しゅげんじゃ

ただひたすら功夫あるのみ。

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    無数の銃弾: VOL.8 (ユダン・ナラナイ・パブリッシャ)

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    電子パルプマガジン「無数の銃弾」で連載しているシリーズを、最新号から一話遅れて掲載していきます。

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    #逆噴射小説大賞2021 のエントリー作品を全て収集するマガジンです

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罪喰らうけだもの

 南雲星斗の死は美しいものだった。  夜の埠頭で係船柱に腰かけながら、如月凌馬はゆっくりと紫煙を吐きだした。星斗のアトリエで見た光景が、鮮やかに蘇ってくる。  アトリエにはオブジェがあった。オブジェはアクリル板で仕切られた高さ三メートルほどの正四角柱で、透明な合成樹脂によって満たされていた。そして固体化した樹脂の中には、人間大の塑像が浮かんでいた。  角が一本。  ぎょろりと一つ目。  巨大な顎と滑らかな体。  蹄のある四つ足。  魚のように跳びあがり、大きく身を捩った

    • 軌道旋風ギャブリエル 『楽園の地獄』 第五話 「死して屍拾う者なし」

      登場人物たち◆  戦争がすべてを狂わせたのか、それとも、狂っていたから戦争が起きたのか――デミルにはわからない。  しかし、これだけははっきりとわかっている。  戦争によって失われたのだ。  セレン。  ずっと一緒だった人。  大切だった君。  君はもう、二度と戻ってくることはない。  ――そう、わかっていた。  手からこぼれ落ちた水のように、君の笑顔も、君の優しさも、君のぬくもりも、そのすべてが。  だから。  デミルは、闇のなかで立ちどまった。  敵地、エクサゴナルの首

      • 2023年に読んだ小説をふりかえる

        人生振りかえりが大事。ということで昨年(2023年)読んだ小説を振りかえってみるという、毎年恒例の記事です。なお「よい」と思った小説のタイトルの横には をつけています。ただこれ、完全にしゅげんじゃの好みと主観での判断なので、そういうもんだと思ってください。 それではやっていきます。 ◎黒牢城現代の創作においてはジャンル横断的・マッシュアップ的な要素は不可欠で、この黒牢城は戦国ものにミステリーを、それも安楽椅子探偵ものを掛けあわせたものになっていて、その時点ですでにおもし

        • 2024年がはじまったようです

          🎍あけましておめでとうございます🌵 2024年の抱負的なやつひとまず創作限定で。 活動面・質の面・進捗の面というみっつに分けて抱負を書いてみます。 創作活動面での抱負 2023年はなんというか、生煮えというか、くすぶっていたというか……仕事が忙しかったことが原因とはいえ、創作に向けて自分をうまくチューンできてないな、という感覚がありました。 なのでワークライフバランスとはちょっと違うんだけど、2024年はしっかりと創作に集中できる時間を確保する……ということを軸にして

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          世紀末お肉バトル伝説 オニクカ・メーン | #第三回お肉仮面文芸祭

           勇者オニクカ・メーンの死から五十年後。世界は核の炎に包まれた。海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。しかし、人類は死に絶えてはいなかった――。 「ヒャッハー!」  乾いた空気に野蛮な叫びが木霊する。この物語の主人公はデンガク。彼の故郷であるササミ村は今、恐るべき野盗の群れに襲われていた! 「お許しください! そのお肉は……そのお肉だけは!」  すがりつき、懇願する壮年の男。その男を、 「あ~?」  と、あからさまに悪そうな面構えのモヒカン頭が一瞥した。

          世紀末お肉バトル伝説 オニクカ・メーン | #第三回お肉仮面文芸祭

          中途半端が一番クソ🔥🖕🔥

          あー、ムカつくぜ……! 心の底からムカつくぜ……心の底からな……ッ! ふだんおだやかなしゅげんじゃ氏(自称)が、いったい何にこんなにムカついているのか? それは……! 逆噴射小説大賞の最終選考に選ばれなかったから? いいえ、答えは No。たしかにそれはムカつくきっかけのひとつではあるけど、ムカつきの根源はそこではない。 そもそもこの結果は内心、折り込みずみだったというか、前回大賞を獲ったこともあり「今回は賞レース気にせず気楽に参加してみよう」ぐらいのゆるゆるな心構えで

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          赤人館の殺サンタ事件 | #パルプアドベントカレンダー2023

          1. 探偵は遭遇する  探偵とは死に遭遇し、謎を解き明かし、去っていく……そういう存在だ。探偵が行くところ、常に死と謎とがつきまとう。それはもはや、宇宙の法則だと言ってもいい。  だが、それにしても……。  と、八神は思った。探偵である彼はいま、目の前の現実に戸惑っていた。  洋館の歓談室のなかだった。パチパチと、暖炉が音を奏でていた。銀の燭台の上ではろうそくの灯が揺らめき、窓の外ではしんしんと、降り積もる雪が白銀の世界をつくりだしている。  暖かく、静かな空間。  

          赤人館の殺サンタ事件 | #パルプアドベントカレンダー2023

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その肆

          逆噴射小説大賞の応募作品のなかから僕なりにテーマを決めてピックアップをしていきます、の第四回目です。今回で最終回なので、いつもより多めに景気よくドーンといきます! おかみ様の遣わすもの現代的な怪談って「日常のすぐ隣にある怪異との遭遇」に怖さがあったりするわけですが、この作品は日常っぽい何かがむしろ怪異である、という転倒がおもしろいと思いました。宇宙飛行士っぽい人たちが怪異なのではなく、実は日常の方が怪異という。というかですよ、登場人物が「シカ(鹿?)の代わりに狩れてよかった

