4歳6か月
奥さんは娘が寝る前にいつもベッドで絵本を読みきかせている。たまに俺が娘の寝かしつけをやるときがあるのだが、絵本を読むのは面倒なので、そういう場合は決まって桃太郎を娘に話してあげている。
「むかしむかし、あるところに、お爺さんとお兄さんが住んでいました…」
「おにいさんじゃなくて、おばあさん、でしょー!」
「あれ、そうだったっけ」
成長著しい娘はこの程度なら余裕でツッコミを入れてくる。
「お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川に釣りをしに行きました…」
「つりじゃなくて、せんたく、でしょー!」
「あれ、そうだったっけ」
娘のツッコミは的確だ。さすが幼稚園児ともなると桃太郎のあらすじを完璧に覚え、大人のボケを問答無用で拾ってくる。頼もしくなったものだ。
「川でお婆さんが洗濯をしていると、大きなナシが、どんぶらこーどんぶらこー」
「ちがうでしょー!」
「あれ、そうだっけ?」
「大きなブドウでしょー!」
「!!??」
びっくりした。今までの娘は、ここでいつも「おおきなモモでしょー!」と言っていたのに。あろうことか、俺のボケにさらなるボケをかぶせてきたのだ!なんという高等テクニックであろうか。こんなちょっとしたことでも娘の成長に感動してしまうちょろい父親である。
東京の下町在住。 趣味は写真。酒は人生。最近は娘の成長をブログに綴ってます。 今までの寄稿記事→ http://www.mizuhebi.com/work ブログ→ http://www.mizuhebi.com/