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日進月歩 ~Road to MBA~#86

2021/2/26:マイナス成長を打開するDX戦略(大前研一氏)
 21世紀は、”テクノロジーの進化”と”ディスラプターの台頭”による既存企業の生存自体が難しいと冒頭でお話があったとおり、Context(環境)の変化によって企業が変革しなければならない時代になっている。
 本日は、様々な事例を交えながら「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」を進めて生き残っていくための考え方、コロナ禍における流れとこれからの企業の変革に向けて実践すべきことについて学びました。

■環境の変化(コロナ禍)における大きな流れ

 DXが一気に進んだ背景として、新型コロナウイルスの影響があげられることが多くあるが、セミナーでは以下2つの事柄を例にお話をいただいた。

(1)貨幣を増刷:増刷することは問題ないが、使い道が無く余る
  ※株に投資するが企業が回復しない⇒結果的に株価が下がってしまう
(2)在宅ワーク、オンライン配信・教育:オフィス賃貸の変化
  ※不動産として、5%の空きがあると値下がりを始める
   ⇒10%以上になると、「正味現在価値」までも下がってしまう 

 このように新型コロナウイルスによって、業界においてはとてつもなく大きな変革を求められているケースも少なくない。また、現在はそこまでの影響を受けていないにしても、今後のデジタル化の普及によって影響が出てくる業界もあるため、しっかりとDXを理解することが必要になるだろう。

■21世紀は「テクノロジーの進化」によって影響を受けている

 21世紀は、特に「テクノロジーの進化」が際立って見られ、その中でも量子コンピューティングに注目が集まっているようだ。CPUセントリックな商品(商品を購入した後に、データにおいて更新をしていく)も増えてきており、将来的には自動車もリコールするのではなくメンテナンスの中で、商品を更新して対応できる時代になってくるとも言われている。
 ディスラプターの脅威に対抗して生き残っていくためには、DXを進めることが不可欠であり、21世紀型企業へと変革を図っていくことが重要となる。また、4つの経済空間(実体経済、ボーダレス経済、サイバー経済、マルチブル経済)を束ねて発想できる者が勝ち残り、更にはプラットフォーム(見えない大陸)の概念を組合わせて考えていくことが必要になってくる。

<4つの経済空間>
実体経済:経済システムのうち消費財や投資財の生産・分配に関わる部分
ボーダレス経済:境目や国境が無い経済
サイバー経済:従来の実体経済ではないインターネット空間などでの経済
マルチブル経済:数式上の仮説で成り立つ空間(期待感による株価上昇)


■ではどうやってDXを推進していくのか?(事例から学ぶ)

 そうはいっても、DXが必要なのはどの経営者も分かってはいるだろう。業界におけるデジタル化の影響も感じている中で、日本企業の取組みは不十分といえる背景にはどういった要因があるのか。事例から学ぶことは多く見え、同業界内での横展開や異業界とのイノベーションなどを考える上で、とても整理ができた。DXを推進していくためには、「やり方次第」「決意次第」「人次第」といった大前氏の力強いお言葉が耳に残っている。

<デジタル化における影響>

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<企業業績の明暗事例>
 業績の悪化が苦しむ企業が増える一方で、業績が好調な企業も存在している。これまで言われていた急回復する「V字型」でも、ゆっくりと時間をかけて回復する「U字型」でも、回復できない「L字型」でもなく、回復の足取りがペースダウンしている「非製造業」と、明確な回復基調が続く「製造業」とが、あたかも「K」の字のように分岐・二極化している状況となっているのが特徴である。

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 また、業績の明暗が分かれている背景がある中で、新しい事業機会を求めて既存事業の軸足を移す(ピボットする)企業が増えてきている。証券取引所で「所属業種」を変更する企業、社名から「製品やサービス名」を外した企業などがでてきており、本業を変革するための動きが活性化している。

