシェアハウスを作った。そこでは、WEB制作×事業づくりを学びたい人が主に集まり、一緒に暮らし、互いに教え合いながら技術習得や事業作りをするといった場所だ。

結果、メンター不在にも関わらず、真剣に勉強した多くの人が、目指していたWEBデザイナーやエンジニアというキャリアを歩みはじめることができたのである。月額たったの3万円だ。スクールよりもはるかに低い金額で、一般的なWEB制作スクール同様に、未経験からの就職成功者をたくさん生み出すことができた。しかも、一般的なスクールより、WORKROOMの入居者が一番成長してるという声も事実としてあった。

そして、2020年、コロナがやってきた。セブ島がロックダウンされてしまったため、継続ができなくなってしまったのだ。これで閉じようかとも思ったのだが、正直、今まで生まれたコミュニティやスキームを積み重ねないのはもったいない。これからどうしようかと考えていた時に思いついたのが、オンラインITシェアハウスだった。WORKROOMと同じことを、オンラインでできないかと考えたのだ。

その時、出会ったのがDiscordだった。と言っても、ほんの3日前から使いはじめたにすぎない。ひとまず、直前にスタートしていたコミュニティに導入し、運用を初めてみた。結果的に、どうやらオンラインシェアハウスというコンセプトはDiscordとSlackで実現できるぞということがわかったので、ひとまず、今、理解していることについて、自分の思考整理も兼ねてアウトプットしていく。ぜひ、コミュニティ運営しようとしている方の参考にしてもらえれば幸いだ。とはいえ、今回の内容はDiscordを長い間使ってきた方にとっては、当然の話かもしれない。

シェアハウスの「体験」を、想像以上にオンライン化できる

Discordという名前は以前から知っていたのだが、ゲーム用だと思っていた。正直、その先入観が導入を送らせていたので、先入観で動いていた自分を、とりあえずぶっとばしたいと思う。

Discordは超優秀なコミュニケーションアプリだ。基本的な使い方は、まず、「チャンネル」を作ること。そして、作ったチャンネルに入ると「同じタイミングでチャンネルに入っている人と話ができる」ということ。この仕組を使うと、シェアハウスの機能を、そのままオンラインに持ちこめる。

それぞれのチャンネルに入ると「まるでシェアハウスの部屋にそれぞれ入って、中にいる人と話すかのよう」な感覚になる。なので、チャンネルに「用途ごとの部屋名」をつけてみた。こんな感じである。

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左下の「VOICE CHANNELS」が「チャンネルにいる人同士で話のできる」場所だ。可能な限り、部屋名で用途がわかるようにしている。下記の例は、上記と部屋名が異なるが、ひとまず、実際に話す時はこんな感じになる。

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今「さぎょう部屋」に2人いる。なので、この2人は音声で常時接続されており、まるで隣にいるかのように話すことができる。

また、zoomのように「動画」を映すことも可能で「画面共有」もできる。なお、部屋の隣にある数字は「部屋に入れる人数制限」だ。5なら5人まで入って、同時に話ができる。人数は自由に設定可能だ。これも「部屋の広さに応じて、人数がいっぱいなら他の部屋に移動しなければならない」というシェアハウスの適度な不便さ、および特徴をよく再現している。

ダイレクトメッセージやフレンド登録もできるし、Spotifyプレミアムに登録されていれば、同じ音楽を共有しながら話すことも出来る。Kripsというノイズ抑制機能で、打鍵音や雑音を消すこともできるので、まわりが、ややうるさくても、問題なく通話が可能だ。テキストチャンネルに「おーぷんちゃっと」があるが、ここで自由にみんなでチャットもできる。

