#009 リモートワークの浸透で「会社が搾取される時代」がやってくる

先ほどの記事に続いてのリモートワークネタです。

リモートワークが導入されることで企業と人の関係にもいろんな変化が起きていますね。あまりはっきりとした形ではまだ現れていないようですが、私は「遠心力の強まり」ということに注目しています。

企業と人・・・仕事と人と表現しても良いと思いますが、両者のあいだには「仕事が人を惹きつけていく力=求心力」と「仕事から人を離していく力=遠心力」の両方が働いています。

リモートワークの導入が進むことで、この「求心力」と「遠心力」の差がより明確になっていく・・・つまり、人を引きつける力のある仕事にはより人が集まり、人が離れていくような仕事からはより人が離れていく、ということが起きると思っています。

これは多くの日本の組織にとってとても難しい時代がきた、ということを意味しています。なぜなら、日本企業のエンゲージメントは非常に低い水準にあるからです。

たとえばエンゲージメント調査の大手であるギャラップ社の2022年の調査によると、「熱意をもって仕事に取り組んでいる」人の割合は日本では5%となっており、これは調査対象129カ国中128位となっている。 またオランダの総合人材サービス会社ランスタッドの2019年の調査によれば、日本は「仕事に対して満足」と回答したのは42%と、調査対象34カ国中最下位で、逆に「仕事に不満」が21%でこちらは同1位となっています。これはつまり、求心力と遠心力という点で言うと、日本の職場は非常に求心力が弱く、遠心力が強いということです。

実は私は以前から、このエンゲージメントスコアの低さに違和感を覚えていました。もともと、この種の調査をやると日本では低めに出る傾向があるのですが、にしても「ここまでエンゲージメントが低いにもかかわらず、なぜ生産性はそこまで低くないのか?」ということに違和感を覚えるのです。

一人あたり名目GDPの世界ランキングを確認してみれば、日本はおおむね三十位辺りをフラフラしています。かつてと知る者としては寂しいかぎりですが、それでも全世界に二百ほど存在する国の中で上位四分位には入っているわけです。

一方、先述したとおりエンゲージメントのスコアは世界最低のレベルにあります。これがどうもよくわからない。エンゲージメントが労働生産性を決める大きな要素であることを考えると、何か別の要因が働いて生産性を押し上げていると考えないと、なぜここまでエンゲージメントが低いにもかかわらず、労働生産性がまあまあの水準にあるのかがよくわからないのです。皆さんはどのような要素がここに働いていると考えますか?

ここからは私の仮説なんですが、どうも、ここに「恥」という駆動要因が絡んでいたのではないかと思うのです。エンゲージメントが低いということは、平たく言えば「やる気しない」ということですが、では、その「やる気ない」がストレートに行動に反映されるとどうなるか。

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