デザインとコミュニティ

美大出身でデザイン教育に関わる4人で、「デザインとコミュニティ」という本をつくりました。

ぼく自身は、2004年に会社を辞めて、地域でデザインの仕事を模索してきて、まだ14年。他の3人は、大学在学中から地域に関わりはじめて、30年以上もコミュニティを意識したデザイン活動を続けています。

2018年の現在でこそ、コミュニティデザインやらソーシャルデザインという言葉が浸透してきていますが、ぼくが大学を卒業する1980年代のデザインは、企業やビジネスのために使われることがほとんどで、自治体、市民団体などの非営利な活動のためのデザインは、ほとんど見かけることはありませんでした。

バブル経済がはじけて暮らしの足元を見直しはじめた1990年、あるいは、インターネットが普及して個人の新しいつながりが増えはじめた2000年代、さらには、2011年の震災。いくつもの要因が重なって、デザインとコミュニティの関係が大きく変わってきました。

「デザインとコミュニティ」という本の帯には、

「私」から「私たち」へ。そして「コミュニティ」へ。デザインの力とコミュニティが出会うとき何が生まれるのか。先駆的な20のプロジェクトを通して、一人ひとりが身近な問題に取り組み仲間を増やしコミュニテイを豊かにしていく過程を知る。

とあります。そして、章立ては、

1章 自分をデザインする

2章 参加をデザインする

3章 地域のネットワークをデザインする

4章 人や組織を繋ぐデザイン

5章 プロジェクトをデザインする

6章 生活圏をデザインする

となっています。

人ごとではなく、自分ごととしてのデザイン。誰かのためではなくて、自分たちのためのデザイン。公と共と私をしっかりと意識したデザイン。生活と社会に根ざしたデザイン。そんなデザインを実現する方法が事例とともに示されています。

ぼく自身、10年間は、大企業のサラリーマンとして、企業をクライアントとしたデザインの企画・制作を手がけ、その後の10年間は、家づくりの情報センターで、住宅、家具、日用品に関する展覧会を企画・運営してきて、直接的に地域と関わることがほとんどありませんでした。

自分が育った地域に関わる仕事をしたいと考え2004年に独立してから14年、地域で様々な模索を続けていますが、まだまだ、どうしたらいいのかわからないことだらけです。

デザインの力をコミュニテイに活かす。これからますます求められていくと感じています。社会が変化していく中で、デザインの役割も変化しています。この本「デザインとコミュニティ」が、これまでのデザインの方法に捉われずに、それぞれが新しい方法を模索して、デザインがより良いコミュニティをつくるため手段として浸透していくための一助となることを願っています。

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