見出し画像

自然の力〜逆開発の恩恵〜

◎千葉県市原市の逆開発

2017年、千葉県市原市を走る”小湊鉄道”の養老渓谷駅前を「逆開発」するプロジェクトがスタートしました。
 これは利便性を重視した取り組みにより人工的で殺風景になってしまった駅前を、もともとあった豊かな自然を取り戻すというプロジェクトです。アスファルトや無機質な建築物を極力少なくし、森に戻すことによって自然のヒーリング効果が駅前まで漂っているかのような魅力的な景観に生まれ変わったそうです。

この「逆開発」で養老渓谷駅の乗降客数は2倍近くにまで増加し、経済効果は大きいと見れます。


 戦後、現在の養老渓谷駅周辺は観光資源が脚光を浴びていて、人が過ごしやすいような開発が進められていました。高度成長の波に乗り、温泉旅館や飲食店、お土産屋さんが立ち並び、駅前はバスやタクシー等のためにコンクリートで舗装されました。

 ですが、高度経済成長の落ち着きと共に、観光地としての勢いを失っていきました。1日平均の乗客数は減少の一途をたどり、最盛期の半分近くまで落ち込みました。そして、バブル崩壊によって商店街や老舗旅館が次々に店仕舞いしてしまい、駅前から人が減り、アスファルトとコンクリートの殺風景な景観だけが残ってしまいました。


◎市原市の「自然のヒーリング効果」が人々に訴求するコンテンツになるのではないか?


小湊鐵道の石川社長の「小湊沿線では今から約5000年以上前の縄文時代から、たくさんのヒトが自然と共に豊かな里山Lifeを送ってきました。それはこの土地で確かに育まれ、今でも残っています。」というお言葉からも分かるように人間はもともと自然環境の中で生活していました。その中で人間には5つの感覚「五感」が備わりました。

 現代の人工的で無機質な環境での生活は、本来の人間の生活とは違い、大変なストレスを与えます。自然(森林)がヒーリング効果を持つことは雑誌『Landscape and Urban Planning』にて発表された研究によって多くの緑や自然に囲まれて生活していると、都市部で生活するよりもコルチゾールレベルが低くなることが確認されているそうです。
 (コルチゾールとは副腎皮質から分泌されるホルモンの一種です。心身がストレスを受けると、急激に分泌が増えることから、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。)

 ですが、自然に囲まれて生活しているだけでコルチゾールのレベルが低くなるわけではないのではないでしょうか。都市部の人よりも散歩などの適度な運動をする傾向があるらしく、自然があることで適度な運動を助長されたり運動中に自然のヒーリング効果を受けたりと自然による恩恵は素晴らしいと感じます。

◎まとめ

都会は都会で利便性に長けた素晴らしい場所で大切にしながらも、人が息抜きをできる場所をつくる「逆開発」は素敵なプロジェクトです。人が住みやすくするための方法は開発。人が居心地のよい場所作りの方法は逆開発。都心からアクセスしやすい千葉県市原市だからこそこのようなノスタルジックな環境を付加価値にできるのだと考えました。
 近々コロナ対策にも気にしつつ小湊鐵道に乗って古き良き昔の情景を思い浮かべてみたいです。

参考文献

創立101年目のローカル鉄道が駅前を「逆開発」!千葉・小湊鐵道の社長に話を聞いた(https://u-note.me/author/nagasawamaki/20180211/436185/ / 逆開発~アスファルトの駅前を森に戻す(https://business.nikkei.com/atcl/report/16/053000139/053000002/?n_cid=nbpnbo_twbn) / 体でわかる森の「癒し効果」(https://www.fo-society.jp/therapy/enjoy.html) /Nature and Calm: Studies That Back Up The Idea (https://www.natureworldnews.com/articles/17122/20150929/nature-calm-studies-back-up-idea.htm)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?