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外務省を退職

私は外務省入省後、8年間以上の在外勤務も含めて、約14年間働いた後、外務省を退職しました。

思えば、長いようで、とても短い外務省生活でした。

外務省での仕事はとても面白かったですし、自分の性格にも合っていたと思いますし、何より上司や同僚にも恵まれたと思います。

なお、以前、外務省での経験や若手職員の勤務の様子等についてのkindle本を執筆しましたので、外務省での勤務にご関心のある方はお読みいただけると幸いです。

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さて、本記事のタイトルにある外務省を退職した理由ですが、主に5点あります。

(1)国際機関で勤務したいと言う学生時代からの想いを実現したかったこと。

私は大学生時代から国際機関で勤務したいとの憧れを持っていました。

外務省入省後、こうした思いは徐々に薄れていましたが、在外で勤務していた間、家族の鼓舞などもあり、やはり国際機関で勤務したいと言う思いが再び強くなってきました。

国際機関で勤務することには、職務の不安定さや、内部に色々と問題もあり、かなり大変であると言う噂はよく聞いていました。

しかし、それでもなお、大学生時代の憧れを実現して、一度は勤務してみたいと言う思いが強かったこともあり、国際機関でのキャリアに挑戦しました。

国際機関に転職したことが正解であったかはまだわかりませんが、今後胸を張って正解であると言えるように、今後も頑張っていきたいと思います。

(2)外務省での勤務に慣れてきたで、コンフォートゾーンを脱出して、新たなスキルと経験とシェアを身に付けたかった。

外務省で10年以上勤務したこともあり、仕事の流れも概ね理解して、外務省のシステムもそれなりに理解していたため、通常業務はかなり慣れて、コンフォートゾーンにいると感じていました。

しかし、このまま外務省に居続けて、似たような視点や考え方を有する同僚と一緒に仕事をし続けると、視野がどんどん狭まってしまい、限られたスキルしか身に着けられないと感じていました。

このため、自分のスキルやキャリア面での成長のためにも、今の環境から少し離れて、異なる組織で異なる経験をすることが重要であると感じていました。

(3)ワークライフバランスを取れるような環境にいたかったこと。

外務省では、特に本省で勤務する際には、課室にもよりますが、なかなかワークライフバランスが取りにくい環境にあったと思います。

基本的に、毎日残業、日付が変わってから帰宅することが多く、子供と平日夜に顔を合わせる機会はほとんどありませんでした。

なるべく朝とお昼休み、通勤の時間帯は読書するなど、勉強をするように心掛けていましたが、それでも自己啓発のための時間を確保する事は難しく、また平日は家族と一緒に過ごす時間も限定的でした。

在外では、比較的労働環境は恵まれてはいますが、本省で勤務する際には、年次が上の先輩方を見ても長時間勤務することが多く、このままずっと東京で勤務する場合には、長時間労働をするという環境はワークライフバランスの観点からも好ましくなく、よりメリハリのついた勤務を生活を行いたいと考えていました。

この点、国際機関ではプライベートの時間を大切にする職員が大半で、寧ろ遅くまで勤務していると能力的に問題があるというレッテルを張られる恐れもあるため、それほど残業せずに帰宅して、残業が必要な場合には家族との時間を過ごした後に自宅で作業を行うという職員が多く、日本の労働環境とは明白に異なっています。

(4)外務省の人事制度に不満を感じたこと。

私は外務省で勤務するのであれば、ニューヨークやウィーン、ジュネーブなどにある日本政府代表部でマルチ外交に携わりたいと考えておりました。

そのために、所属課室での勤務評価を最大限上げられるように努力しつつ、修士号の取得や語学学習も含めて自己研鑽に勤めていました。

しかし、どれだけ仕事を頑張り、代表部での勤務を希望しても、残念ながら希望通りのポジションに異動させてもらうことはありませんでした。

一度、大学院への留学のために法律で定められている「自己啓発休業制度」を取得しようと思いましたが、これも人手不足を理由に人事課に却下されてしまい、人事課の対応には色々と不満に感じていたことも事実です。

せっかく業務で経験を積んでも、それを在外公館で生かせるような人事は行われないことが多く、希望通りの配属になる可能性は低いことはおろか、自分で自分の目指したいキャリアを構築していくことすら極めて難しいと感じていました。

このため、国際機関のように、自分の関心のあるポジションに応募するような業界で、自分のキャリアを形成していくことに関心を有していたことも事実です。

人事課は、人員に欠員が生じないことを念頭に人事を行っていましたが、職員の希望や適性をよりよく尊重して人事異動を行うような人事制度であったのであれば、外務省の人事制度に嫌気を感じることはなく、より長い間外務省で勤務していたかもしれません。

(5)当事者として開発協力に関与したいと思ったこと。

そして何よりも、学生時代から関心のあった開発問題等の課題に、当事者として関与したい、そのためには、政府やドナー国、NGOなどのパートナーと近い立場にあり、実際にプロジェクトを計画立案する国際機関で勤務したいという想いが強かったことです。

学生時代の憧れだけではなく、アフリカでの大使館勤務を通じて、自らがプロジェクトを計画立案して、現地の政府やパートナーと共に、開発問題に取り組んでいきたいという考えており、その想いを実現するために国際機関に転職しました。

国際機関によっては、実際にプロジェクトを実施するのはNGOなどの現地のパートナーであり、国際機関の職員はプロジェクトの実施にはそこまで関与していない機関もあります。

しかし、私の所属する国際機関は、パートナーを通じない形で直接プロジェクトを実施することが強みの一つとなっており、私も地方政府の関係者へのトレーニングや、地元住民との意見交換やデータ収集なども実施しています。

安定した職で、日本の国益のために働くやりがいのある外務省での勤務から、不安定かつ過酷な環境で仕事をすることが多い国際機関に転職することは、小さな子供が2人いることもあり、家族との関係も含めて、大変不安ではありました。

最終的には私の意思を尊重してくれて、かつ、アフリカと言う開発途上国に同行してくれた家族には心より感謝しています。

色々な人に、「なぜ外交官から国連職員に?」、「安定した仕事なのに勿体ない!」と言われることも今でもあります。

しかし、学生時代からの憧れと言う想いや人間的に、そしてプロフェッショナルとしても成長することが期待できる環境、そしてより現場に近く開発問題に当事者として携わりたいという想いを信じて、国際機関でのキャリアを開始することを決断しました。

私の決断が、家族と私にとって正解となるかはまだ分かりませんが、正確にできるように引き続き精進していきたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。

カニマンボ!

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