出会い


 ある芝居の打ち上げで、妙に気になる人が、筋向かいの席に座っていました。何が気になるかというと、私にはこの人の性別が分からなかったのです。身体の線は細い。でも髪は短く少年のようでもある。今回の公演のスタッフさんで、間近で見るのは、この打ち上げが、初めてでした。スタッフさんは皆、飾りっ気のない服を着ていて、そこからも性別は分かりません。
 「そういう場合は手と首を見るといい」と昔、誰かに聞いたことがあります。痩せているので、手には血管が浮いていて、見ようによっては節くれ立っています。首も痩せているので、のど仏が出ているようにも見えます。しかし、決め手には、なり得ませんでした。
 ほぼ男性だと、思っていましたが、声を聞くまで、断定はしないことにしました。
 無口な人で、周囲は盛り上がっていたのに、なかなか声を発しませんでした。私はずっとその人が喋るのを待っていました。
 ついにその人が喋りました。低い声でした。間違いない。
 私は結論に達し、その人にこう声をかけました。
「女の子かと思った」
 正解を知っている他のスタッフさん達は大爆笑でした。
実はその人は女性でした。
その女性こそが、今の私の愛妻です。
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イラスト by sanno


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三浦周二朗

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