そんな、かゆいところに手の届くDiscordを使って、たくさんの部屋をつくったわけだが、それぞれの部屋に、下記のような役割をもたせてみた。

りびんぐ or ざつだん部屋 : 主に雑談をする場所。
さぎょう部屋 : 常にもくもく会を開催している部屋。
そうだん部屋 : マンツーマンで相談したい時の部屋。
うぇびなー部屋 : メンターや講師を招いてセミナーする部屋。
のみかい部屋 : お酒を飲みながら雑談する部屋。
ごはん部屋 : ランチなど、ご飯を食べながら話す部屋。
かんりにん部屋 : かんりにんがよくいる部屋。機能的意味はなし。
じょし部屋 : 女性専用の部屋。
だんし部屋 : だんせい専用の部屋。
げすと部屋 : BASEとCAMPの住人が、互いに行き来できる部屋。

なお「ごはん部屋」などでも、大きすぎない咀嚼音であれば、まったく聞こえない。じゃがりこ食べたら、少し聞こえるくらいだ。なので、食べながらでも快適に過ごすことができる。

さらに「げすと部屋」は、客を招く部屋だ。オンライン版WORKROOMには「BASE」と「CAMP」2つのオンラインシェアハウスがある。この2つを行き来する。通常「招待URL」をクリックすると住人として右カラムにあるユーザー一覧に登録されるが、ゲスト部屋に繋がるURLから飛んだ場合、げすと部屋のボイスチャンネルに一時的に入れるだけで、登録はされない。一度オフラインになれば、解除される。遊びに行くような感覚そのままである。

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上記の画像の下に「げすと部屋」と書かれたリンクがあるが、これがまさに、2つのシェアハウスを行き来する入り口になる。なので、自分の所属するシェアハウス以外の場所でも、友達が作れる。

新しい体験を感じた

ここまで聞いたところで「所詮、オンラインでしょ?」と考える方もいるかもしれない。しかし、このオンラインシェアハウス、面白いことに「実際に住んでいるかのような体験」を得ることができるのだ。この感覚、UXとしてめちゃくちゃ大事だと思う。

例えば「さぎょう部屋」に複数人で入っていると、なるべく作業の邪魔にならないように、声を出さず、ひたすら作業するようになる。部屋の役割によってそういう心理的制約が働くからだ。しかし、まわりが作業している意識や、途中に交わるわずかな会話を含め、一緒に作業をする誰かの存在を意識することで、モチベーションにつながる。

一方「ざつだん部屋」に入った場合、みんなで話さずにはいられなくなるし「げすと部屋」で他のオンラインシェアハウスから来た人と話すと、お客さんを相手にしているような気持ちになる。「かんりにん部屋」に1人で管理人がいるときは「何か作業してるのかな? 話しかけないでおこう」という気持ちになり、「じょし部屋」に男性は、なかなか入りづらい。逆も同じだ。

このように、本物のシェアハウスと同じような体験感覚が生まれるのだ。チャンネルのラベルと用途を考えただけで、これだけオフラインを彷彿させる体験がある。まるで本物をオンラインに持ってきたような体験は、Discordだから実現できたことだろう。Slack等のテキストベースなコミュニケーションだと、同じような感覚は得られない。

Slackの利用用途について

オンラインシェアハウスでは、Slackも併用している。SlackとDiscord、それぞれに入って、はじめてオンラインシェアハウスとして完成する。というのも、やはりDiscordのチャット機能は、Slackには敵わない。どちらかと言えば、LINEの延長のような、よりリアルタイムコミュニケーションに寄ったチャット機能だと認識している。

Slackでは主にテキストでの情報共有や、仕事、メンタリングなどのやり取りをしていく。通常の使い方と一緒だ。考え方としてはDiscordをリアルな場所としてのシェアハウスとして使い、仕事やテキストベースのやり取りはSlackで行うという、オフラインのシェアハウス体験をそのまま、オンラインに移し替えた形になる。

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シェアハウスだけではなくオフィスもそうだが、通常、リアルな場とオンラインの場にわかれる。オフィスに足を運んで、コミュニケーションを取り、仕事におけるテキストのやりとりはSlackで行う。このリアルな部分をDiscordに差し替えたと考えると良い。Slackの用途としては、チャットベースのテキストコミュニケーションで変わりはない。

