カミュの「反抗的人間」より

いま書いている「クリティカル・ビジネス・パラダイム(仮題)」に関連して、「反抗」というテーマで色々と読んでいるのですが、カミュの「反抗的人間」がなかなか面白くて。これ、絶版になってしまって読めないんですよね。1973年発行のカミュ全集6「反抗的人間」からの抜粋です。

不条理と、世界の明らかな不毛性とが最初から染み込んでいる考察に、反抗的精神がもたらす最初の進歩を認めよう。不条理の体験では、苦悩は個人的なものである。反抗的行動がはじまると、それは集団的であるという意識を持ち、万人の冒険となる。だから、自分が異邦人であるという意識に捉えられた精神の最初の進歩は、この意識は万人とわけ合っているものだということ、人間的現実は、その全体性において、自己からも世界からも引き離されている距離に悩むものだということを認める点にある。一個人を苦しめていた病気が、集団的ペストとなる。われわれのものである日々の苦難のなかにあって、反抗は思考の領域における「Cogito=我思う」と同一の役割を果たす。反抗が第一の明証となるのだ。しかし、この明証は個人を孤独から引き出す。反抗は、すべての人間の上に、最初の価値をきずきささげる共通の場である。われ反抗す、故にわれらあり。

アルベール・カミュ「反抗的人間」


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