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財務諸表から読み解く企業分析    オムロン(株)                            

今回、分析したのは、オムロン(株)(以下オムロン)です。
今回、用語集や図、グラフを用意しております。
特に用語集は、読み進めるのに必要な方は、ぜひご活用下さい。

それでは、財務諸表を読み進めていきます。

下記にあるのは、2023年度12月期第三四半期のオムロンの連結貸借対照表です。

まず、ざっくりとイメージするため図にしました。



まず目につくのは、純資産>負債となっており、負債による資金調達にそれ程頼らなくても良い安定した財務状況となっています。

更に貸借対照表を分析していきます。
資産、負債、純資産を分解してみました。
下記に用語集も用意しておりますので、必要な方は、ご参照下さい。


資産を見ると、流動資産>有形固定資産の状態が分かります。短期間で現金を多く回収できるのは、強みです。

続いて、負債を見ると、流動負債>固定負債の状態です。
その為、短期間で負債を返済をする必要性がありますが、流動資産と流動負債を比較すると、流動資産>流動負債の状態で、問題無く返済が可能な状態です。
このことからも財務状況は極めて良好と言えます。

純資産を見ると、その他の剰余金が大きいですが、これは利益剰余金などに該当し、過去から積みあがってきた利益を指します。
先ほども触れた通り、純資産>負債の状態なので、借入などによる資金調達にそれほど頼らなくても良い状態と言えます。

【連結貸借対照表に関するまとめ】
・純資産>負債の状態であることから、健全な経営状態である
・流動資産>流動負債の状態であることから、負債による資金調達の返済も確実に行えるほどに効率的に資産を増やしている
・利益剰余金も確実に積みあがっている

次に連結損益計算書を見てみます。

こちらも貸借対照表と同様に、ざっくりと図にしてみました。

更に分解したものが、下のグラフになります。
収益、費用、利益別に色分けしております。
左から順番に、各種利益から費用を差し引いていき、最終的に一番右側の当期純利益が残るという流れになります。

なお、下記に用語集を用意しておりますので、必要な方はご参照下さい。

上のグラフを見ると、真ん中のグラフにある試験研究開発費とあります。このことから、オムロンは製造業であることが分かります。
また上記に加え、売上原価>販管費となっていることからも、販売よりも製造に重点を置いていることが見て取れます。

更に、売上原価が売上高の大半を占めているので、コストがかかる原材料を調達し、製品を製造しているということが推測されます。
そして、それをどこに供給しているかを考えると、売上原価>販管費となっていることから、オムロンのビジネスは、BtoBビジネス(企業が顧客)ではないかと推測されます。

ここでおや?と思われた方もいらっしゃると思います。
ご存知の方も多いと思いますが、消費者に対して体温計や血圧計を販売しています。
これを如実に表したのが、ある程度の規模の販管費です。
つまり、オムロンは、BtoCビジネス(消費者が顧客)にも携わっています。


ここで実際にオムロンの事業を調べてみると、制御機器をメインとした製造業で、取引先は主に企業であることが分かります。
また、ヘルスケアでは、健康関連機器を消費者にも提供しています。

【連結損益計算書に関するまとめ】
・試験研究開発費があることと、売上原価>販管費であることから、製造業が主な事業である
・売上原価>販管費であることから、オムロンのビジネスは、BtoBビジネス(企業が顧客)である
・販管費もある程度の規模があり、実際に消費者に向けての販売を行うBtoCビジネス(消費者が顧客)にも携わっている

最後にキャッシュフロー計算書を見てみます。
参考資料を下に用意していますので、必要な方はご参照下さい。

タイプ別 キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書を見ると、営業CFはプラスで、本業でしっかりと収益を上げ、投資CFはマイナスで、成長の為の投資を行い、財務CFもマイナスで、借入をしっかりと返済をしているため、理想的な健全型のキャッシュフロー計算書となっています。

【キャッシュフロー計算書に関するまとめ】
・営業CFはプラスで、本業でしっかりと収益を上げている
・投資CFはマイナスで、成長の為の投資を行っている
・財務CFもマイナスで、借入を返済できている
・以上から、健全な経営状態と言える

これまで、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を見てきました。歴史ある大企業だけあって、非の打ち所がない模範的な財務状態だと言えます。

現在、オムロンは2030年に向けて、長期ビジョンであるShaping the Future 2030 (SF2030)の実現を目指しています。

Shaping the Future 2030 (SF2030)とは、
「人が活きるオートメーションで新たなソーシャルニーズを創造し、
社会全体の豊かさと、自分らしさの追求が両立する未来をつくる。」

※オムロン ホームページ 長期ビジョンより引用

オムロンは、これからどのようなソーシャルニーズを創造し、私達の生活を快適にしてくれるのでしょうか?

オムロンは、身近なもので言うと、今や当たり前となっている駅の自動改札機や銀行のATMなどを手掛けています。
また、先にも触れた通り体温計や血圧計などの健康機器も取り扱っています。

こう見ると、身近にオムロンが提供する製品が意外にあります。
読者の皆様の周りにもオムロンの製品があるかもしれません。
ぜひ興味があれば、探してみて下さい。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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