いくつかの問題点

オンラインシェアハウスの理想的な活用方法は「それぞれ日常的な相談をはじめ、教え合いや情報共有を行い、勉強会やもくもく会、各種イベントなどを企画して、学習や事業づくりにとって有意義な場になる」ことである。WORKROOMでは、それがある程度実現できていた。

だが、やはりDiscordを使ったオンラインシェアハウスを試し、いくつかの課題に遭遇した。オフラインのシェアハウスと比べて、上手く行きにくい点はいくつもある。これは、各種オンラインサロンやオンラインコミュニティも同じ問題をかかえているようだ。例えば、色々と話を聞いてみると、このような問題がみつかった。

1. 平日は仕事をしているので、ログインできない
2. 日々忙しくて頻繁に訪れることができない、余裕がない
3. 落ち着いて雑談のために通話する場所がない
4. 平日の夜はゆっくりしたい、または落ち着いて勉強したい
5. オンラインで慣れていない相手と話すのは体力がいる
6. 用途がわからない

つまり、時間がなく、さらに初対面の人といきなりオンラインで話すことに抵抗も感じるのである。使うことを躊躇う要素満載だ。まず第一に、想像以上に人は忙しい。オフラインの予定もつまっていて、オンラインの活動にそれほど力を注ぐ時間がない。

とは言え、忙しいのはオンラインに限ったことではない気もする。オフラインでも、仕事が忙しくてシェアハウスを使いこなせていない人もいた。用途がわからない、どう使えばわからないといった声も、圧倒的真実な気がする。なにしろ僕らでさえまだ手探りなのだ。

そもそもどうやって活用すればいい?

とは言っても「WORKROOMの機能」を「日常的」に使うことができれば有益なはずだ。事実、オフラインのシェアハウスでは、それなりに結果は出ているのである。相談し、教え合い、モチベーションを維持し、人生における楽しみも得られる。最大限使いこなせば、その全てが日常に接続されるだろう。そこで、イベント以外の「日常的に」という視点から、活用できるタイミングがどこにあるか議論してみた。

1. 勉強する時にログインして一緒に学ぶ
2. 仕事するときにログインして一緒に仕事する
3. ランチやディナータイムを活用して交流を広げる
4. 平日の夜や週末、飲みたい時、軽いオンライン飲み
5. ちょっと時間が空いて、誰かと話したい
6. 何か聞きたいことがある際、直接話をして相談する
7. 会話で直接的な人生相談、意見交換、ブレインストーミング

主に、こうしたタイミングで活用できる。上記の活用方法なら、時間がない中でもDiscordを使ったオンラインシェアハウスが存在する意味はあるだろう。だが、上記の活用方法を円滑に行うためには「オンラインで慣れていない相手と話すのは体力がいる」という問題をクリアしなければならない。特に初対面の相手と話す場合だ。気軽に活用するためには、よほど人間関係に対してオープンな性格か、または仲の良い人たちがたくさんいる、という条件が揃う必要があるだろう。

さらに、オンラインでのコミュニケーションに「慣れる」ことも大切だ。あまりオンラインでコミュニケーションを取ることになれていないと、単純に疲れる。zoom飲み含め「何か苦手意識を感じる」人も多いだろう。おそらくこれが、ランチやディナー、そして1人飲みと併用してオンラインシェアハウスを活用できない、大きな理由だ。なんか面倒だし体力いるし、一歩踏み出しづらいのだ。僕もそう思う。

すべての問題を解決する方法

では、オンラインでのコミュニケーションに慣れ、みんなと仲良くなるためにはどうすればよいかというと、考えられる答えは多くない。すぐ思いつくのは「イベント」を主催者含む、慣れている誰かが開催しまくって、人を巻き込み続けることだ。上手くいっているオンラインコミュニティは、この手段を使っているケースが多い。だから、影響力があって企画慣れしているタレントや芸能人は強いのではないだろうか。とにかく、定期的なイベント開催がヒントであることは間違いないはずだ。

