釣りをしていて考えたこと4

相変わらず釣りを続けています。

…と言いたいところですが、8月はほとんど釣りに行けませんでした。理由は仕事やプライベートで用事が重なり忙しかったこと。忙しくて遠くに行けないので自宅近所の海に出かけても、人が多くて釣りがしにくかったこと。
夏の海はオフシーズンとは別の場所ですね。浜辺は深夜までお酒を飲んだり花火をしている若者が陣取っていて、人目のない場所に行けば暗闇で抱き合ってる男女がいたりと、なかなか釣りをできる雰囲気じゃありません。堤防に出かければ釣りはできますが、昼間は親子連れや観光客も多いので、何となく落ち着かなくて…。誰もいない場所に行きたい。

「僕はなぜ釣りをしたいんだろう?」と考えた時、多分、魚をいっぱい釣りたいからじゃありません。釣れない日があっても全然嫌じゃないし、むしろ、僕の技術で簡単に釣れる魚は避ける傾向ができてきました。「独りになりたい」というのがまずあって、「自然を感じたい」というのもあって、上手く言えないのですが、そういう状態で「何かを思い出したいような感覚」があります。

僕は釣り初心者ですが、思い返すと釣り経験がまったくないというわけではありません。小学生の頃はよく釣りをしていました。北海道の田舎に3年半住んでいたことがあり、家の裏手に湖があってコイやヘラブナを釣っていました。同級生に釣りの上手な子がいて、よく一緒に釣りをしていたのです。川でウグイや岩魚も釣りました。夏休みの自由研究は「湖に生息する魚を全種類釣って魚拓を取る」というのをやりました。

だから、釣りに対してはどこか懐かしさを感じるというか、30年くらい忘れていただけで元々好きだった気がします。そう言えばラジコンも好きだったな…。3年前に41歳で車の免許を取り、今は車も好きです。漫画一筋で生きてきましたが、それにもちょっと疲れてしまい、子供の頃に戻っているだけなのかも知れませんね…。漫画も頑張らなきゃな…。

さて、9月に入り、まずはシーバスボートに乗りました。
シーバスボートとは、船をチャーターして船長のガイドでポイントを巡る釣りです。東京湾ルアーフィッシング。先ほど釣りをする理由を「魚をいっぱい釣りたいからじゃない」と書いたばかりですが、8月に釣りができなかった鬱憤を晴らすため「今日は釣るぞ〜」と意気込んでボートに乗りました。船長にポイントを案内してもらうということで、「独りになりたい」にも当てはまりません。釣りは常に自分の中の矛盾との戦いです。

朝5時にボートに乗り込み最初のポイント、1投目でいきなりシーバスが釣れました。マジかよ、と驚きつつ2投目、3投目。

3投で3匹のシーバスが釣れました。
20匹くらい釣った所で、別の釣り方にチャレンジしてみましょうということになり、ペンシルベイトというタイプのルアーに初挑戦してみました。
それまで使っていたバイブレーションというタイプのルアーは投げて沈めて巻けばいいだけなのですが、ペンシルベイトはリールを自分で細かく操作ながらルアーに動きをつけなければいけません。
水面をチャカチャカと細かく動かす操作が難しく、とたんに釣れなくなりました。練習、練習。船長にコツを質問しますが、「投げて慣れるしかないですね」とのこと。上手く動かせません…。


写真ブレブレ。それでも10投に1回くらいは釣れる感じ。10匹ほど釣ったところでバイブレーションに戻し、再び1投ごとに釣れる状態に。


サイズは40センチ前後のフッコサイズが多く、60センチ以上のスズキサイズが時々混ざる感じ。60匹釣ったところで、「もう少し大きいサイズを釣りたいですね」ということで、ポイントを移動。



その後はポツポツ釣れる感じで、最終的に67匹(多分)釣れました。「魚をいっぱい釣りたいからじゃない」と言いつつ、いっぱい釣ってしまいました。釣れなくても楽しいけど、やはり釣れると楽しい。食べる分以上に釣ることには相変わらず抵抗もありつつ。ああ、矛盾。

船長によると、ここ数年でシーバスの個体数は減っているそう。昔は東京湾のシーバスはあまり食用としては人気がなく、東北で獲れたシーバスが高値で取引されていました。それが震災以降価値が下がり、反比例するように東京湾のシーバスの価値が上がり、今では盛んに漁が行なわれているのだとか。都内の居酒屋に並ぶ「白身魚のフライ、カルパッチョ」などは、東京湾シーバスが使われていることが多いんですって。漁師は売れるとなればたくさん獲ります。釣り人から見れば、それこそ根こそぎレベルで。それが原因でシーバスの個体数が減ってしまったという説もあるそうです。他にもいろいろな説があるそうですが、ともあれ、人間が関与して個体数が減っていることは間違いなさそう。知らずに白身魚フライを食べている人たちにも知ってもらいたいな、と思いました。

釣ったシーバスはほとんどリリースしましたが、9匹持ち帰り、6匹は知人に配り3匹を事務所に持ち帰って捌きました。キッチンを魚臭くしてしまって、スタッフに迷惑をかけました。「社長、昼過ぎに出社してきたと思ったら釣りしてたのかよ。しかも捌き出すし」という状態です。いつか釣り漫画を描こうと思っていまして、一応、取材なのですよ。
…と言い訳。

で、フィッシュ&チップスに。衣が上手くできなかったのが残念です。味は最高。スタッフにもおすそ分けしました。

夏の間、釣りができなかったモヤモヤが、腕が筋肉痛になるくらい釣ったことで解消されたのか、その後は海水浴客のいなくなった近所の海に通っています。狙うのはやはりシーバス。陸っぱりではまったく釣れません。…が、それで結構満足しています。夜中に1~2時間、週3~4回通っています。


先日はウミヘビが釣れました。


フグも時々釣れます。

秋になったのでメバルも釣りに行ってみました。メバルを狙うのは久しぶりでしたが、コンスタントに釣れるので10匹釣れたところでやめました。持ち帰りサイズは25センチ以上にしています。以前は20センチ以上は持ち帰っていたのですが。

揚げ焼きにしてからホールトマトで煮込んでみました。こちらはおすそ分けせず一人で食べました。

「僕はなぜ釣りをしたいんだろう?」
気がつくと自問自答しています。釣りをしたいことは間違いないのですが、何だかよくわからなくなっています。雨が降ると「魚の活性が上がっているかもしれない」と思い、夜中でも早朝でも堤防に出かけます。大潮の日は「魚の活性が上がっているかもしれない」と思い、潮位を調べて海に行く時間を決めます。小潮の日も「こんな日に限って釣れるかもしれない」と思い、やはり海に出かけます。「海の状態を調べなくてはいけない」という謎の義務感のようなものまで生まれてきてしまい、自分でも「何やってるんだろう?」と疑問に感じます。

来年はSUPボードの乗り方を覚えて、ボードで釣りもしてみたいです。一人でシーバスを釣る技術を身につけることがとりあえずの目標ですが、もっといろんな魚を釣ってみたいです。

そう言えば、シーバスボートを教えてくれたUさんのためにイラストを描きました。

意外と義理堅いんですよ、僕は。

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