釣りをしていて考えたこと 17

相変わらず釣りを続けています。


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釣竿が増えてきたのでロッドホルダーを自作しました。
ひとまず作りましたが、このままだと竿が重みでしなって曲がり癖がつくかもしれないので、間にもう1本パイプを入れようかと思案中です。


ところで釣りは残酷な趣味だと思います。

魚を傷つけたり食べたりします。
趣味で生き物を傷つけることに対して、自分の中でどう折り合いをつければ良いのかいつも悩みます。
未だ結論が出ないので、ひとまず「釣った魚は丁寧に食べる」「釣り場では自分の周囲のゴミ拾いをする」を心がけています。


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僕の住む地域の自治体では、釣り針は「その他金属類」。
ペットボトルなどの容器にまとめて捨てる決まりになっています。


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鰆のアラを炊いたご飯。

鰆は102センチの大物。
アラは出汁を取った後、肉を骨から外します。
それをお米の上に乗せて出汁、醤油、酒で炊いて完成。

アラはできるだけ捨てずに使うようにしています。


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鰆はいろいろな方法で食べましたが、これが一番美味しかったです。
昆布締めにした身をごく短時間スモーク。
焼きおにぎりは残ったアラ炊きご飯に醤油を塗って焼いたもの。


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シーバスのカマの塩麹焼き。

鰆を釣った日、一緒に船に乗った知人からシーバスをいただきました。
この時期はビッグベイトと呼ばれる大きいルアーを投げると、80センチ以上の大きなシーバスが釣れます。

ルアーをする人の中には魚を持ち帰らない人も多いです。
シーバスは釣った場所によっては独特の臭いがありますし、食べることが目的というよりはゲーム自体を楽しむ釣りなので、持ち帰らない理由も分かります。

とは言っても、できるだけ食べたほうが良い気がするので、いらない魚はもらいます。
魚が臭うのは人間が水を汚したせいかもしれません。
処理の仕方や調理法を工夫すれば美味しく食べられるはず。

で、美味いですカマ。
多分、塩麹がシーバスの水分と臭みを抜いてくれるのかと。


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自家製のアンチョビで作った米粉のトマトパスタ。

アンチョビはカタクチイワシを塩漬けにしてからオリーブオイルに漬けて発酵させますが、自分で作ると思い入れもプラスして市販品にはない美味しさが感じられます。


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堤防の嫌われ者「アイゴ」の塩辛。

アイゴはヒレに毒があり刺されると大変、さらには内臓がものすごく臭いです。
堤防でお腹を開いたら、あまりの臭いにそれを嗅ぎつけたウミネコの大群に取り囲まれました。
なので、食べる人はあまりいません。

ウミネコといえば、先日、釣り糸に絡まったウミネコを見かけました。
人が集まって糸を外そうとしていたので、僕は遠巻きに見ただけでした。
が、釣り人としては申し訳ない気持ちになりました。

海岸にはペットボトルや発泡スチロールの容器がたくさん落ちています。
その場で捨てられた物ではなく、多分、どこからか流れ着いた物です。
海洋プラスチックの大半は地上から海に流れ込んだものだそうです。
欧米企業がプラスチックストローの使用をやめたところでほとんど意味はなく、一部のアジアの国が海洋中にプラスチックゴミを捨てるのをやめることが重要だという研究結果もあるそうです。

詳しいことはわかりませんが、認識すべきは僕もその輪の内側にいるということです。
その問題を知りながら解決しようとしてきませんでした。
つまり、加担しているのです。

僕が堤防でゴミを拾っている時は大体そんなことを考えています。

ちなみにアイゴは美味しい白身でした。


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イナダ軍団。

すいません、いっぱい釣ってしまいました。
30~40センチのイナダが11匹。

近所に住む漫画家さんと仲良しになりまして、SUPを教えてもらったり、たまに一緒にご飯を食べたりしています。
で、ある日イナダ船を予約。
2人ともイナダ釣りは初めて。

釣りを通じて深める親睦は特別なものがあります。


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イナダのお刺身スモーク&酢締め、あら汁、焼おにぎり。

イナダはブリの幼魚の呼称です。
ブリに比べると脂があまり乗っておらず、「マズイ」と言う人もいます。

だけどやっぱり、マズイのは人間のせい。

お刺身はまずはそのまま食べ、炙り、塩麹漬け、昆布締め、スモーク、酢締めと作りました。
酢締めはイマイチ。
脂がない魚をさらにさっぱりさせた僕が悪い。
他は美味しかったです。
お刺身スモークは鉄板で美味しい。


