おりづるタワーのための壁画


2016年9月23日グランドオープン、広島「おりづるタワー」のために描いた作品を紹介します。


「平和」をテーマに描いた46枚のイラスト連作=漫画。

ビルの1階から屋上展望台へ続くスロープ壁面に展示されており、実物はB0サイズが基本、最も大きな絵は4m×16mあります。

「平和」とは「戦争がない状態」を示す言葉だそうで、戦争に触れれば政治的にならざるを得ず、誰ともぶつからずに平和を表現することは困難です。海外からの観光客が多く来場するビルの性格を考えれば、なおさら困難。

ならば、僕の考える「平和の形」を提示するのではなく、絵を観る人それぞれの胸の内にある「平和」に思いを馳せてもらおうと、戦後から現代に至るまで復興、発展していく広島の街の様子を、ある家族にスポットを当てながら描きました。

「僕には形がない」

「僕が見えるかい?」

「僕からはみんなが見える」

「僕の名前がわかるかい?」

作中登場する言葉はこれだけです。

物語の主人公は「平和」。
だけど、「平和」は透明人間のように実体がなく、その姿が描かれることはありません。

作品を観た後に、それぞれ人の心の中に「平和の姿」が思い浮かんだらいいな、と。

ご興味のある方はぜひ現地まで足をお運びくださいませ。

原爆ドームの真上にある展望台から見下ろす広島の街は、きっと何かを感じさせてくれるはずです。

展示フロアのインスタレーションなども素敵ですよ。

グランドオープンから3日間は無料で展望台に入場できるそうです。


「おりづるタワー」

〒730-0051 広島県広島市中区大手町一丁目2番1号

TEL 082-569-6803

営業時間 10:00-19:00



さて、作品を宣伝させていただいたついでに、製作過程をちょっとだけ解説させていただきます。

こちらのイラスト。

実物は4m×16mありますが、デジタルで製作しております。

Clip Studioという描画ソフトを使用し、1羽1羽の鶴を手で描いています。

まずは下絵。

鉛筆ツールで形を取りながら陰影をつけていきます。

漫画家の仕事を強調したいので、輪郭線はやや強め。

にじみツールで色をなじませまてから、さらに細部を描写。

鉛筆デッサンと漫画をミックスしたような絵を目指しました。


これをひたすら繰り返し、40時間ほどで下絵が完成。


利き手の親指にマメができましたよ…。


引いて観ると何てことの無い構図ですが、4m×16mで展示した際、赤で示したラインが人間の目の高さに来るように、小さな鶴を配置してあります。

スロープを歩くと、目の高さを飛ぶ鶴を横目に、順番に絵が目に入ってくるる仕組みです。

左から右に歩いて観ることを想定しておりまして、右部分の螺旋&鶴を、左部分より大きめに描いています。

そうすることで、奥(右側)の絵が観る人に向かってせり出し見えるはず…?

まるで折り鶴に囲まれているような。

日本の屏風絵では、そういう目の錯覚を利用していることがあると聞いたことがあったので、やってみたかったのです…。


下絵が完成したら、今度は1羽1羽に和紙のテクスチャを乗せていきましょう。

テクスチャは、手持ちの和紙をスキャンした物+商用利用可のフリー素材。

特殊な素材は使わず、誰でも手に入れることができる素材で製作します。

漫画は元々、「ペンとインク」という質素な画材で描かれる物です。

ですので、あまり特殊な画材で作ることは漫画の文脈から離れてしまう気がするのです。


様々なテクスチャを乗せては、1羽ずつ鶴の形に切り抜きます。

アナログ原稿にスクリーントーンを貼り込む要領です。

普通に筆ツールで色を塗ったほうが楽ですが、あくまで漫画の文脈上にある表現にこだわりたく。

すべての鶴にテクスチャを貼り込んだら、テクスチャだけをコピ−&ペースト、拡大縮小、透明度などを調整し、構図を整えていきます。


色調を補正したり、加算発光レイヤーを使ってみたり。


思うように立体感の出ていない鶴は、下絵に鉛筆ツールで陰影を加筆します。

和紙のテクスチャが平面的なので、その分、下絵の描き込みが重要です。


と言うことで、あっという間に出来上がり。

いえ、5日かかりましたけどね…。

多分、この大きさでご覧いただいても、実物の数分の1しか伝わらないと思いますので、ぜひ現地でご覧下さいませ。

半年~1年ほど展示される予定だそうです。


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佐藤秀峰

コメント1件

被災地に千羽鶴が届いて迷惑だとか、迷惑だとはけしからんとか、平和な証拠ですかね。
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