かっこいいロゴデザインを商標登録する際の落とし穴

自社ブランドのロゴを作ったので商標登録しておきたい、というご相談は多いです。ロゴのデザインには著作権が生じないことが殆どですので商標登録で保護を図ることは有効な手段です。

標準文字では識別力が生じない商標でも、ロゴ化したものであれば登録できる可能性があります(そのような商標を登録する意味があるかどうかはブランド戦略の如何によります)。

ところで、ロゴデザインを商標登録する際には特有の落とし穴、注意点があります。

ロゴが文字として読めなかったら・・・?

話は変わりますが、週刊少年ジャンプで連載中の人気コミック「ONE PIECE」のロゴは「O」の部分が麦わら帽子を被ったドクロ、「I」の部分が主人公ルフィのシルエットとしてそれぞれデザイン化されたものです。


このロゴ、作者の尾田栄一郎氏がコミックス第5巻で読者からの投稿に対して「読めない」と発言しています。

そうだよな、読めるかっつーんだよなー、あんな変な文字。タイトルロゴの"O"と"I"はあれ字じゃないよなー、変なデザインしてごめんなー。正しくは「ONE PIECE」って書いてあるんです。「ワンピース」って読むんです。ヒマだったら覚えてね。

これが商標と何の関係があるのかと聞かれれば大アリなんです。まずは商標の類否判断について説明する必要があります。

商標の類否判断の三大要素

商標の類否(ある2つの商標が似ているか否か)の判断は

・外観(見た目)

・称呼(文字として読み上げた時の音)

・観念(意味)

の要素から総合的に判断します。今回ポイントになるのはロゴ化した商標を審査する際には「文字として通常認定できる部分」のみを文字として認定するということです。

「ONE PIECE」ロゴの文字部分の認定

ここで「ONE PIECE」に話を戻すと「O」と「I」が文字として通常読めない、と仮定すると「ONE PIECE」のロゴは「NE PECE」が文字部分として認定されることになります。

仮に件のロゴを尾田栄一郎氏なり集英社なりが商標登録しようとする際に、「NE PECE」が既に商標登録されていた場合、「ONE PIECE」のロゴ商標は先願(商標法第4条1項11号)により商標登録することができません。

・・・と、書きましたが、ロゴを今一度、見返してみるとロゴの上にカタカナで「ワンピース」とルビが振ってあります。すると、審査では商標全体として「ONE PIECE/ワンピース」を文字として認定されると思われます。したがって、「NE PECE」を先願として登録が拒絶される可能性は低いでしょう。

おそらく尾田栄一郎氏はあのロゴを「ワンピース」とは読めない読者が居ることは当初から織り込み済みでルビを振ったデザインにしたと思われます。氏の慧眼ですね。

デザイン時に意図した文字が認定されないかも

もう、おわかりかもしれませんが、冒頭に書いたロゴデザインを商標登録する際に特有の落とし穴とは

「ロゴ化によって出願人が本来意図していない称呼が認定された結果、先願登録商標の存在を理由に登録を拒絶される可能性がある」

ということです。かっこいいロゴ、ハイセンスなロゴほどこのような事態に陥りやすいと考えられます。回避する方法は概ね下記のとおりです。

1.文字部分が意図した形に読めるようにデザインする

2.「ONE PIECE」のようにルビを振ったロゴデザインにする

3.商標全体として文字が認識できないレベルまで図案化する

ロゴデザインが実際に商標登録できるかどうかの判断はケースバイケースになりますので弁理士にご相談ください。

ロゴデザインのご相談は湘南ラボまで
特許事務所 湘南ラボのWEBサイト→https://shounan-lab.com/



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