見出し画像

子どもの管理をやめれば子どもの自制心は育っていく。佐伯和也さん講演会レポ

2020年1月7日、佐伯和也さんの「令和時代の子どもの育て方〜受験と職業を添えて〜」というフレンチテイストのタイトルがついた講演を聞きに行きました。

画像1

佐伯和也さんとは

佐伯さんは、ご自身が子どものころゲーマーだったことや、心理学やコミュニケーション、コーチングの知識を踏まえて、学校に行かない・行けない子や、ゲームばっかりして勉強しなくて困ってる…というケースの親向けのメンタルコーチをされています。

ナツが不登校になってから、勉強を一切やらなくなり、ゲームとYouTube三昧の日々を送りはじめたころに、このままで大丈夫かな、と漠然とした不安を抱えたわたしが、もはやどこからどうやったかは思い出せないけどたどり着いたブログをきっかけに、メルマガを読み始めた、そんな出会いでした。
出会いと言っても一方的な出会いで、こちらがメルマガ読ませていただいているだけなのですが。

そのメルマガ、毎回5000字超の長文で、長文書きがちなわたしとしては、何か他人とは思えず親近感をもっていつも楽しみに読んでいます。

内容は、最近だと、例えばゲームの課金についてどう考えるかというFortniteにお年玉全額突っ込む長男を持つ私にはまさにど真ん中なもので、ゲーマーのお子さんを持つ親やなんなら祖父母の方にも読んでみてもらいたいことうけあいです。

今回の講演会も、ゲームの話をふんだんに盛り込んで、勉強や仕事のこと親子でどう考え、話し合っていけばいいのかというヒントが盛り沢山でした。

ここから印象に残ったお話と、私の感想を合わせてどどーんと書いていきます。

主体性を持って、自分(親)の考えをアウトプットしよう

親自身が自己開示した上で希望や考えを伝えることで、子どもとのコミュニケーションが成り立つ。
体裁だけ、例えば「片付けなさい」という言葉だけでは押し付けになったり、怒られたというマイナス感情しか残らず、最悪の場合何をどう片付けたらいいのかすら伝わらない。
それはディスコミュニケーションとなり、結果的に子どもの自己肯定感を下げたり、親子の信頼関係が失われる。

これって「わたしはこういう理由でこうしてほしいんだけど、あなたの考えを聞かせて」という風に、自分を開くことで相手(子ども)も開いたコミュニケーションをしてくれるということかなと感じました。

「あなたのために」という言葉は、時に押し付けになり、相手の言葉を封殺してしまうことにつながることもある。だから、「わたしはこうしたい」を自分をオープンにすることで、両方向のやり取りが成り立つんだと思います。

聞くことに徹してみよう

ワークで、お隣の方と、講演に来た目的を開示しあいました。その時の条件として、『聞き手は口を挟まず、ただ最後まで聞く』

相手が黙ってしまってもしばらく待ってみたり、話の中でわからないことがあってもとにかく最後まで聞く。すると、相手は聞いてもらえたー!って実感が持ててスッキリするんだそうです。何なら内容に興味が持てなかったり、理解できなくても、「うんうん」と機嫌よく聞いて終わり。
相手に意見を求められたり、こないだ言ったのに!って言われたら、質問したり、興味持てなかったよと正直に伝えることで、子どもも工夫して伝えようとするのでプレゼン能力も上がる。

今までのコミュニケーションで、口を挟まず最後まで聞いてみようと意識してしていませんでした。沈黙があるとつい話を振ってしまったり、あ、分かる、と思った時に自分の話をしてしまったり。それは話を広げよう、盛り上げようという思いから、良かれと思ってやっていたのですが、相手のペースで話すことで、出てくるはずだった言葉を聞き逃すことにつながっていたかもしれないと気づきました。特に子ども相手の時。
これからのコミュニケーションのアイデアとして今日から実践していけそうだなってワクワクしました。

ちなみに私の講演に来た目的は、「子どもとの向き合い方に自信を持っていたい」ということ。

長男が不登校になってから、私は自分の中の古い価値観や枠をぶち壊してもらい、世界が広がりつつありますが、やはり周囲の多くの人とは価値観が違っていて、考えを否定されたり、やんわり正そうとされたりします。

佐伯さんのブログやメルマガを読んで、たくさん背中を押してもらったので、実際に会ってお話を聞けば、きっと自信をもってこれからも子どもと向き合えるだろう!と考えました。

無知は怖れを引き起こし、過去に引き戻そうとする

多くの親は、自分のやってきたやり方で子どもが育つことを求めがち。
昔はゲーム機が一家に一台だったのに、今は1人一台欲しがる。そんなの自分の時代はなかったから、そんなことやったら自制心のない大人に育つに違いない!だから自分たちの頃と同じように一家に一台までしか認めない!みたいに。
ゲームの課金もそうで、形のないものにお金を使うことに価値を感じなかった大人は、データとしてしか存在しないゲームのアイテムなんかに課金することの価値が理解できない。
子どもたちは大人と違うものに価値を見出し、お金を使いたいと考えます。それを制限する大人のほとんどが、「知らないのに何となく怖いから制限」しようとする。好きにさせるなら興味のないことにあえて首を突っ込む必要はないが、もし制限したいと考えるなら、まず知ろうとすることから始めないと、何が怖いかもわからない。たいてい知れば、怖さはなくなる。ゲーム人口が急増して、もはやゲーム機がない家庭が少数派の現代で、知りもしないのに、子どもが本気でやりたがるゲームをやらせないのは、未来に向かう子どもたちの足を引っ張っているだけに過ぎない。