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その肆

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その参

          逆噴射小説大賞の応募作品のなかから僕なりにテーマを決めてピックアップをしていきますの第三回目です。なおテーマは機密事項として非公開ですが、全体のトーンからなんとなく察することができるかもしれません。 では、やっていきます。 ドラゴンアンドデートドラッグパルプ的スピード感・グルーヴ感を出しやすいことから、冒頭疾走系(主に何かに追われてる系)って逆噴射では多いのですが、そういった類型のなかにおいてこの作品は秀逸だなと思いました。とにかくスラップスティックでありながら、バタつい

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その参

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その弐

          ここのところ絶妙に忙しく、前回のピックアップから間が開いてしまいました……。 逆噴射小説大賞の応募作品のなかから僕なりにテーマを決めてピックアップをしていきますの第二回目です。なおテーマは機密事項として非公開ですが、全体のトーンからなんとなく察することができるかもしれません。 では、やっていきます。 レザレク特殊清掃ならぬ特殊葬送お仕事もの感があり、これは間違いなくおもしろくなりそう……と感じました。800字と短いなかでも主人公の故人への接し方など、しっかりと人物が掘り

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その弐

          逆噴射小説大賞2023ライナーノーツ的なやつ+α

          2023年秋。今年も逆噴射の輝きは天空から降りそそぎ、人びとを熱し、畏れさせ、狂乱させた。11月になると輝きは去っていった。だがその残照はいまだ熱を持ち、年末が近づくなかで、日本は再び夏日を迎えようとしていた……(逆噴射は季節を狂わすぐらい楽しかったですねの意)。 ヘッダー画像は AI 画伯が生成したマスコット「ふりかえるくん」です。なぜかヨガのチン・ムドラー(親指と人差し指で輪っかをつくる印)をキメてますね。かわいい。 ということで、何ごともふりかえりが肝心。まずは自作

          逆噴射小説大賞2023ライナーノーツ的なやつ+α

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その壱

          みんな、パルプしてますか? 今年も開催された逆噴射小説大賞、応募数は10月21日段階で132作品ほど。新しい参加者も多く、去年同日での実績は126作品だったので(ジョン久作さん調べ)しっかり盛りあがっている! なお応募作品すべてを下記から読むことができます。 さて。そんな応募作品のなかから、個人的に「よいな」と思ったものを数回に分けてピックアップしていこうと思います。ちなみに毎記事ごとに自分のなかでテーマを決めてピックアップしていく予定です。 ちなみにそのテーマは機密事

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】2023年版 その壱

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】今さら2022年編

          今年も逆噴射小説大賞がはじまった! しゅげんじゃ氏は早くも最大2作の応募枠を使い果たしてしまい……なので余裕をこいて自分が「よいな」と思った作品を紹介していくという通称ピックアップ行為(※)をやっていこう……などと思ったわけですが、それをやる前にしゅげんじゃ氏には心残りがあった……それは去年(つまり2022年)の逆噴射においてピックアップ行為をまったくしなかった……ということなのである……。 なので今年のピックアップをやる前に、去年分のピックアップを1年越しに実行し、心残

          【逆噴射小説大賞ピックアップ】今さら2022年編

          黄金ザクロ

           誰もいなかった。たった独りきりだった。  ウゥゥー……ウゥー……。  荒涼とした大地に、呻きにも似た何かが木霊していた。言い知れぬ焦燥感とともに空を見ると、天頂には眩い光があった。耳元には囁く声。誰も、いないはずなのに。  見えるか? あの輝きが。ぴかぴかとしたあの光が。わかるだろう? 俺とお前が求めてやまなかったもの。ありとあらゆる犠牲を費やし得ようとしたもの。俺とお前の生と死。終わりにして始まり。全てを飲みこむ黄金の光。  あれが、黄金ザクロだ。  叫びをあげ、御

          平等院鳳子を殺せない

           鱈野エビスは息を呑んだ。  横断歩道の向こう。桜並木に一人の少女が佇んでいる。桜舞う春の風に吹かれながら、少女の髪は艶めいて見えた。その凛とした佇まいは神々しく、畏敬の念すら抱かせる。  平等院鳳子。  私立夢殿学園のアイドル……いや、カリスマ。  エビスは高鳴る胸を押さえた。チャンスだ。ようやく二人きりになれる。下校時のこのタイミング。今なら鳳子の取り巻きはいない……だから。  やつを、殺せる。  鞄に隠したナイフを握りしめ、エビスはゆっくりと歩を進めた。  俺は知っ

          平等院鳳子を殺せない

          【逆噴射没ネタ供養】天使螺旋で舞っていた

           極彩色うずまく中で、男は咀嚼を繰り返す。じっくりと、味わうように。満足げに目を閉じて、湧きあがる言葉に身を委ねながら。  ある者は言っていた。天使とは神秘であると。なぜなら天使は、人には計り知れぬものだから。別の者はこう言った。天使とは科学である。なぜなら天使は世界の法則そのものだから。こう言う者もいた。天使は力だ。天使は全てをもたらしてくれる――。  男は鼻を鳴らした。  どれもバカげている。天使とは、単に美味いもの。  俺の、ご馳走だ。 「伊座利様、終わりました

          【逆噴射没ネタ供養】天使螺旋で舞っていた