竹縄3

シュハリの台所主催 上映呑み会三月のお知らせ

2019年第三回目は「竹縄のさと」1987年民族文化映像研究所作品を上映して一杯呑みます。

埼玉県東秩父村で収録された竹製の縄作りの記録映画。
内容は「竹で縄を作る」という単純なモノ。その工程が丁寧に記録されている。
民族文化映像研究所作品には、単純な工程記録映画が多数ある。ナレーションがなくても、日本語を知らなくても誰でも見れば解る内容。それがいい。
民族文化映像研究所の作品群を指して「とても不親切な映画たちです」と紹介する。現代のテレビを見慣れた人には、戸惑いと疑問がたくさん生じる映画たちに困惑するかも知れない。テレビ局の偉いプロデューサー氏は「誰が見ても分かるように」という命題を安易に下請けスタッフたちに出す。お陰で聞いていれば分かるのに、言葉を文字化して画面に出す。状況を細かく解説する。至れり尽くせりのサービスがてんこ盛りとなる。
対して、民族文化映像研究所の作品はディテールの解説はない。画面での事象はどんどん先へと進み、素材が形へと変化して行くのだ。「あれ?何だろう」と思っても、それが解説されることはほとんどない。はてなを残したまま映画は進む。どうして、そのような作品作りになったかの民族文化映像研究所作品群考察は別に機会に譲が、平成も終わる現代に、それらの作品は異彩と共に、ある種メッセージを含み私たちの前に現れるのだ。現代映像へのアンチテーゼと大仰なことは言わない。ただ、現代記録映画作品が主義・主張などの明確なメッセージを伝達する目的を負わされていると考えると、単純記録映画でありそこには、大上段に構える主張は存在しない。が、それも平成が終わろうという今見ると、大切な主張が浮き上がって来る面白さ。しかし、それは製作当時の思いではない。怪我の巧妙的な拾いモノ。

硬い素材である竹。しかし、縦方向の繊維は強靭。横方向は案外柔く、細く裂ける。硬い竹を様々な知恵を用いて縄とする。綯う。繊維を縒り合わせること。藁と同じで綯うことで長く、強く、作り上げる。

竹縄と書いてタカナワと発音する。水にも強く、舟を舫うロープなどに多く利用され、建築の結束や、神輿や屋台の結束にも重宝された。
東秩父村は、江戸に近く主製品として村に利益ももたらしただろうが、現在はない。需要がほとんどないのではなかろうか。
「竹縄のさと」は、とても貴重な記録映像なのです。