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ナツの不登校日記vol.0 「はじまり」

息子のナツがどうやら不登校になりそうだ。
はじまりは去年、小学校2年生の夏。

懇談で、担任教員が少々困惑気味に、
ナツがいじめアンケートの自由記述欄に書いた文章を教えてくれた。

「学校に行かないためにはどうしたらいいですか」


わたしたちの家族構成と当時のことを話しておこう。
夫、わたし、長男のナツ、5歳離れた弟のツキ、そして6歳下の妹カナ。

夫はサラリーマンで、わたしもパートで平日は毎日夕方まで働いていた。

ごく平凡な一般的な家庭だと思う。

夫の帰宅は早ければ夜7時、忙しい時期は深夜になることもある。
早く帰ってきた日は家事も育児もやってくれる、
ありがたい存在だ。

わたしはパートで朝9時から夕方3時、忙しい時は5時まで残業する。

あまり要領が良くないほうで、サボるのは苦手、
忙しい時は昼食もとらずトイレも行かずに
根を詰めてしまうような性格だからか、
保育園にツキとカナを迎えに行って自宅に戻った時には
すでにヘトヘトだった。

協力的な夫とはいえ、食事や子どもたちの世話、
保育園で使った食器の片付けは、
基本的には早く帰ってきたわたしがすべきことだと考えていた。
だから、ヘトヘトで食事を作るのと食べさせるので
精一杯な時に残していた食器なんかを夫が片付ける姿を見ると
申し訳ない気持ちになっていた。

それはさておき。

わたしはよく、家で怒鳴ったり物にあたったりしていた。
理由はささいなことだ。
朝家を出る直前に、
残した朝ごはんを食べると言い始めた時。
ご近所さんにもらったお菓子を食べたせいで、
夕ご飯を残した時。
一生懸命急いで食事の準備をしている時に、
ご飯を催促されて、飲み物を催促されて、
お菓子を食べたいと言われた時。

ほかにも数え切れないようなささいなことで、
わたしは文字通り爆発していた。

読んだ方は「なんでそんなことで?」と
首をかしげる方もいるかもしれない。
子どもが生まれる前のわたしに読ませても、
多分「なんでそんなことで?」というだろう。

細かい説明は他をあたってもらうとして、
比較的穏やかでマイペースな性格、
誰かに声を荒げたことなどほとんどないわたしですら、
育児で孤独感を感じ、仕事と家庭で心の余裕が失われると、
こうも簡単におそろしい新たな自分が芽生えるのだ。
隠されていた「真の自分」、の一人なのかもしれないけれど。

長男のナツは、そんな爆発するわたしを、
なんとか支えようと頑張っていた。
ゲームに夢中になってても、
わたしがイライラし始めたら、
何とはなしに寄ってくる。
「なんにもする気起きない」と弱音を吐くと、
「なんにもしなくていいよ、僕がご飯をつくる!」
とご飯作るとかできないのに、
それでも励まそうとしてくれた。

優しい子だ。

そんな中、冒頭のできごとである。

わたし自身短期間ながら中学時代に不登校の経験があったこと。
今は学びのツールがたくさん用意されていること。
それから、もしかして、優しいナツに精神的負担をかけすぎていた負い目。
そんな理由で、学校に行くのがしんどいのなら
無理に行く必要はないと考えていた。

だけど、問題は他にある。

①わたしが平日の日中家にいないこと

②夫が不登校に否定的であろうこと(推測)

①があるから、もし学校にいけなくなったとして、
一人遊ばせておかなきゃいけなくなる。
それは正直なところ不安だった。
ほっとくとずーっとSwitchしたり、Youtubeで動画を見ていそうだし、
いくら不登校を拒否しないとしても、
学習の機会損失によるデメリットを無視はできなかった。
仕事をしながら日々の学習課題を準備するのも、
今の状態じゃとても無理だし。

そんな訳で、担任からその話を聞いてすぐ、
遠くない将来、しごとをやめなきゃいけないなと考えた。

わたしたち夫婦の親は近くに住んでいないので、
気兼ねなく子どもと向き合ってもらえる人が、近くにいなかった。
「学校に行かない」という選択に、
親としてわたしができる準備をしたかったのだとおもう。

②のことは長くなりそうなのでまた別の機会に。

さて、「学校にいかない」発言から半年ほどは、
わたしも仕事を続けていたので、ナツも渋々学校に通っていた。
共通の話題を持つ友だちもできたので、
もしかして学校に行きたくなったのかな。
そんな風に考える日もあった。

でも、根本的に解決していないのは、
ナツを見てればわかる。
あとは毎日爆発する自分に耐えきれなくなったのもあって、
去年12月に仕事をやめて、
もう少し心に余裕をもって子どもたちと向き合うことに決めた。

年が明けて2019年1月。

インフルエンザA型大流行で、例に漏れずナツもかかった。
5日は学校に行けないので、月曜日に発症したナツは、
まるまる1週間休んだのだった。

その後から、ナツは毎日のように、
「お腹が痛い」「吐き気がする」「胸が苦しい」
そんなことを訴え始めた。

1ヶ月ほど続くので、学校を休んで小児科に連れて行ったが、
体の異常はなさそうだ。
わたしでもわかる。だって「学校を休もう」と言った途端に、
不快そうな表情がすっぱりなくなったから。

それが今週月曜日のはなし。

1日休んで2日頑張って行ったけど、
今朝ははっきり「今日は行かない」。

これからどうなっていくのか、
わたしにもナツにもわからないけれど、
このどうなっていくか分からない感を、
記録に残してみることにした。

言語化することで、物事を客観的に見られるし、
わたしやナツ、家族の考えも整理できる気がしたから。

それから、不登校に悩むだれかの役に立てばいいな。

今回はこのへんで。

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