ワンストップ支援センターを利用した時の弁護士費用

ワンストップ支援センターへの交付金が削減された話を先日書いた。

ワンストップ支援センターは、病院、警察・児相等の行政機関、弁護士と連携する。
ワンストップ支援センターは、内閣府が平成24年3月作成した「性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター開設・運営の手引」に沿って作る。
内閣府の手引には、病院は健康保険、行政機関はその予算、弁護士は日弁連の犯罪被害者委託援助・法テラスの民事法律扶助を費用にすることが書いてある。

日弁連の犯罪被害者委託援助という制度について説明したい。

我々弁護士は、法律上、弁護士会に登録しなければ、弁護士業務をしてはならない。弁護士会に登録したら、弁護士会費を支払わないと懲戒され、最終的には弁護士会から除名される。
すなわち、弁護士が弁護士と名乗り続けるためには、弁護士会費を支払わなければならないのである。

弁護士会費は、日弁連に対するものと、東京・神奈川といった単位会に対するものとがある。会費が全国で最も安い東京の弁護士ですら、日弁連と合計で毎月5万円弱払っている。

この会費を集めて、弁護士会が「この事業は公共のために必要ですよ」と決めた事件類型の担当弁護士の報酬金にしている。
日弁連の犯罪被害者委託援助の財源は、個々の弁護士が納めた会費である。

つまり、弁護士の美しき痩せ我慢で維持されている制度なのだ。

性犯罪被害者が、加害者の弁護人から最も頻繁にコンタクトを受け、被害者側に弁護士をつけたいと望むのは起訴前である※。

しかし、起訴前の事件の被害者に、国費で弁護士費用を援助する制度はない。
起訴前の被害者を援助するのは、日弁連の委託援助だけである。

日弁連の犯罪被害者委託援助のおかげで、起訴前の犯罪被害者も、弁護士費用の心配は要らない。

平成30年の時点で、日弁連の犯罪被害者委託援助の利用数は、10年前の4倍になった。特に性犯罪被害者の利用が多く、利用者のうちの4割を占める。
弁護士数は、10年前の約2倍にしかなっておらず、正直財源が厳しくなってきた。

このタイミングで全都道府県にワンストップ支援センターができた。
ワンストップ支援センターは、急性期の被害者をメインターゲットにしているので、起訴前段階で被害者側に弁護士がつくことが国策として推進される形になっている。

第4次犯罪被害者基本計画の策定のタイミングで、起訴前の犯罪被害者の弁護士費用を国選化しないと、日弁連の犯罪被害者委託援助が破綻するのは、そう遠くないだろう。

※ 知っていますか? 性犯罪被害を訴えるとき、被害者が経験すること #性犯罪被害 #裁判 https://bunshun.jp/articles/-/11727

https://togetter.com/li/1314101

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