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決断をひっくり返したとき、思いたいこと

ダウンタウンの松本人志さんはその昔、著書のなかで「40歳になったら引退する」と書いた。

ところが、40歳はおろか50歳になっても引退するそぶりはなく、いまは報道バラエティのご意見番みたいな仕事も引き受けている。引退するどころか活動の幅、広がってるやん。

また、「映画なんてぜったいとらない」とも言っていた。お笑いの世界で同じく頂点を極めたビートたけしさんを意識したのだと思う。その宣言は撤回され、「監督松本人志」の名で映画を撮ったのは周知の事実である。

思い出した。「ぜったい結婚しない」と公言しながら普通に結婚もした。たしかデキちゃった婚ではなかったか。

当然のごとく、インタビューとかで言行不一致ぶりを突っ込まれる。しかしどこ吹く風、「ぼく、めっちゃウソつくよ」とうそぶいて爆笑をとりつつ、こんなふうなことを言っていた。

「むかしの自分が言ったことに縛られるのもどうかなーと思うんですよね」

松本さんは有名人だから、その発言が大きくクローズアップされ、周りからガヤガヤ言われたりする。けど、一般の人もそんなもんじゃないかな、と思う。

これが人との約束なら誰かに迷惑がかかりそうなものだけど、あくまで松本人志という人間が今後の自分について語っているだけに過ぎないから、それで周りがとやかく言う筋合いはないのだ。

肩を持ってしまうのは、ぼく自身にも似たようなところがあるからかもしれない。だけどやっぱり、人間なんてそんなものだ、と思う気持ちが強い。

きのうの記事でも書いた「決断」。この行いは「将来の自分との約束」ともいえるけど、その段階で出した答えが正解かどうかは、進んでみないと分からない。だから、本来ならその時点で修正も頭に入れておくのが普通ではないだろうか。

ある決意を秘めてそのまま進みだして、「やっぱり違った」と思って軌道修正することって、確かに誉められた話ではないがそれほど悪いことでもないはず。何か悪いことがあるとすれば、それはたぶん自分に対してじゃないかと思う。あのとき決断を下した自分に対して、申し訳ない、と。それと同時に、「これからの人生、大丈夫か?」と不安になったりもする。

誓ったことを守らなかった罪悪感に加え、自分がだらしなく感じる自己嫌悪感。この先も、何か決めるたびにまたひっくり返して人生を停滞させてしまうにだろう、そんな調子でひたすらマイナス思考に陥ることもある。

でも、そういうときこそ、自分に都合のよい解釈をすればよいのだ、と思う。

松本さんの先のセリフ「前に言ったことに縛られる必要はない」を思い出してもいいし、「あのときの自分から成長したから見えないものが見えてくるようになった」とかいろいろ言いようはあるわけだし。どっちみち正解とか答えとかない話なのだ。

前言をあっけなく撤回した自分をねちねち責めるよりも、何食わぬ顔でさっさと新しい道を歩くほうが、いろんな意味で都合よく生きていけるような気がする。


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