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「OLD ROOKIEs」第10話 -二人の距離-

ともに主森の元から卒業した後、縁あって再び同じオフィスで働くこととなった森と永田。

森の会社は、商品や企業の魅力を伝える販促ツールの制作・提案を行う株式会社フューチャーワークス

永田の会社は、出版や映像をはじめとしたコンテンツの企画・制作を行う株式会社スマートイメージ

事業そのものはピタリと重なってはいないものの、「インターネットと動画」というキーワードにおいて、二人は同じ思いを持っていた。

永田が森の赤坂のオフィスを間借りし、同じ空間で過ごすうちに、互いに仕事の相談をする機会も増えた。森がクライアントから請け負った映像制作の仕事のディレクションを永田に依頼するなど、一緒に仕事を進めることも多くなった。

プライベートな話こそしなかったものの、二人の距離は以前に比べ、格段に縮まっていた。

そして、この頃、森の会社であるフューチャーワークスの忙しさはピークに達していた。

最大の顧客である「シスコシステムズ」からは、年間で1億円以上の受注を受けるまでに大きくなっていた。さらに、インフラストラクチャやソフトウェアにおける世界的リーダーの立ち位置にある「BEAシステムズ」や、大手コンピューターメーカーである「サン・マイクロシステムズ」などアメリカに本社を構える大手企業からの受注も増加。

「受注ビジネスではなく、自社オリジナルなものをやりたい」

森の中ではそんな思いが膨らんでいたものの、大手企業との仕事はやりがいが大きく、充実した日々を送っていた。

いや、充実しすぎていたと言っても過言ではない。

森は連日、オフィスに寝泊まりしながら仕事に励み、いつの間にか週を明かすことも珍しくはなかった。

そんなある月曜日の夕方、森に一本の電話が入った。実家・石川県の母からだった。

「お父さんが…危篤になったんや」

つづく。

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第1話 -卒業- https://note.mu/showcase/n/nd305564958cc
第2話 -挑戦- https://note.mu/showcase/n/n2b1a8afc07fc
第3話 -犬のウン- https://note.mu/showcase/n/nfb96f0b7d7ee/edit
第4話 -予感- https://note.mu/showcase/n/nb2813ef9f60d
第5話 -スタートライン- https://note.mu/showcase/n/nebefa72c6269
第6話 -スタイル- https://note.mu/showcase/n/n4b6d5391be52
第7話 -ヒットの方程式- https://note.mu/showcase/n/ndae846cd3747
第8話 -受託制作の限界- https://note.mu/showcase/n/n2f1f6ada2a6c
第9話 -ひとり旅のはじまり- https://note.mu/showcase/n/nc9a4700f699f


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