 企業の明暗を見て感じることは、テクノロジーの進化や新型コロナウイルスの影響によって環境が劇的に変化している中で、自社の事業領域や事業構造を冷静に見直した結果に応じて、思い切って転換・ピボットしている企業が好調を示している。私の組織内や上司を見ていても感じることが多くあるが、過去の実績をいつまでも称賛してほしい方が多く存在しているなど、過去の取組みは素晴らしいことであり実績ではあるが、その経験を基にした「現在」から「未来」にかけた取組みを考えている方が少ない。この結果が不調を示してしまっているのではないかと思う。日本企業も昔から言われている”大企業病”といった言葉すらも無くすような変革を期待したい、さらに自分自身も常に前向きに変化して対応する、そう言われ続けたいと思う。

■DXが進まない要因(①企業変革できない、②デジタル化できない、③一企業だけで対応できない)

 DXが進まない要因としては3つの要因があり、①企業変革できない(経営者の構想が無い、自社都合の優先や顧客視点の欠如、社内文化の抵抗等)、②デジタル化できない(経営者層のデジタル化への理解不足、外注に丸投げ等)、③一企業だけで対応できない(法規制・慣習の問題、業界や国における問題等)といった内容である。各要因において、事例を基にご説明をいただきました。


<①企業変革できない>
 企業変革まで至らなかった事例として3例あげられたのが、GE(米国)、BBC(英国)、三越伊勢丹(日本橋三越店)であった。

 GEにおける問題としては、”ハードとの抱き合わせにおける販売”と”顧客の利便性ではなく、ツールの販売が目的化してしまった点”があげられる。これまでのハード事業を捨てきれなかった点が変革できない理由であった。
 三越伊勢丹における問題としては、”VIP顧客のセンシティブな情報を店で共有していない”と”顧客の利便性が全く考えられていない点”があげられる。古い文化が根強く台帳といった手法で顧客管理をしており、顧客視点での利便性やデータ活用がうまくできなかった事例となっている。

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<②デジタル化できない>
 デジタル化に対する「理解不足」があげられ、投資対効果が把握できていなかったり、構想だけ考えて丸投げをするケースが多い。
※IT media「AI開発ミステリー ~そして誰も作らなかった~」より抜粋

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<③一企業だけで対応できない>
 官庁・族議員・業界における三位一体による岩盤規制があり、進まない業界や産業が多く存在している。例としてあがったのが、「行政の手続き」であり、エストニアと日本での比較である。最近DXにおけるセミナーに参加するとどこでも問題となって取り上げているのが「マイナンバーカード」である。マイナンバーカードを健康保険証として利用可能にするということが進められているということであるが、そもそも生体認証や世帯認証、電話番号すら登録されていないマイナンバーカードをどう利用していくのか、また、スマホで行政手続きすることが本当に可能になるのか、今後の行く末が非常に気になっている内容でもある。

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最後に・・・

 DXを進めていく上で重要なことをまとめてお話いただいた。あくまでも顧客視点で物事を考え、目的からあるべき姿を見つけ出すことが重要であり、UIやUXといった顧客視点のサービスや商品を生み出すことである。

  ✓ 手段/手法からではなく、顧客視点でビジョンを描き戦略を定めるべき
  ✓ 経営トップがコミットし、DX推進組織に「予算・権限・使命」を与える
  ✓ ITエンジニアにもタイプが存在するため、きちんと理解すること
  ✓ 周囲を巻き込み実現させる方法を模索していくこと
  ✓ 人材の再教育(ふるい落とし:ドイツ・台湾・イスラエル等)

今後の可能性を示そうとしている「仮想通貨Libra(リブラ)」や「NTTにおけるプラットフォーマーの可能性」など、”もし私が〇〇のトップだったらいかにDXを進めるか?”という問いに対して、自分自身や従業員がどう考えていくか、どこまで覚悟と決意をもってやり通せるかが重要だと感じている。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】
春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京/ラスタサッカーファミリー
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】
株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】
中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科


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