2003.05.11茨城県牛久市

馬鹿みたいに晴れた朝だ。
街路樹の緑が朝日に反射して眩しい。
精神科に入院している患者数30万人弱。
その内の75000人、いわゆる社会的入院と言われる患者の退院を促進すると…。
病棟長が興奮して言ってた。
「全国で75000人だからうちの病院からは何人だ?」
就職して1年目の私にはどうイメージして良いのか、目の前の患者さん達は、コーラをがぶ飲みしながら、虚ろな目でタバコをふかしながら、時折頭を抱えるように俯いている。
退院?就労?そのプニャプニャの手で…。
入院して長いこと、掃除洗濯、炊事、その他諸々の家事、労働を免除?剥奪?された環境で生きることを半ば強制されて生きてきた彼らに手のひらを返したような退院支援。
政策というのはこういうものなのかと、目の前の現実と乖離した病棟長の言葉に「え…?」という軽い驚きと「本気で言ってるの?」という諦めに似たことを考えたのを覚えている。

今年はこれから暑い日が続くという長期予報だ。駅前でアイスコーヒーを買って、職場に向かう通勤電車の中で、今日も桜の木下でタバコをふかす彼らの姿が頭に浮かんだ。

私はあそこで生活せざるを得なかった彼らの今の生活に共に漂い、彼らの言葉に耳を傾ける。そんな時間が好きだ。

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