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ナツの不登校日記vol.1「頼る」

母とわたしと不登校

最近良く思い出すことがある。
わたしの母が、母の友人と、
わたしについて話しているシーンだ。

「シュージィちゃんどう?」

「まだ家にいる~、ゲームとかしてる~」

たったこれだけだがとても良く覚えている。
わたし自身が不登校だった時だ。
わたしも親交のある、
母ととても仲のいい友人だったから、
きっとわたしのことを相談していたのだろう。
深刻さは全く感じなかったのが印象的だ。

母がマイナス感情を外に出すところを、
わたしはほとんど感じたことがなかった。
さっぱりした性格だから、嫌だとか、苦手だと、
ネガティブな表現をすることはあっても、
いつもあっけらかんとしていた。

わたしが不登校になったときも、
母は何も言わずただ食事を作り、
ときどき習い事に連れ出し、
その他は何一つわたしのすることに口を出さなかった。
勉強しろとも言わなかった。

母には勇気があり、そして子を信じていた。

自分自身が母になった今、
いつも母のようでありたいと思い、
そうなれない自分の不甲斐なさにもがいている。

けれども、自分自身が母になった今、
母も同じように悩み、もがいていたのだろう、
子どものわたしには見えていなかっただけで。
そんなふうにも思う。

大切な子どものために、「頼る」

自分のことは自分でする。
人に甘えない。
わたしの体にはそれが染み付いていて、
人に頼るのは良くないことだと思ってきたし、
頼ると自分が怠けていると思われそうで、とても苦手だ。

でも、
一緒に生活する人、
活動を共にする人、
同じコミュニティに属す人、
助けようとしてくれている人、
そんな人たち同士頼ることは、本当は必要なことのはずだ。

ナツの不登校にどう関わっていけばいいか、
右も左も分からないわたしは、
いよいよ勇気を出して頼ることをしなくてはいけないのだ。

色んな人とナツについて話す

今週になって、
ナツの不登校がはじまり、
わたしは自分が不登校時の母の姿を思い出し、
母と同じように誰かに話してみることにした。

母親コミュ二ティで不登校の話をしたら、
子どもさんが不登校のお母さんがおり、
アドバイスをくれた。

子どものペースに任せること。
自分自身も好きなことをすること。
親の役割はカーリング(子)の氷をこする人。

ナツ以上にわたしのことを思いやってくれる優しさが身にしみた。
そして最後の言葉を大切にしようと心に刻んだ。
その人のすすめで教育相談も受けてみた。

ナツの中では今親から自立しようとする気持ちと、
甘えたいという気持ちが混ざり合っている。
(学校だけでなく、親子関係が
不登校に関係することも多い年代とのこと)
本人の特別できたことを褒めるだけではなく、
”普通”を認めて喜ぶこと。
「時には休養もあり!」とおおらかに見守ること。
不登校が長期に渡りそうなら、
無料の相談場所や、学習場所を用意していること。

そんなことを話してわたしを安心させてくれた。

一番不安だった夫にも話した。
夫が不登校に否定的だとしても、
わたしはナツのためにナツの気持ちを尊重したいと。

ナツがそこまで強く「学校に行かない」と考えていると思ってなかった。
自分は確かに、理由なく学校に行かないなんて、認められない。
けど、ナツはそこまでしんどかったんやな。
無理に行かそうとは思わないから、
ただ、相談する前に、育児方針が違うと決めつけないでくれ…凹むから。

(この話をする日の朝、出勤前の夫に、
わたしは、夜に待つ夫婦会議への緊張のあまり、
「育児方針が違うことによるストレスがすごい」
とつい漏らしていたのだった。
ショックでその日一日中落ち込んだまま仕事をしたらしい。
メンタル豆腐で、話をこじらせがちな妻で申し訳ない。)

そして週の締めくくりに、
ナツのいない参観日の教室に行き、
担任の先生と話した。

無理して学校に行かないことに理解を示してくれたこと。
スクールカウンセラーの予約をしてくれること。
自宅学習の参考にできるように、
その日の学習内容を連絡帳に書き、
使った教材をもたせてくれること。

先生も忙しいのに…と恐縮したが、
嫌な顔ひとつせず家庭学習のフォローを提案してくれた。
その帰りには、わたしたち家族に良くしてくれる近所のおばちゃんにも、
ナツのことを話した。

体が元気ならそれでいい。
子どもを信じてあげるのが一番だよ。
話してくれてありがとう。

わたしはとても恵まれていた。
こんなにもナツとわたしのことを想ってくれる人がいるのだ。

話すことで、そんな人達の存在に触れ、
少しずつ頼ることを始めてみようと思えた。

頼るのが上手になれば、
きっとわたしの心の波も安定するかもしれない。
それは夫や子どもたちにとって、
必ずプラスになることだ。

そしてわたしたちはきっと間違っていない。
ナツのために、ナツの「学校に行かない」を受け入れていいんだ、
改めてそう背中を押してもらった。

ナツを信じて、彼の軌道を邪魔しないよう、
氷をこすることに徹しよう。

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