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薄力粉をビールで溶いて、イナダのフィッシュ&チップス。

フライドポテトは生のジャガイモを低温で煮て、その後、高温でカリッと揚げました。
ただのフライドポテトも手作りするとすごく美味しい。


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アラは塩を振って30分放置。
表面に浮き上がった水分を90℃くらいの熱湯で洗い流してから、出汁を取りました。
冷ますとゼリー状に固まるほどの濃さです。
出がらしのアラは身をほぐしてゴマと鰹節粉、醤油、みりん、酒と合わせてフライパンで炒りました。
フリカケも完成。


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スープ・ド・ポワソン。

これもアラ出汁の一種ですが、細かく切った野菜とトマトの缶詰、ハーブも一緒に煮込んで、ザルで濾したものです。
そのまま飲んだり、チーズを溶かしてパンにつけて食べるのが定番です。
番外編として、鯖の切り身を乗せてお米をスープで炊いてみたところ、旨味成分の塊のような物質ができました。


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続いてコノシロ。

これも人気のない魚です。
成長に合わせて呼び名が変わる出世魚ですが、小さい順にシンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロとなります。
コハダは江戸前鮨の定番ですね。
美味しくて大人気。

一方、コノシロサイズは身に小骨が複雑に入り組んでいて食べ辛い。
同じ魚なのに大不人気。
「煮ても焼いても食えない」という言葉は、コノシロが由来だそうです。

と言われたら、やはり「マズイのは人間のせい」。

包丁で骨切りをしたり、酢につけて骨を柔らかくすれば食べられるはず。
美味しく食べたい。

塩焼きはやっぱりちょっと骨っぽい。
煮切り醤油を作って握り鮨。
酢締めは味は美味しいけど若干骨っぽい。
酢締めして適度に酢が入ったら、その後は軽く酢で湿らせたペーパーにくるんでさらに骨が柔らかくなるのを待つのが良さそうでず。

煮切り醤油が美味しかったので、自家製宗太鰹のなまり節にかけて食べる。
何コレ最高。


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コノシロとシーバスの棒鮨。

コノシロはシーバスのエサとなる魚です。
まずはコノシロの群れを探し出して、群れにルアーを投げ込むとシーバスが釣れる仕組み。
その時、ついでにルアーに引っかかって釣れてくるのがコノシロ。
捕食する者とされる者を、一緒にお鮨にしてみました。

最終的に、コノシロは下処理してから冷蔵庫で2日寝かせて、昆布に挟んで1.5日、酢で湿らせたペーパーに包んで2.5日経ったものが一番美味しかったです。
骨は酢で湿らせたペーパーに2日以上包めば気にならなくなることが分かりました。
マズイ魚はいないのです。


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で、またイナダを釣りに行きました。
今度は1人。

前回は初挑戦だったので釣り具一式を釣り船屋さんでレンタルしたのですが、今度は自分の道具を揃えました。
揃えたら試してみたい。
結果は37匹と大漁。
良い日に当たりました。

沖上がり1時間半前に35リットルのクーラーボックスが満タンになってしまい、それ以上は釣っても持ち帰れないので釣りをやめました。
イナダは1匹1リットル。
37匹中31匹はご近所に配り、自分用は6匹。

配る時はなるべく下処理までしてから配ります。
血抜きして滑りを取り、頭と尾を落として内臓を取ってペーパーに包んでから渡します。
そうしておくと次回も受け取ってもらえます。
受け取ってもらえると次回も出かける口実ができます。


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干物をいろいろ作ってみました。

普通の干物とハーブで漬け込んだ干物、みりん干しの3種類。
みりん干しはゴマまみれにしてみました。


釣りを始めた頃のように毎晩1時間だけ釣りに行くようなことはしなくなりました。
週1回、多くて2回。
外食が減り、自分で料理を楽しむようになりました。
外食ももちろん好きです。
食材の元の形や調理法が想像できるようになり、さらに外食が楽しめるようになりました。

命ってなんだろう?

作家として僕の初期からのテーマです。
「海猿」では海難レスキューを描きました。
「ブラックジャックによろしく」では医療現場を描きました。
「特攻の島」では戦争を描きました。

作家人生の最後に「命を奪うこと」=「食」「釣り」を描きたいと思っています。


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