蓮舫で浮き彫りに 「同和」「部落」を小道具にする人権派たち

■民進党・蓮舫代表の二重国籍問題について、何をどう「問題」と考えるかは人によって様々だ。

 あくまで私がツイッターなどで目にする範囲での話だが、法的に誤った知識(例:「二重国籍の者に被選挙権はない」)をもとに蓮舫を批判している者は少なく、

 よく目にするのは、蓮舫が二重国籍で25年間違法状態であることを認識しながら放置していた可能性説明が二転三転すること等への非難であろう。

 昨年の2016年9月7日付の東京スポーツ「【民進党代表戦】蓮舫「二重国籍疑惑」の火元」には、2016年9月3日の読売テレビ(日本テレビ系)「ウェークアップ!ぷらす」に出演した際の辛坊治郎と蓮舫の会話が次のように描かれている。

【引用 】 「一言違うという話ならそれだけの話」と追及する辛坊氏に、蓮舫氏は「生まれた時から日本人です」「(台湾の)籍抜いてます」「(いつ?)高校3年で18歳で日本人を選びましたので」。辛坊氏は「これについてはデマだとお伝えしておきます」と締めくくった。

 このように、蓮舫自身が昨年、テレビにて全力で事実と異なる発言をしていたのだ。

 詳細は伏せるが、この発言の時点での『二重国籍』状態は疑惑でもデマでもなく真実であるという話は、当時、確かな筋からすでに流れていたわけで、情報のおこぼれに与った私も「よくもまあシャーシャーを嘘こきよるな蓮舫。台湾にあることを必死に働きかけてたくせに」と冷ややかな目で見てたので、後に「疑惑(笑)」とツイートしてたり。まあ、この話は脱線。

 ともかくも、今回、やっとのことで蓮舫が出した資料からは、テレビで蓮舫の「生まれた時から日本人です」「(台湾の)籍抜いてます」は虚偽であったことが公に確定した。

【引用 民進 蓮舫代表 台湾籍離脱の資料公開】 台湾籍を離脱するため去年9月13日付けで台湾当局から交付された「国籍喪失許可証書」の写しと、去年10月7日に日本国籍の選択を宣言したことが記されている戸籍謄本の写しの一部などを公開しました。

 このような蓮舫の虚偽発言は、故意であろうが過失であろうが、蓮舫という個人の落ち度であり、国会議員という立場上、強い不信感を持たれ非難されるのも自然なことであろう。

 そして、これに対する非難は、二重国籍の是非や利益相反の懸念とは切り離してなされ得るものである。つまり、蓮舫の生まれの問題ではなく、蓮舫という一人の人間の政治家としての資質が問われるのだ。

■さて先日のこと。このように蓮舫に落ち度がある話に関連して、しばき隊界隈シンパと目されている小倉秀夫弁護士が次のようなツイートをしていたのを見かけた。

 議員が「同和地区出身」であることは、何ら問題のないことであるにも関わらず、小倉弁護士は、蓮舫に落ち度があり問題視されている話において、唐突に「同和地区出身」を持ち出していたのだ。

 小倉弁護士は、蓮舫の二重国籍問題で戸籍謄本の開示を求めるのはとにもかくにも「差別したい人たち」である、との考えの持ち主である。

 そこで「差別だー!」を強調するものとして、小倉弁護士が持ち出したのが「同和地区出身」なのであろう。

 しかし、ある地区が「同和地区」であったことは「場所」の「過去の」事実だ。そしてそこの「出身」であることは、現在は「過去に同和対策事業の対象となった地区の生まれもしくは育ちである」というだけの話である。

 もはやそれ自体はドライな意味合いしかもたず、同和地区出身者であっても差別されないというのが”反差別”を自称する人々の願いではないのか?

 そこに差別というウェットな意味づけを発生させているのは、同和地区「出身者」を「差別される属性」の中に押し込め続けている人々である。

 そしてそういう人々は、往々にして反差別の仮面をかぶっているのだ。

 たとえばそれは…何の落ち度もない「同和地区出身」の議員の話を蓮舫自身に落ち度がある話と並べて「サベツダー」の小道具に使うような人物である。


■話は変わるが、本日2017年07月19日付のPRESIDENT Onlineに橋下徹による興味深い記事がアップされた。

【引用 橋下徹“有田芳生の人権派面は偽物だ!”】 週刊朝日が僕の出自を差別的に連載記事にしたとき、有田は「これは面白い!」と言い放ったんだよね。そして僕が猛反撃したら、よく分からん言い訳をしていた。その一方、今回の蓮舫さんの戸籍謄本開示問題では、「人権問題の歴史的逆行」になるから開示を許してはいけないなんて言っている。有田は自分が嫌いな相手(僕)の出自が公になることは面白く、自分の所属する党の代表の、ちょっとした戸籍情報が開示されることはプライバシー侵害になり、人権問題にもなるから許されないと言うんだ。典型的なダブルスタンダード!

 反差別を盾にして暴力的脅迫的な行為も良しとする”しばき隊界隈”と協力関係にある有田芳生の欺瞞を、橋下が指摘したものである。

 橋下徹が言うように、過去に民進党の有田芳生はこのようなツイートをしている。

 有田芳生が「すこぶる面白い」と評した『ハシシタ 救世主か衆愚の王か』については、部落解放同盟もこれを差別であるとして、『週刊朝日』と佐野眞一を糾弾橋下徹が大阪地裁に損害賠償請求訴訟を起こし、被告(朝日新聞出版・佐野眞一)との間で、被告が和解金を支払い、謝罪文を交付する内容で和解が成立している。

 サブタイトルには「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」と書かれて露骨に「出自」が強調されている。

 私は、蓮舫の二重国籍問題は彼女の言動から引き起こされるものであり、彼女の出自そのものは非難されるものではなく、ただし二重国籍であることは外交上の利益相反の懸念があるものだとする立場なので、この件と蓮舫の二重国籍問題を並べて語る気はさらさらない。

 しかし、橋下徹の出自については「すこぶる面白い」といってのける有田芳生が、リテラに次のようなことを書いているのを見るにつけ、失笑を禁じ得ないのだ。

【引用 有田芳生緊急寄稿!「蓮舫代表への戸籍公開要求は、絶対に受入れてはならない重要な人権問題、差別そのものだ」】 さらにいえば、いまも続く被差別部落出身者への差別では、社会問題として厳しく批判された「部落地名総鑑事件」(1975年)の教訓から、企業が採用選考のとき、応募者に戸籍の提出や本籍地の確認を求めることが禁止されるようになった。蓮舫代表に戸籍の開示を求めることは、こうした人権擁護の歴史に真っ向から反するものだ。

■このように、「同和地区出身」「被差別部落出身」が”人権派”たちによって蓮舫擁護のために都合の良い小道具として使われているのである。

 部落差別はなくならない。