米山隆一と青山繁晴のアレ

 自民党の青山繁晴参院議員が11月30日の参院予算委員会で

「北朝鮮が兵器化した天然痘ウイルスを持っているというのは国連の専門官の間でも常識だ。飛沫(ひまつ)感染でうつる。もし、上陸者に1人でも感染させられた人がいたら、ワクチンを投与しないと無限というぐらい広がっていく」

と、発言したそうだ。

▼ソース: 日本メディアは「愚民化政策」実施中 連日の大相撲報道で他のニュース量は減るばかり

 これに対し、米山隆一氏が

「北朝鮮が兵器化した天然痘ウイルスを持っているというのは国連の専門官の間でも常識だ。」を私は知りません。ソースも示されていませんしそれほど容易とも思えません。勿論事実かもしませんがそれなら根拠を示すべきですし、根拠がないならデマと言われても仕方ありません。https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/939476014249340929 

と、青山繁晴議員を批判するツイートを投稿しているのだが、これは…
 
「北朝鮮が兵器化した天然痘ウイルスを持っている」という断定を批判したいのだろうか?それとも「国連の専門官の間でも常識」という断定を批判したいのだろうか?

 ところで。「smallpox(天然痘)」と「Democratic People's Republic of Korea(朝鮮民主主義人民共和国)」という英単語でGOOGLE検索すれば、ものの数十秒で、ナノ兵器関連の書籍で知られる物理学者ルイス・A・デルモンテ氏がハフポストに寄稿した「北朝鮮の化学兵器・生物兵器・ナノ兵器」という文章を見つけることができる。その中で、北朝鮮が天然痘などの生物兵器を持っていることにも触れられている。
 
North Korea’s Chemical Weapons, Biological Weapons, And Nanoweapons

>North Korea possesses thousands of tons of chemical weapons, including nerve, blister, blood, and vomiting agents, as well as some biological weapons, including anthrax, smallpox, and cholera.

 また、少し検索ワードを変えて「smallpox」「DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)」「United Nations(国際連合)」で調べれば、ズラっと記事が並んで、よりどりみどり。
その中の一つに「北朝鮮の生物兵器プログラム わかっていることとわかっていないこと」というタイトルのPDFがあり、開けると、ハーバード大学ベルファー科学・国際問題研究センターから出された報告書を読むことができる。

North Korea’s Biological Weapons Program
The Known and Unknown (PDFファイル)


 私は、これを全て正確に読み取れるほどの英語力がないので、各章タイトルと「smallpox」を含む文章と最後の結論部分のみをサッと読んだだけだが、少なくとも、北朝鮮が兵器化した天然痘ウイルスを持っているという可能性や懸念が充分あることは理解できた。

 米山隆一氏は、青山議員の「北朝鮮が兵器化した天然痘ウイルスを持っているというのは国連の専門官の間でも常識だ」という文言を捉えて批判しており、たしかに、『国連の専門官の間でも常識だ』ズバリそのもののソースは今の所、私も見つけることはできていない(そこまで検索してないし)。
 しかし、ほんの少し検索すれば、北朝鮮が天然痘を含む生物兵器を保有しているという高度の懸念が示された信頼性の高い寄稿や報告書が見つかるわけで、それらを国連の専門官が把握して「いない」と考えるほうが無理があろう。

 青山議員の発言がケント・ギルバート氏の書いた記事の通りであるならば、たしかにその発言が雑であるという批判はあてはまるかもしれない。
 だが、少し調べれば「デマ」というのもこれまた微妙な話であり、にもかかわらず「私は知りません!ソースも示されていません!」と言いたてるのは…

(´・ω・`)いい歳こいたオッサンやねんからググレカス

…という感想に落ち着いてしまうのであった。