朝日vs中日

朝日vs中日


 2000年代の初め頃、私はちょっとかわった一人遊びをしていました。当時はすでに新聞をとらなくても、ネットで主だった内容は読める時代で、朝日新聞の「天声人語」と中日新聞の「中日春秋」などがタダで読めました。
 「天声人語」と「中日春秋」どちらが面白いだろう? 毎朝、二つのエッセイを読み比べて、点数をつけて勝敗を一人で決めていました。
 一年くらいこれをやった結果、当時の「天声人語」VS「中日春秋」では4:6で「中日春秋」の勝ちでした。もちろん、私の独断です。今はどうか知りません。
 父は中日新聞に勤めていました。この結果を話したら、さぞや喜ぶだろうと思い、帰省の折、話してみると、全然喜びませんでした。それどころか怒りだしたのです。
「アイツは一日にあれ一本だけ書いとればいいんだから、そりゃいい文章も書けるわ!」
担当者と仲が悪かったようです。
 演劇人として解釈するなら、家族が芝居を見に来てくれたのは嬉しいけれど、自分と仲の悪い役者ばかり褒める、という感じなんでしょうか?
「芝居面白かったよ。この間、東京で見た芝居よりも面白かった。特に〇〇さんがよかった!」
 人間、遠くの敵より、近くの敵が憎いものですね。
English

イラスト by Igor Sapozhkov


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