#アドベントリレー小説 6日目

本企画「アドベントリレー小説」は、12/1から始まり12/25に終わる、総勢25名で紡ぐリレー小説企画です。

5日目徒波咲(みぎめ)さん


『緋色のヒーロー』 #6

『このドレス綺麗だな。×××に似合いそう。お前もそう思うよな?』

『ほら。やっぱり似合ってる。流石俺!』

『ずっとこの時間が続けばいいんだけどなぁ……。」



『おいなんでこんなことしたんだよ!』

『俺のなにが悪いんだ!お前が……お前らがそう願ったんだろ!』

『お願い……お前だけでも逃げてくれ……。』




「――っ!」

街の喧騒が「早く元の世界に帰ってこい」と私の肩をゆすってきた。

私が今どんな顔をしているかなんて誰にも分からないから、みんな私を[異常なし]とみなして通り過ぎていく。
頭でっかちな仮面のせいで遠目で見ればもう誰かなんて分からない。
街行く人々は無個性の塊だ。

こうなったのも全部アイツのせいだ。
アイツのせいで関係ない人が巻き込まれ、死んでいった。
しかも自分は全部忘れたふりをして、被害者ぶっている。
それがずっとずっと許せなかった。

私は宣戦布告のヒールを高らかに鳴らし、目の前のくすんだ偽善者の名を呼んだ。

「ひろし…くん?」

思い出せ。お前が壊した世界を。
この世界なんてたった一人の我儘で簡単に崩れていくんだよ。

私は光がなくなったショールをぎゅっと握りしめた。


つづき→アラン校長さん


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