1. イベントをする
2. みんな仲良くなって、オンラインコミュニケーションにも慣れる
3. 日常的に活用してもらえる雰囲気をつくる

まだ仮説なのでなんとも言えないが、シンプルに言うとこうした流れでオンラインシェアハウスは活性化されていくはずである。口に出してみると、すごく当たり前のことだ。

だから、僕らがコミュニティを盛り上げるために、まず、すべきことは、複数のオーガナイザーを仲間にすることだ。または自分が圧倒的な権威性とリーダーシップをもって、色々やる。でもそれを売りにしてしまったら、WORKROOMのように自発的に色々やる人たちが集まってくるとは思えない。よって、今は複数のオーガナイザープラン一択だと思っている。

それと、毎日仕事が終わったあとに、ログインしたいと思う形にする必要がある。それは、シンプルに考えれば、毎日欲しい情報がアップされていたり、みんなの活動状況がわかったりする、という状態だ。運営の努力の他、更新活動を後押ししていくことから地道に初めておけば良いだろう。

そしてイベントを盛り上げるためには参加者が必要で、何度も行われるイベントを毎回成功させるには、そもそもコミュニティにたくさんの人がいる必要がある。ということで、最初は少人数制でスタートしたのだが、これからはどんどん多くの人に参加してもらえるように舵を切るつもりだ。近日中に募集を再開するので、もし興味があれば、ぜひ下記の公式LINEに登録しておいて頂けると幸いだ。募集が決まり次第、配信する。

■ 事前登録LINE公式アカウント
https://lin.ee/x3by7gp

一番適した人たちは誰か

これは間違いなく、フリーランスだ。日中しっかり使えるのはテレワークおよびリモートワーク、フリーランスで、仕事そのものが孤独との戦いとなるケースだ。特にフリーランスのチームには最適だろう。

普段、1人で仕事をしていることから、孤独による弊害がそこそこある。モチベーションが下がったり、心が病んだりする。だからこそ、こうしたコミュニティで並列に繋がっているのは、かなり適している。集中力が切れたら、どこかの部屋で誰かがくるのを待てばいい。仕事の相談もすぐできる。

なので、フリーランスやテレワーク、リモートワークをしている人は、オンラインシェアハウスをすぐにでも活用するのがおすすめだ。仲のいいフリーランス仲間でもできれば、孤独感を減らせるだろうし、協力体制もできる。シェアハウスにとっても、中が活発になるので嬉しい。

今回のまとめ

オンラインシェアハウスはオンラインサロンやオンラインコミュニティと同じかと思ったが、突き詰めていくと少し違う。シェアハウスは日常の中に自然に存在する場所であって、特別なときに特別な使い方をするわけではない。シェアハウスに住むことのメリットは、日常に隠されている。

例えば、常に隣に話ができる人がいるという感覚だ。ふと誰かと会いたくなった時に会える感覚。そして、一緒に学習することでモチベーションを保ったり、わからなくなった時に教え合えたりする感覚。家に帰れば、誰かがいてくれる感覚。仕事であれば、隣の人と一緒に仕事の機会を持てる感覚。案件が来た時、自分にそのスキルがなかったら、即座にまわりの人を頼れる感覚。

そうしたシェアハウスのメリットは、単純なコミュニティといったものではない。どちらかと言えば、生活環境だ。オンラインシェアハウスは、いつどこにいてもシェアハウスの生活環境を手に入れられるということに、本当のメリットがある。

これから、最終形にたどり着くまでは、紆余曲折あるだろうが、こうした試行錯誤も、単純に物体のコピーではなく、環境や文化のコピーとしてのデジタルツインにつながる。つまり、以前からお話しているクリエイター村に到達するものなので、まだまだこれからだが、地道に追求していきたい。

最後に、今イチオシの仕事を載せておく。

WEBデザイナーやエンジニアを目指す方、そして、現役の方でキャリアに悩んでいる方は、絶対読んで欲しい。

では、また次回。

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