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古銭が教えてくれること

人間というのは、ゲンをかつぎたがるものですね。パンダラです。
と、NHK「探検バクモン」のいちコーナーのようなノリで始めたくなったのは、亡き義父が集めてたお金で一番多かったのが「五円玉」だったからです。大事ですね、ご縁。

先に言っておくと、義父はレア古銭コレクターだったわけではありません。ただなんとなく、手元にあったお金を集めていただけだそう。
引っ越しの際に見つかったそれらの小銭は義母のものになりました。

義父は集めるのが趣味で整頓をしたがる人ではなく、見つかった硬貨は一円~百円までごちゃ混ぜ。小銭のままでは使うにも手間なので、銀行か郵便局で数えてもらって義母の口座に入れることに。

小銭を見てみたところ、数多の人の手を渡ってきた歴戦のコインがびっしり。つまりはサビなどがすごくて、目で見て「君は何円硬貨なんだい?」となってしまい判別できないものが大多数。
それがちゃんと計測機に読み取ってもらえるか不安になったため、まずは出来る範囲でのクリーニングをすることにしました。
その過程で私は初めて、「穴のあいていない五円玉」の存在を知ることに。

私が見つけたのは昭和二十三・二十四年あたりのものでしたが、この頃は穴なしの旧デザインと穴ありの新デザインの五円玉が混在していたようです。
硬貨の変遷は書籍などでちゃんとした情報をいずれ身につけたいと思っていますが、明朝体で「日本國」だった文字が年を経るごとにゴシック体の「日本国」になっていく様子を実際の硬貨で見れたのが趣深いです。

硬貨のサビ取りで意外だったのが五円や十円が「ポン酢で綺麗になる」ことです。塩分が含まれているのが良いのだそう。
が、コスパのことと食事で使うという主目的に回したかったので、レモン汁に少量の食塩を混ぜた液でサビ落としを進めました。
まっ茶色の十円玉を汁に浸けた途端、スーッとオレンジ色に戻るのが面白くて、しばらくハイテンションになりながら作業していました。私は何も頑張っていないのに、えもいわれぬ万能感に浸ることが出来てストレス解消にいいなと。

発行年を読み取れるようになったので硬貨を価格ごとに分けたのですが、穴のあいていない五十円玉にもびっくりし(サイズ感が現在の五百円玉に近いのでほんの少しがっかりする)、何故か混ざっていたガンビアの一ブトゥツにも驚き。海外のコイン系は旅行に行かれた身内あたりからもらったのかなと推察。

集まった硬貨を見ていくと、円ではない「銭」単位のものも混じっているのに気づきました。その中でも私が気になったのは、昭和十九年の十銭硬貨。
中央に穴があいていて、現在の五十円と見た目は近いんですが持った感じがかなり軽く、今のお金のような輝きもありません。

戦局が厳しくなり、様々な金属が戦争の道具になるべく供出されていく中、国が生産するお金もグレードダウンせざるを得なかったのでしょう。
それでも経済には貨幣が要るわけでこの硬貨が作られ、おそらく戦後の闇市などでも流通していたのだろうという時代背景を想像しました。

くしくも本日、戦艦比叡が海底で発見されたという報が入りました。「艦隊これくしょん」を遊んでいるので、軍艦に多少の愛着があるプレイヤーとして嬉しいニュースです。
ゲームのおかげで知識が増え、ひとつの硬貨から当時の情勢を想像する機会に巡り会えたのがありがたいです。

一九四二年に沈んだ戦艦比叡ですが、かつては「御召艦」という、天皇陛下や皇族の方を乗せる軍艦として選ばれた経歴があります。
また「戦艦比叡」の前身は「コルベット」というタイプの「比叡」(戦艦ではなく巡洋艦)で、コルベット比叡は「エルトゥールル号遭難事件」に関わっています。

座礁したエルトゥールル号の乗客が和歌山に流れつき、コルベット比叡は姉妹艦である金剛と共に生存者をイスタンブールまで送り届けたのです。日本とトルコの友好的な歴史に欠かせない出来事と言えます。

話が逸れましたが、私達が何気なく手にしている硬貨ひとつとっても、色々なことが想像できて楽しいと思える良い機会でした。
時代と共に姿を変える「お金」。キャッシュレス決済も進む世の中で、将来はひょっとしたら硬貨自体が「えっ、実在してたんだ!?」というレベルのハイパーレアな存在になっていくのかもしれません。

ちなみに、五円玉の中では「昭和三十二年」のものが生産量が少ないという理由で希少価値があるそう。探してみたのですが残念ながら見つからず、やはりレアなものは本当にレアなんだなあ、と体感。見つけられた方、ラッキーですよ!

他、昭和三十九年の東京オリンピック記念百円玉が見つかりました。大河ドラマ「いだてん」が放送中になんてタイムリーな! と嬉しくなってしまいました。これは記念として大切に残しておきます。
額面以上の価値になってくれる事をほんの少し期待しつつ、ロマンのかけらを財布に忍ばせておこうかなと思いました……が、うっかり使ってしまわないように注意しないとですね。

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