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嫌な感じをあまりにリアルに覚えていて、これからの未来でその人に会ったらどうしよう。どこを見て何を話そう。一度会ったことのある知り合いがいる4人のご飯、その知り合いが店の階段を下りてきて目が会ったとき、こちらはお久しぶりですとウェルカムの仕草をおくったとき、本当はこのご飯は断ろうと思っていた。なんかあなたが嫌だから。と涙目で言われた。メガネをかけた涙目。おくりつづけようとしていたウェルカムの仕草は一瞬で凍ってしまい、顔がひきつり、この人は涙目だと思って、これは冗談じゃないと知った。そのときの怒り、疑問、不安、恥、とりあえずネガティブそうな感情がすべてないまぜになったようなあの気持ちを気遣うことができず、相手をおどろかせないように無意識に工夫したおどろきの表情が自分の顔に映ったときに夢から覚めた。起きる前から自分がバンクーバーにいると知っていた気がして、いつもと違うベッドにいることになんの違和感もなくあの嫌な感じを夢から引き連れている。

そう思えば、あの空港でかいだ1年少しぶりのバンクーバーの匂いを除いて、道路の土埃、曇り、数日間の借り家、コンビニ、それらすべてに自分が合っていない気がしていた。そんなことは住んでいたんだから知っていたこと、道路の舗装ぐあい、揺れるくるま、コンビニの冷たさ、日本と同じお金で住める家のひどさ、肌寒さ、異常に乾燥した空気、それらをまったく受け容れられていないことが無意識にはっきりと分かったし、歓迎される以前に自分がバンクーバーを歓迎できていないのだとおもい、そう感じた自分に嫌気が差してUberが配達してくれた量の多さだけがとりえの野菜炒飯を少しのこしていた。それも気に食わない。

そんななかで、ちゃんとした時間に眠くなって寝た夜の間でさえも、あなたが嫌だと言われるそれはこう書いてみるとあまりに象徴的な気がして、何なら昼間バンクーバーを見て思っていた自分のような気もして、もしかしたらああ言ったのは、あの知り合いではないのだと思って心がより落ち着きより厳しくなる。そういったことを自分のからだの中で済ませるより書いてしまった方が楽になると思って、それに書けないことを書くのでもいいんじゃない?と言っていたひとに賛成したこともあって、起きてすぐ横にあったパソコンをドキドキしながら打った。1時24分。それでも寝るしかないし、起きるしかないし、次の家を探すしかないのだけど。さいごの学期、1年目でも感じなかった馴染めなさからくる不安が大きくて、自分をとても心配になる。


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