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「OLD ROOKIEs」 第16話 -4人の新卒-

「やっぱり、新卒に仲間になってもらいたいね」

新商品の「ナビキャスト」や資金調達に苦戦していた間にも、森と永田の新卒採用への思いは変わらなかった。駆け出しのスタートアップ企業にとって、即戦力が期待できる中途採用はもちろん欠かせない。しかし、1000人以上の新卒を採用したリクルートの同世代である二人は、新卒がいかに組織や企業文化を作っていくかというのを、身を以て体験していた。

「新卒を育成していく会社が、継続的に大きくなっていく会社だ」

ショーケース・ティービーにとっての新卒一期生。入り混じる期待と緊張のなか、新卒採用は敢行されたのだ。

とはいえ、まだ自社商品も少なく、大きな実績もない立ち上がったばかりの小さな会社だ。新卒の学生から見ると、“よくわからない会社”というのが正直なところであろう。それに、森と永田の本人も、これまで人事の経験はなく、どのように採用を進めれば良いのかわからないことも多かった。

そこで、二人は改めて思いを言葉にすることにした。“上場”という目標と将来のビジョンを掲げ、共に伴走する仲間を募った。

「何をやるか以上に、誰とやるかが大事だ」

専門的なスキルがあるに越したことはないが、二人はそれ以上に“キャラクター”を見たいと思っていた。

リクナビをはじめとする求人サイトに掲載したところ、会社説明会には60人ほどの学生が参加。森と永田は、履歴書から見える学歴や見た目ではなく、実際に話した時の感覚を重視した。会話するにおいて、どのようなキャッチボールを返し、どのようにコミュニケーションを図るのか。二人が感じる印象は、きっと今後クライアントやお客にも同じように伝わるからだ。

さらに、一人ひとりのキャラクターだけではなく、チームになった時に発揮されるであろうパフォーマンスのバランスにも注目した。同じようなキャラクターが集まるよりも、異なるキャラクターがいることで互いを補完し合えるし、予期しない化学反応が起こった方が面白い。

まさに、森と永田の関係性もそうだった。

最終的に、女性3名、男性1名の合計4名がショーケース・ティービーの新卒一期生として入社することが決定した。性格は真逆の森と永田だが、新卒採用においては互いの意見はピタリと一致した。

「よく、来てくれた」

二人は採用した身ではあったものの、「選んだというより、選んでもらった」という感謝の気持ちの方が強かった。

バラバラの個性を持つ新卒4名の新しい燃料が投下され、ショーケース・ティービーのエンジンは音を立てて走り続けた。

つづく。

株式会社ショーケースの「これまで」と「これから」を描くノンフィクション小説『OLD ROOKIEs』は、毎週1話ずつ公開中!
第1話 -卒業- https://note.mu/showcase/n/nd305564958cc
第2話 -挑戦- https://note.mu/showcase/n/n2b1a8afc07fc
第3話 -犬のウン- https://note.mu/showcase/n/nfb96f0b7d7ee/edit
第4話 -予感- https://note.mu/showcase/n/nb2813ef9f60d
第5話 -スタートライン- https://note.mu/showcase/n/nebefa72c6269
第6話 -スタイル- https://note.mu/showcase/n/n4b6d5391be52
第7話 -ヒットの方程式- https://note.mu/showcase/n/ndae846cd3747
第8話 -受託制作の限界- https://note.mu/showcase/n/n2f1f6ada2a6c
第9話 -ひとり旅のはじまり- https://note.mu/showcase/n/nc9a4700f699f
第10話 -二人の距離- https://note.mu/showcase/n/n59476c24920b
第11話 -親父の背中- https://note.mu/showcase/n/n4d0bae05c470
第12話 -真逆の二人から生まれるもの- https://note.mu/showcase/n/n60026ac50db3
第13話 -ITで届けるおもてなし- https://note.mu/showcase/n/nb209dcad1d30
第14話 -上場と新卒採用- https://note.mu/showcase/n/nd5cdac9b3712
第15話 -苦戦の資金調達- https://note.mu/showcase/n/nb559b25c8870

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