もちろん子どものお小遣いの範囲内かとか、家計の負担の中で出せるお金に制限のある場合もありますが、そうでない場合で子どもが夢中になっていることに、詳しく知りもしない大人が口をつっこんで制限しようというのは、昔は良かったと言っているおじさんと変わらない、子どもの可能性を狭めることになるよ、ということだな、ととらえました。

自制心を身に着けてほしいなら…自律学習

自制心について、子育てするうえでよく親が考えることの一つだと思います。
親が管理しなきゃ、子どもは自堕落になる、自制心が育たない、好きなことばかりやって勉強しない。

かなりの数の親がそういう考えではないでしょうか。私も少なからずそういう考えがありました。私がそう育てられてきたから。

佐伯さんの考えは、「自制心を身に着けてほしいなら、親の管理を外しなさい」です。それを「自律学習」といい、下記のプロセスをとるそうです。
①子ども自身が考える
②子ども自身が決める
③子ども自身が行動する
④子ども自身が責任を取る

親はそれを見守るだけ。考えるためのヒントや責任の取り方は、大人としてアドバイスすればいいと思いますが、それ以外は求められない限り助けには入りません。

重要なのが、結果の責任は子ども自身がとるということ。そこからもたらされるの学びは子どもの考えや行動変容、モチベーション向上に大きく影響すると考えられます。

例えば、受験をするときに、親が安心できる将来のために、親が決めた学校に、親が決めた方法で勉強をさせてたとえ合格しても、その子は人に言われないとできない大人になります。逆に不合格であれば、「親に言われたとおりにやったのに失敗した、親のせいだ」と人のせいにするか、「自分のせいで失敗した」と引きこもってしまうか、どちらかです。

一方、子ども自身が、自分はどのようなことを学びたいのかということをじっくりと自分に問いかけ考え、自分で進路を決め、目標地点に至るに必要な行動をとることで、結果の因果関係をロジカルに考えることができますし、それは今後の活動のモチベーションマネジメントにもつながります。

そして、自律学習が成立するためには、「子どもが熱中することを親は無知を理由に邪魔しない」ということかな、と私なりに考えました。さらに言うなら、熱中をサポートできる器の広さも欲しいな、と、これは自分に言い聞かせています。

令和時代の学ぶ意味、働く意味とは

令和時代を生きる子どもたちの親である私たちは、昭和や平成を生きてきた。
特に昭和は、「食うために働き、働くために学ぶ」という時代。けれど、令和時代に生きる私たちのほとんどにとって、幸いなことに「食えないこと」はあまりリアリティがない。独り身であれば、アルバイトをすれば月10万くらいは確実に稼げるし、支出さえ抑えれば十分生きていけます。夫婦と子ども一人くらいなら、共働きで20万もあれば、餓死するということはない。極端な話、何らかの事情で働けなければ生活保護というセーフティーネットも日本では用意されている。
すなわち、何のために学ぶのか、何のために働くのか、といった生き方自体が多様化しているため、「何のために」を自分のなかから見つけ出さなければ、モチベーションをもって学び、働くことができなくなっているのです。やりたいこと、心から熱中することをやっているときは心のエネルギーが満たされている。その状態を継続することで、能力が開発され、親が思いもよらないような、新しい時代の生き方を選ぶかもしれない。

熱中すること、好きなことをどんどんやろう、私が子どもたちへ伝えたいメッセージは間違ってないと思いました。自分が理解できないことでも、子どもが真剣にやっていれば応援しようと。何かを突き詰めた経験と、そこに打ち込めるモチベーションは、私たちを支え、幸福な生き方を送る助けになるはずです。

「何のために?」これは、子どもというより、むしろ自分自身に問いかけられているようでした。

まとめ

佐伯さんの講演では、不登校の長男だけでなく、弟妹たちや、家族とのかかわりについてのヒントがあふれていました。

そして自分の生き方、あり方を改めて考えるきっかけにも。

次回はゲームについて。多治見市で森のようちえん(http://www.morinowarabe.org/)園長をされている浅井智子さんとトークライブが7月4日に富山であるそうです。

浅井智子さんにもお会いしてみたいし、内容がゲームなら行くしかない…!

改めて、佐伯さんのブログ、メルマガ登録はこちらから。
https://ameblo.jp/sinosakura/

佐伯さん、素敵なお話きかせていただき、ありがとうございました!

この記事が参加している募集

イベントレポ

頂いたサポートは、学びを深める書籍の購入費にあてさせていただきます。ありがとうございます!